世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


6月 18, 2015

サウジアラビア、富士通特注のスーパーコンピュータで社会を豊かにする

HPCwire Japan

Tiffany Trader

もうひとつの成功したハイパフォーマンス・コンピューティングの導入がキング·アブドゥルアズィーズ大学(KAU)で実を結んだ。Azizと呼ばれる富士通が製作したマシンはMishaal bin Majed bin Abdul Aziz皇太子殿下によって正式にスイッチが投入された。式典には富士通のサービスプラットフォーム部門長の河部本章氏、さらに250名の研究者、学者および学生が参加した。

このイベントはまた、KAUの中核的研究拠点の開所式でもあった。230テラフロップス(ピーク)のクラスタと新しいセンターは、気象と気候モデリング、ナノテクノロジー、航空学、ゲノム研究、リアルタイム・ビジョン、バイオインフォマティクス、淡水化、および幅広いレンジの数値シミュレーションを含んだ、地域重要性のある分野における最先端の研究を支援する予定だ。これらの研究はすべて、「文化的卓越性、科学的洞察力および研究の開拓を通して社会を豊かにする」というKAUのミッションである。

Azizにおいては、KAUは、富士通ストレージのETERNUSシリーズに接続されている、496台のFUJITSU PRIMERGY CX250 S2サーバと4台のPRIMERGY CX270 x86サーバから構成される統合化され認定されたクラスタ型のスーパーコンピュータを選択したのだ。コンポーネントは次を含んでいる:

  • Intel E5-2695v2 (2.4GHz, 12 cores)
  • Intel Xeon Phi coprocessor 5110P (1053GHz, 60 cores)
  • NVIDIA Tesla K20 GPU (706MHz, 2,496 CUDA cores)

富士通はまた、「周辺システム」として利用される43台のPRIMERGY RX300サーバも供給している。

システムの選定は、気象・環境・乾燥地農業省によって、計算情報技術学部とゲノム研究センターからの助言で行われた。このチームは「幅広い研究の試みのためのワンストップ・ソリューションとなる特注のシステム」を求めていた。富士通はまたKAUのニーズに合わせて、サポート、保守およびHPCトレーニングを提供する予定だ。

「サウジアラビアにおける最大の大学として、私達は王国の公共および民間部門を支援する研究リソースに世界的標準を提供します。」とキング·アブドゥルアジーズ大学の開発担当副学長であるAbdulfattah Mashat教授は声明の中で述べている。「私達はまた、160,000名を越える学生達がKAUで活躍できるようにICTソリューションの開発にフォーカスしています。その結果、富士通のHPC技術への我々の投資は、学者および研究者達に信頼できるソリューションを提供することで、KAUが責務を果たす事を助け、そして新しい中核的研究拠点と提供される技術支援を活用できるようにしているのです。」

KAUは、多くの研究者や分野のニーズに対応するためにAzizに対して野心的な計画を持っているが、サウジアラビアに影響する地域の利用事例に優先権が与えられている。最初のサイクルは、砂嵐のモデル化と海水の淡水化技術の開発に向けられている。主要なアプリケーションコードにはゲノム解析ツールキット、WRF、COSMOおよびOpenFOAMが含まれている。富士通は気候変動研究のための中核的研究拠点に、研究とコード最適化作業を支援するための選任のオンサイトの専門家をアサインしており、そのため、KAUの研究者達はこの最新鋭のシステムから恩恵を得る事ができるのだ。

サウジアラビアは中東におけるスーパーコンピュータの最大のシェアを有しており、スーパーコンピュータのニーズは産業界と同様に学術アプリケーションによって牽引されている。日本のサーバメーカーの富士通は、アジアとヨーロッパを通した主要なサプライヤーである。