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12月 13, 2016

インテル、ポストGPU時代におけるAIハードウェア戦略を語る

HPCwire Japan

Alex Woodie

SC16において、インテルは人工知能(AI)を次のレベルに引き上げるのに必要な主要な機能と特性を備えたプロセッサを組み込んだプロダクト・ロードマップを公表した。また11月17日にサンフランシスコで開催されたインテルAIデーのイベントを使って、2017年以降に登場する新しいシリコンにつながる2つのプロジェクトのコードネームを発表した。

この半導体の巨人は、コードネーム「レイク・クレスト(Lake Crest)」と名付けられた最初のAI専用ハードウェアを2017年の前半に試験し、その年の後半に少数を出荷すると述べている。レイク・クレストは、ニューラル・ネットワークのワークロードを実行するのに最適化されており、「高バンド幅インターコネクトを持つ前例のない計算密度」を特徴としている。

インテルはまた、コードネーム「ナイツ・クレスト(Knights Crest)」と名付けられた2つ目の新製品で、8月のNervana Systemsの買収で得た技術をXeonプロセッサに組み込むことを発表した。これは「ナイツ(Knights)」ブランドであるにも関わらず、Xeon Phiの製品ラインとは似ていないことに注意。

インテルのデータセンターグループのゼネラルマネージャでエグゼクティブ副社長のDiane Bryantは、インテルのNervanaプラットフォームが「画期的な性能と複雑なニューラル・ネットワークの学習に掛る時間において劇的な削減を産み出す」だろうと述べている。彼女はインテルがディープラーニングの学習性能において100倍の向上を提供すると予測している。

インテルは複数の主要な買収により、ディープラーニングの領域に強力に動いている;Nervana社;9月に買収した低消費電力のマシン・ビジョン技術の開発者であるMovidus Systems;Datanamiで紹介された「ニューラル・ラーニング」ソリューションの開発者であるSaffron Technologyなどがある。

「私共の目標は、コンセプトから益々インテリジェントで、ロバストで、協調性の高いマシンへの展開へのイノベーションサイクルを短縮化することなのです。」とインテルのCEOであるBrian Krzanich はブログの中で書いている。

GPUの先に

AIはまだ初期段階にあり、ディープラーニングのタスクを実行するのに使われる基盤ハードウェアは変わる可能性がある、とKrzanichは述べている。「ある科学者達は、グラフィックス用の並列処理ユニットをたまたま持っていて、それをご都合主義的にディープラーニングに適用したことで、GPGPUを使ってきました。」と彼は書いている。「しかし、GPGPUアーキテクチャはAIにとっての唯一のメリットではなく、AIが進化するにつれて、ディープラーニングと機械学習の両方がより高いスケーラブルなアーキテクチャを必要とするでしょう。」

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550億ドルの半導体メーカーは、ディープラーニングで前世代の4倍の性能を提供するコードネーム「ナイツ・ミル(Knights Mill)」と名付けられた次世代Intel Xeon Phiコプロセッサを含む、また別のハードウェア構想についての詳細も公表した。このナイツ・ミルは2017年に発売される予定だ。

インテルはまた、選ばれたクラウド・サービス・プロバイダーへのコードネーム「スカイレイク(Skylate)」と名付けられた次世代Xeonプロセッサの早期出荷を発表した。
x86用の高度ベクトル拡張SIMD(Advanced Vector Extensions SIMD)命令に対する512ビット拡張と組み合わされて、スカイレイクは推論機械学習のワークロードの処理速度を「飛躍的に」向上させるだろう、とインテルは述べている。

インテルAIデーのイベントに出席していたMoor Insights & Strategyの主任アナリストであるPatrick Mooreheadは、インテルは急速に変化する業界にふさわしい対応をするために必要なことをやっている、と述べている。

「インテルは正式なAI戦略の基軸を、一般的なハイテク業界がGPUを現段階でのAI計算のドライバとして見ていることが非常に重要である大海原に投げたのです。」とMooreheadはEmailで語っている。「もしインテルが今日言っているように実行し、提供することができたら、インテルはAIの中での将来のプレーヤーになることでしょう。」

GPUが現在ディープ・ニューラルネット学習において大々的に盛り上がっているが、インテル(2015年にFPGAメーカーのAlteraを買収した)がAIが追随する技術的方向性に影響を与えることができないということはない。

「Altera、Nervana、Phi、Xeonと必要な全てのソフトウェア作業をどのくらい早く完了したかを見れば、このような巨大な企業においては印象的です。」とMooreheadは述べている。「完璧に実行するのはインテルに任されているのです。」