世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


3月 25, 2015

古いスマートフォンの新利用:クラスタコンピューティング

HPCwire Japan

Tiffany Trader

今や世界の人口以上にモバイル機器が存在しており、平均的な人は18か月ごとに電話をアップグレードしている。では古いモデルの電話機はどうなるのだろうか。これらユビキタス機器の中に使われているいくつかの素材はリサイクルされるが、多くの電話機、タブレットそして時代遅れや壊れたポケットコンピュータは埋め立て地に持っていかれる。

これら携帯電話の寿命を延ばす再利用の方法があったら素晴らしいのではないだろうか?それが、引退した携帯電話の部品で初のクラスタ・コンピューティングであるPUZZLECLUSTERを開発したCircular Devicesの仲間の前提だ。このスーパーコンピュータ・ライクなクラスタは古いスマートフォンのモジュールから作られており、モジュールはまたPUZZLEPHONEの基礎としてCircular Devicesによって開発されたものだ。まだ構想段階ではあるが、PUZZLEPHONEは3つの交換可能でアップグレード可能な部品を持っている:ブレイン・モジュール(CPU、カメラおよびボリュームボタン用)、ハート・モジュール(バッテリ用)、そしてスパイン(LCD画面とホームボタン用)だ。PUZZLECLUSTERはこれらコンポーネントの3つのうち2つを再利用できるように設計されている。

側面にエキストラのスロットを持つトースターのようなPUZZLECLUSTERは複数のPUZZLEPHONEのブレイン・モジュールを接続して、統合されたコンピュータクラスタを形成するのだ。

「私達の目標はホームユーザや中小企業だけでなく、公共機関やデータセンターのニーズを満たすスケーラブルな製品を提供することです。」とこの会社は語っている。「このアプリケーションは研究やデータ解析から、レンダリング・ファームやインハウスのクラウドサービス、そして並列計算を必要とするものならどんなものにでも幅広いレンジを持っています。」

PUZZLECLUSTERは電源、ブレイン・モジュール用の内部接続、そして外部接続のための周辺装置も含まれている。この設計では、UPS的な機能としても利用できるPUZZLEPHONEのバッテリ・モジュールの利点も備えている。

「PUZZLEPHONEを開発する際に、私達は部品の調達から製造までのすべてのサイクル、デバイスの使用自体そしてアップグレードの時が来た時の対応までを常に考えています。」とCircular DevicesのCEOであるAlejandro Santacreuは語っている。「PUZZLEPHONEのブレインはPUZZLECLUSTERに搭載することができる完全に機能する低消費電力コンピュータなのです。スマートフォンをアップグレードしたからといって、完全に動作するコンピュータを捨てる意味はないのです。PUZZLECLUSTERはPUZZLEPHONEのブレイン・モジュールの利用可能な寿命を他のどのスマートフォンのプロセッサよりも延ばすことになります。」

低電力デバイスを弱いコアと一緒につなぎ合わせるアイデアは新しいものではない – PS3クラスタの実装やRaspberry PiやParallelaコンピュータの奇抜な実装をいくつも見てきている。しかし、これらのメーカー型のプロジェクトはまだある程度のコンピューティングやエンジニアリングの知識を必要としているが、PUZZLECLUSTERの場合には、その名前の通りにすべてをくっつけるだけだ。しかし、どんなオペレテーティングシステムやソフトウェアがクラスタ上で動作するのかまだ疑問は残る。

出荷予定時については、この会社は2015年末までに電話機を出荷するように作業していると言っている。もし目標を達成すれば、古いCPUは2017年中にクラスタの中で再利用できるようになるかもしれない。