世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


9月 18, 2014

日本のスパコンのロードマップ

HPCwire Japan

西 克也

9月10日から京都で開催されたEUROMPI/Asia会議は成功裡に閉会した。EUROMPIとしては初のアジア開催であったにも関わらず参加者数も100名を超えた。この会議における招待講演の中で、筑波大学の佐藤三久教授が日本における2つのスパコンプロジェクトについて説明を行った。

各プロジェクトの話をする前に佐藤教授は非常に興味深い資料を見せてくれた。それは今後の大学のスパコンのロードマップだ。この表を見ると一目で各大学における今後のスパコン計画が見えてくる。この計画で行けば、エクサスケール計画が完成を迎える2020年頃には100PFLOPS級のマシンが3,4システム揃うことになりそうだ。

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さて、佐藤教授が説明したプロジェクトの一つ目は「Post-T2K」であり、現在 東京大学と筑波大学で進められている「最先端共同HPC基盤施設」の話だ。佐藤教授はこの施設長でもある。すでに読者もご存知だとは思うが、東京大学と筑波大学は2015年度に共同でスーパーコンピュータセンターを運営することとなる。両者のシステムは個別に調達手続きが取られるが、どちらも現在の東京大学柏キャンパス内に設置される。最初のシステムは両者で30PFLOPSを超えるものとなるようだ。通常は個別に運用されるが、必要な場合には資源を互いに融通させることも行い、さらには大規模ジョブには一体システムとして運用も可能らしい。

この「Post-T2K」プロジェクトでは東京大学と筑波大学とのセンターの一体運用ばかりでなく、システム開発も行われる。開発はオペレーティングシステムとなるMcKernelや、プログラミング環境となるXcalableMP、さらにはライブラリ等も含まれるとのことだ。

二つ目のプロジェクトは「Post-K」、いわゆるエクサスケールプロジェクトだ。すでに開発の仕様が決まっており、現在はベンダーの選定段階である。ベンダーは今月決定される。「Post-K」のCPUはメニーコアであり、インターコネクトはこれまでの京コンピュータを踏襲するTOFUインターコネクトとなっている。電力は30MW以内、設置は現在の理化学研究所計算科学研究機構とされている。

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エクサスケール計画も噂ではいろいろな困難があったようだがこれからが勝負だ。最終的にシステムばかりでなく研究としてどのような成果が上げられるかにかかっている。