世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


7月 30, 2013

ウォール街のスーパーコンピュータ:敵か味方か?

HPCwire Japan

Alex Woodie

ウォール街の顔が過去10年間に大幅に変化してきた。 以前、ゴードン・ゲコ(映画「ウォール街」の主人公)タイプが取引所を支配した処で、今日のウォール街は、取引所に超高速ネットワーク接続を使用して、実際の取引を行うスーパーコンピュータ上で動作する定量分析アナリストが記述したアルゴリズムによって実行される。 新しいシステムは紛れもなくいくつかを豊かにしているが、質問もある:それは残りの我々に恩恵はあるのか?

情報の豊富なテレグラフ誌の記事は、マシンベースの取引と高頻度取引(HFT)がウォール街をどのように変化させているのか魅力的な絵を描いている。「フラッシュ・クラッシュ」に対する短期の変動性および平均消費の増加から、科学的天才を従来の分野から遠ざけて利用し、常に大きな利益を追求するために「クオンツ」を用いることまで、コンピュータとネットワークの軍拡競争は、既にウォール街の文化に相容れない衝撃を与えている。

テレグラフ誌の記事によると、コンピュータは既に今日のウォール街の売買取引の約70%で開始されている。数十年前に10年分の取引の全てより、一日で実行される取引がより多いことが一般的になっている。

事実は、人間が利益を得るために今日のHFTオペレーションで必要な速度と取扱量で取引を始めることが出来ないため、マシンベースの取引が必要要件である。 一つは、長期的な持ち切り投資の利点について議論を持つことがでる。 しかし、HFTの世界では、わずか数ミリ秒資産を長く保有し過ぎることは、数百万ドルの利益を確保するか、もしくは数百万ドルの損失を被るかの違いを意味することになる。

トレーディングゲームが大幅に変更される事を知っているように、明らかに競合他社よりも迅速に1ミリ秒で数千のトランザクションを実行できる目的のために、シカゴ・マーカンタイル取引所、ニューヨーク証券取引所、ロンドン証券取引所のような主要な取引ハブ間に敷設されている超高速なネットワーク接続に、会社が数千万ドルを支出する。

HFTおよびマシンベース取引は、最善の取引を行う企業にとって数十億の利益を生成するために組み合わされている。 しかし、予定通りに物事は必ずしも上手くいくものではない。 2010年5月6日に起こった「フラッシュ・クラッシュ」がそれを示している。

テレグラフ誌の話によると 、取引の量はその日のニューヨーク証券取引所のオンライン取引セクションを圧倒している。 NYSEのオンライン取引システムがフリーズした時、ウォール街の企業のスーパーコンピュータは販売注文を開始し、わずか数分でNYSEの1兆ドルを超える価値が消失した。 その後、丁度それが失われたのと同じように迅速に、交換価値を取り戻した。

このフラッシュ・クラッシュは、いくつかのHFT業者の目覚ましコールとして役立った。 「私たちの誰も、何を行うべきか、あるいは、何が次に起こるであろうか知りませんでした」とテレグラフ誌の引用から、その日HFTデスクで働いていたクオンツのデーブ・ラウアーが言うように、「”私は、生活のために何をすべきか私の将来の子供にどう説明するのだろうか? ”と考えた事を覚えている。」ラウアーは、彼の仕事を辞め、その後、結局米上院委員会の公聴会でHFTのメリットへの反対意見を語った。

驚くべきことではないが、伝統主義者は、コンピュータとHFTがウォール街で行ったことを快くは思っていない。 ウォーレン・バフェット氏のビジネスパートナー、チャーリー・マンガーは、HFTを説明して「基本的には悪である。」 「私は、取引の半分が誰か他の人より先んじて情報を1ナノ秒の100万分の1早く取得しようとしている短期取引な人達の群れが、システムが進化を許すようなことは非常に愚かだと思う」とマンガーの発言をテレグラフ誌は引用し、「これは、先頭にたって合法化される。」