世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


11月 6, 2014

フリーマーケットHPCクラウドを開発中

HPCwire Japan

Tiffany Trader

分散コンピューティングは、そのルーツであるSunスタイルのユーティリティコンピューティングのような大規模な科学的な試みを支援するグリッドコンピューティングから、Amazon Webサービスにより普及したパブリック・クラウドコンピューティングまでの多くの変化を経てきた。この種の最新のプロジェクトの一つは、SETI@homeの思いを兼ね備えた暗号化通貨原理を使ったサイクルシェアリングだ。Xennetと呼ばれ、Amazon Webサービスに代わるフリーマーケットとして登場した。

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一般的なフロー:パブリッシャーAとプロバイダーB間のプロトコル

創業者でありイノベーターであるOhad Asorは、分散および非集中型の任意の演算グリッドとしてサービスを記述している。オープンマーケットプラットフォームはプロバイダーに接続し、プロバイダーはパブリッシャーと協定した料金で、任意の演算タスクを実行するための演算サイクルを必要とするユーザに演算能力を提供する。参加者は無料もしくは自分達が望む料金で請求する。設定は安全な演算を保証するために、軽量OS仮想化技術を使っている。

「ネットワークは100%分散して非集中化しています。Bitcoinのように、どんな種類の存在も中央にはありません。」とAsorは説明している。「すべてのソフトウェアはオープンソースです。パブリッシャーは直接プロバイダーに支払い、中間には誰もいません。したがって、支払うコミッションもありませんが、XenCoin採掘者に支払う定期的な取引手数料は発生します。」

システムを構築するブロックは、軽量OS仮想化ツール、Dockerベンチマーク技術、改良化Blockchain技術および新規のプロトコルから構成されている。ソフトウェアを構成するのは、Dockerコンテナを管理し計測結果を収集するためのXennetコードを持つLinuxディストリビューション(xennet-os)、パブリッシャーとプロバイダーのプリファレンスによりxennet-vmを設定・管理するクライアントソフトウェア(xennetdおよびxennet-qt)、および演算マシンを利用するためのトークンとして使われる暗号化通貨であるXenCoinを実装するblockchain(xencoindとxencoin-qt)だ。

XenCoin自体は通貨ではないが、暗号化通貨(Bitcoinのような)を採掘するのに使われる演算パワーを借りるのに利用して収益化することができる。

この新興市場はビッグデータ領域に大きな可能性を見ている。ターゲットアプリケーションは、数値演算、MapReduce、テキスト解析、予測、または分子動力学などのタスクだ。「典型的なXennetのパブリッシャーは1台の仮想マシンを必要としているのではなく、数千のマシンを必要としています。」と企業文献に指摘している。「例えば、計算に関連するタンパク質折りたたみをとりましょう。ある研究者が特定のタンパク質を折りたたみたいとします。もし彼が十分に幸運で大学の計算リソースにアクセスできるなら、大学のコンピュータラボで計算を実行するのに数日から数週間かかるでしょう。もっと幸運であれば、Folding@Homeが折りたたみをしてくれるかもしれません。しかし殆どの研究者にとっては、AWSが唯一の現実的な選択肢なのです。」

Asorが言うには、「前売り」を予定しており、「開発はフルスピードで進んでいる」そうだ。