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2月 27, 2015

BSCとインテル、エクサスケールの共同研究を拡大

HPCwire Japan

John Russell

エクサスケール・コンピューティングのコンセプトを推進するインテルの努力は、バルセロナ・スーパーコンピューティング・センター(BSC) – ヨーロッパにおける4つのインテル研究室のひとつ – との共同研究の延長によって後押しを受けた。2011年に開始され、現在2017年9月まで延長され、インテルとBSCの研究はパラレルアプリケーションにおけるスケーラビリティの問題に焦点を当てる。

「主要な目標はメニーコアノード上のスレッド化アプリケーションのスケーラビリティをOpenMPの拡張であるOmpSsプログラミングモデルを使って向上することです。」とインテルのヨーロッパのイノベーション経路探索アーキテクチャグループのディレクターであるKarl Solchenbachと語っている。

OmpSsは、実行時にタスク間の依存性を計算するためにランタイムによって使用され、ヘテロで加速化された分散システムで自動的にデータ転送を行うオペランドへのアクセスを指定する指向性条項を持っている。インテルは、BSCとインテルの研究がOpenMP規格の将来の方向性に影響を与える事を期待している。

共同研究の新段階における2つの主要優先事項は次を含んでいる:

  • メニーコア。インテル-BSCエクサスケール研究室は、Intel Xeon Phiベースのアーキテクチャだけでなく、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)アーキテクチャ上でのアプリケーションに重点を置いて、単一ノード内におけるBSCプログラミングモデルの研究を継続する。
  • ビッグデータ。プログラミングの領域において、インテル-BSCの目的の一つは、BSCのparallel Python development (PyCOMPs)を使ってビッグデータアプリケーションの効率を改善することだ。後者の一例は、スペインの石油企業であるRepsolとの次世代Intel Xeon Phiプロセッサ(Knights Landing)用に最適化された完全な波形インバージョン用の新アルゴリズムにおける計画された仕事だ。

ツールの開発もまたBSC-インテルの研究の重要な要素だ。「大規模HPCシステムでは非常に高いいわゆる並列効率でアプリケーションを実行する必要があります。」とSolchenbachは指摘している。「並列効率を阻害するのは、ノード間データ転送、MPIコールにおける待ち時間、およびノードレベルでの負荷の不均衡です。」

共同研究ではこれらの効果を別々に定義し計測する方法を開発している。「性能阻害の詳しい分析を提供するだけの自動化ツールでなく、ノード数を増やした場合の予想をたてることができるのです。」とSolchenbachは語っている。

HPCツールの作成で長い間アクティブなBSCは研究のために、計装パッケージ(Extrae)、性能データブラウザ(Paraver)、およびシミュレータ(Dimemas)を提供してきた。最近では、これらのツールは、取得したデータからもっと多くの情報と洞察を絞り出すために、他の科学やエンジニアリングの領域から得たテクニックを活用してm性能解析能力を付けて拡張されてきている。

「バルセロナの研究は私達にとってはとても大きなスケールなのです。」とインテルのハイパフォーマンスコンピューティングの副社長兼ゼネラルマネージャであるCharlie Wuischpardは語っている。「我々が前に進めようと提案しているものの主要な部分はメニーコアアーキテクチャにおける研究です。私達のロードマップは常にもっともっとコアを追加し続けることなのです。」

長年知られている重要な問題は、HPCに存在するソフトウェアアプリケーションのポートフォリオの最適化と近代化の必要性だ。非常に多くのHPCアプリケーションが可能な限り高速なクロックスピードで動作するように単一コア用に書かれている。- 急速に蒸気が不足するアプローチだ。

「間もなく出てくる私どものKnights Landing製品は少し遅いクロック速度の60個を超えるコアが搭載されていますが、非常に良い性能をもたらすでしょう。」とWuischpardは語る。

メニーコアアーキテクチャを最大限活用するには、全体のHPCコミュニティ内での連携が必要だと彼は言っており、「私達が2013年末に本当にやり始めて2014年にフル回転し始めた事のひとつは、いくつもの連携とコデザインの動きを通してすべてのエコシステムと一緒に大きく巻き込まれていることです。」

昨年、インテルは並列プログラミング・コンピューティング・センターに対して積極的に、すべて補助金ベースのほとんどが重要な科学的オープンソースコードに関する提案を求め、最終的に45の提案に資金提供した。「これが私達がこの点において世界中で業界全体を前進させる助けをすることをしている投資と連携のパターンなのです。」とWuischpardは語る。インテルはパリ、ユーリッヒ、ルーヴェンおよびバルセロナのエクサスケール研究室をサポートしている。

ヨーロッパで最強のスーパーコンピュータの一つであるMareNostrumが100年前の以前のTorre Girona教会に設置されたBSCサイトよりも美しいスーパーコンピューティング・サイトを想像するのは難しい。

BSCのミッションは
科学的な進展を促進するために情報技術を調査、開発し、管理することである。この目的で、科学、ライフサイエンス、地球科学および科学工学における計算アプリケーションのような領域に特別に専念しているのだ。

「私達は我々の研究開発活動を推進し改善する手伝いをしてくれるインテルのチームとのダイナミックで協力的な相互作用を実に楽しんでいるのです。」とBSCの計算科学部のディレクターであるJesús Labartaは付け加えた。