世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


9月 30, 2014

エアバス、モジュラーコンピューティングでペタスケールにアプローチ

HPCwire Japan

Tiffany Trader

エアバス社は2011年から始まったHPとのパートナーシップを構築することで、ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)の能力を増やす方向だ。この航空機メーカーは新世代のHP Performance Optimized Datacenters(POD)を受け、コンピューティング性能を1.2ペタフロップスに高める。

エアバス社向けのHPの新PODは、Intelの最新のプロセッサを搭載したHP Proliantサーバブレードを予めクラスタ化した形で納品され、エアバス社がエネルギーと空間を節約しながらHPC性能を増やすことができるのだ。この新技術はテラフロップスあたりのエネルギーが現行システムの半分程度になるであろうとHPは語っている。

HPによれば、このPODは12メートル長であり、従来のデータセンター面積の1,000平米に等しく、22台の50Uの高さのラックが装備されている。各コンテナはブレードサーバ、ストレージ、ネットワーク、ソフトウェア、管理および統合化された電力および空調を含む完全なHP集中インフラを備えている。

HP PODはフランスのツールーズとドイルのハンブルグに納品される。アップグレードはHPとの5ヵ年共同研究の一部となっており、演算性能の増強、データセンターの空調技術の改良およびIT基盤のアップグレードが含まれている。

「私達はHPとのスーパーコンピューティング・パートナーシップを構築することに喜んでいます。」とエアバス社のCIOであるGuus Dekkersは述べている。「次の5年間においてHPは私共のPOを拡張し、可用性、冗長性およびセキュリティを向上させながら、性能とエネルギー効率を向上させるのです。これはエアバス社の航空機開発におけるエンジニアリング・チームをさらにサポートすることでしょう。」

エアバス社は2011年より次世代の航空機設計と開発に必要な計算機能力を提供するためのコンテナ化されたデータセンターのアプローチに頼ってきた。HPとの当初の取引では2台のコンテナにインストールされた2,016台のクラスタ化されたHP ProLiant BL280 G6ブレードサーバでエアバス社の演算性能を倍増せている。244テラフロップス(ツールーズとハンブルグを足し合わせた)の「スーパーコンピュータ」は当時産業用のシステムとしては最大規模のものであり、2011年のTOP500リストにおいては29位であった。

Dekkersによると、HP PODはフランスとドイツのセキュリティおよび環境規制だけでなくエアバス社の方針への遵守のために選ばれた。

HPのエンタープライズ・サービス・チームは既存のエアバス社のIT基盤を使って、新しいHPCクラスタを構成し統合化している。モジュラー設計の利点のひとつは迅速な展開にある。HPはこれらのデータセンターの構築、試験および納品を6週間以内にできると述べている。

フランス・ツールーズに本社があるエアバス社は世界中のオフィスと関連会社に約55,000人の従業員を抱えるグローバル企業である。