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8月 15, 2016

HPE社、SGI社を買収しHPCにおけるシェアを拡大

HPCwire Japan

Tiffany Trader

ヒューレット・パッカード・エンタープライズ社(HPE)は8月11日に、ライバルであるHPCサーバメーカーのSGI社を1株当たり7.75ドル、現金と負債を合わせて約2億7千5百万ドルで買収すると発表した。この取引によって、ラッカブル・システムズ社が2009年に破産したシリコングラフィックス社を2千5百万ドルで買収しSGIのブランドを名付けた7年間の猶予期間が終了する。

SGI社をHPE社のハイパフォーマンス・コンピューティングおよびデータ解析機能に織り込んで強化し、成長する商用HPC市場だけでなく、ハイエンド・スーパーコンピューティングへのポジションを拡大するのだ。調査会社であるIDCの最近の数字によると、HPC市場は110億ドルあり、今後3年間で推定6-8パーセントの年平均成長率で成長するとされている。現在非常に関心の高いデータ解析のセグメントにおいては、その倍で成長すると言われている。「HPCと組み合わされたビッグデータは新しいソリューションを築き、HPC分野に多くの新たなユーザと購入者を増やしているのです。」と、6月のIDCマーケット・アップデートでIDCは述べている。

HPE社とSGI社の共同声明では、如何にデータにおけるこの爆発が、政府や商業分野におけるハイパフォーマンス・コンピューティングと高度解析技術の採用を増加させるかに焦点を当てている。HPCシステムは、気象予報、生命科学、そして増加するサイバーセキュリティや不正検知のような分野を高度化させるのに重要である、とHPE社は述べている。

「かつてエリート学術機関や政府研究施設の領域においては、ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)(複雑な計算問題を解くためのスーパーコンピュータや並列処理技術の利用)はエンタープライズへの道を迅速に築き、産業を破壊して、どこででもイノベーションを加速させてきています。そのため、現在のビジネスでは企業のデータの海の中に大きな可能性を認識しているのです。」と、HPエンタープライズ・グループのエグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャであるAntonio Neriはブログで述べている。

「大小の組織では、事業、顧客および見込み客に関するより深く、より多くの文脈的洞察導き出すために、HPCとビッグデータを採用し、ビッグデータの時代で闘っているのです。これらの事業は、モバイルデバイスの拡大、モノのインターネット、機械生成されたデータの拡大を続けるボリュームやソーシャルメディアやビデオの形式における人のデータの増大のような新しいソースから生成されているデータの爆発の中における収益の機会を見ているのです。」と彼は続けた。

SGI社のCEOであるJorge Titingerもまた、データ主導の組織ための連合のメリットを強調している。「30年以上に及ぶイノベーションの継承に基づいた我々のHPCおよびハイパフォーマンス・データ技術と解析の能力は、HPE社の業界をリードするエンタープライズ・ソリューションを補完します。この組み合わせは、データ解析とツールを安全に膨大な量のデータを処理するために適用する必要がある今日の複雑なビジネス上の問題に対処するものです。」と語っている。「我々のソリューションが提供する計算パワーは、顧客がより迅速により実用的な洞察を得るために、このデータを解釈することができるのです。HPE社とSGI社が一緒になることで、HPE社のグローバルな展開を通じてより効果的に市場にもたらすことができる業界における最も包括的なソリューションパッケージのひとつを提供することでしょう。」

SGI社はサーバ、ストレージおよびソフトウェア製品を製造しているが、それは最近同社のポートフォリオの垂涎の星となっているUVインメモリ・コンピューティングのラインである。2月にSGI社はHPE社とSAP HANA専用に作られたSGI UV 300スーパーコンピュータのひとつのバージョンであるUV 300H技術のOEM契約を締結している。EnterpriseTechマガジンの記者Doug Blackが指摘したように、この8ソケット・サーバは、「ローエンドの4ソケットのスケーラビリティを持ったHPE ProLiant DL580 Gen9サーバと、ハイエンドの最大16ソケット、24TBメモリまでスケールするHPE Integrity Superdome Xサーバの間のギャップを埋めるものだ。」

特にDell社とCisco社の両社は、4ソケット単位で4から32ソケットまで単一ノードでスケールする完全なSGI UV 300Hラインのリセラーである。どの程度SGI社の売却がこれらの契約に影響を与えるかは見守らなければならないが、Dell社がHPE社のリセラーとなるとは想像し難い。

ハイエンド・スーパーコンピューティング・セグメント(IDCによると50万ドル以上のシステム)においては、HPE社は2015年のHPCサーバベンダーの中でトップの稼ぎ手であった: 合計32億8千万ドルのうち、12億3千万ドルの売り上げを占めている。クレイ社は2番(5億8千3百万ドル)、そしてLenovo社(3億9千百万ドル)であった。SGI社のシェアは8千8百万ドルであった。

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2006年にその歴史に名高いシリコンバレーの本社をGoogleに売却した後、現在カリフォルニア州ミルピータスにあるSGI社は、FY16には5億3千3百万ドル、FY15には5億2千百万ドルの打ち上げ高を誇っている。2016年度のGAAP純損益は、1千百万ドル、もしくは1株当たり0.31ドルの損失であり、2015年度は3千9百万ドルまたは1株当たり1.13ドルの純損失であった。同社はおおよそ1,100名の社員がいる。

1株当たり7.75ドルの株価は8月11日の終値であった5.98ドルに対し30パーセントのプレミアが付いていることを意味している。取引時間後には、SGI社の株価はおおよそ30パーセント上昇し7.70ドルとなった。HPE社の株価の終値は21.78ドルで0.05ドル下げただけで、取引終了後には21.77ドルとなった。

この取引は、SGI社がAlain Andreoli 率いるHPE社のデータセンター・インフラストラクチャ・グループの一部となった後も、HPE社の2017年度の第一四半期の締めまで続く。HPE社は収益への影響については、買収が終了した後の最初の1年においてははっきりしておらず、その後は増大すると予測している。

SGI社の買収はHPブランドの一連の大変化の中の最新のものである。昨年9月には、ヒューレット・パッカード社は公式にPCおよびプリンター事業とエンタープライズ(およびHPC)事業を分割し、サーバ、ストレージ、ネットワーク、セキュリティおよび企業向けサービスにフォーカスするヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)社を築いている。5月にはHPE社は、エンタープライズ・サービス・ユニットをCSC社と併合し、260億ドルの「専業」ITサービス組織を作った際に、さらに分割を行っている。