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8月 31, 2015

CAEシリーズ:第9回 最適化とは

岩田進吉(有限会社イワタシステムサポート代表取締役/中部CAE懇話会幹事)

今回は最適化に関して、その分類と特徴についてお話をさせて頂きます。
CAEにおける最適化に関しては大きく二つの分類があります。

★★★★★ パラメータ最適化 ★★★★★

一つは解析を行う時に設計変数をいろいろ変えて、最も要求にあった設計変数を決定する手法です。設計者が便覧、電卓そして勘や経験で設計変数を決定するのでなく、多くの条件を考慮してロバストな製品設計を行うことができる有効な方法です。ツールとしては無駄な試行錯誤を減らす為に実験計画法等の手法を取り入れて、効率的に計算を行います。しかし効率性を検討に入れているといっても様々なケースの計算を行うので計算時間や計算機資源は沢山使うことになります。
利用例としては簡単な例を考えると、

目標: 部品重量を最小にする
設計変数: 材料寸法、材質等
制約条件: 変位等

を考える事ができます。 この場合は材料寸法、材質を最も少ない組み合わせで計算をして、変位等の制約条件を満足して重量が最も少ない結果が出た設計変数を採用する事になります。 この手法をこれ以降の説明ではパラメータ最適化と呼ぶ事にします。

CAEEYECATCH

最適化のソフトウェアは上記のパラメータ決定以外に「ロバスト性・信頼性向上」の観点からも多用されております。例えば設計は理想的な条件のもとに各パラメーターを決定しておりますが、実際の製品は製造工程では材料寸法、物性、加工誤差、組付け誤差等により設計通りにはできておりません。また実際の使われる場合もCAEで与えた境界条件の通りに使われるわけではありませんので、設計変数や境界条件をあるバラツキに基づいて確認する事により、ロバストで信頼性の高い製品作りを行うことができます。

★★★★★ 構造最適化 ★★★★★

二つ目の最適化は構造最適化です。これは製品の最適な形状をCAEを使って見つけ出そうというもので、「寸法最適化」、「形状最適化」、「トポロジー最適化」があります。簡単に違いを説明すると

「寸法最適化」 ――― 部品の各パーツの分担する最適寸法を決定する手法
例として、梁の長さや高さのような構造的な寸法を設計変数として最適な寸法を求めます。

「形状最適化」――― 部品の形状に関して最適寸法の決定する手法
構造物の外形形状そのものを設計変数として最適化を行う方法で、最初は長方形であった形状が円錐の様な形状にもなります。

「トポロジー最適化」―――最も自由度の高い構造最適化手法
形態をも設計変数として最適化する手法です。応力の発生しないような箇所は空洞にして無駄な材料を配置しないようにするために視覚的にも大きく変わります。

上記の判り易い説明としては、京都大学/機械理工学専攻 生産システム工学研究室の以下のホームページに簡単な図も載って説明されていります。興味がありましたらアクセスして下さい
http://www.osdel.me.kyoto-u.ac.jp/members/overview_nishiwaki.html

構造最適化の研究をされている方は日本に多く、中部CAE懇話会でも名古屋大学の畔上先生、京都大学の西脇先生に講演をして頂いております。日本の研究者が多い理由はミシガン大学の菊池昇先生が1980年代に均質化法を用いたトポロジー最適化の研究で成果を上げ、畔上先生や西脇先生等、多くの方が研究員として行かれて研究し、現在、日本で活躍をしているのが主な理由かと思います。

トポロジー最適化では出てきた結果が複雑な形状をして設計に利用できないとの意見を利用者の方からお聞きした事がありますが、西脇先生の「レベルセット法に基づくトポロジー最適化」により正則化係数を変えることにより複雑性を減らす事ができ、設計にも利用し易い結果が得られ、より設計者に近い結果を出す事ができます。

★★★★★ 個々の最適化ソフトウェア ★★★★★

最適化を支援するソフトウェアツールは沢山あります。ここに私が知る主なツールの名前とアクセスできるホームページを紹介させていただきます。
なお以下の紹介するのはCAEソフトウェアとは独立して開発された最適化のソフトウェアですが、CAEソフトウェア自身でもパラメータ最適化や構造最適化の機能を搭載しているソフトウェアもあります。皆様のニーズと予算に応じて必要な最適化の機能を採用して頂ければと思います。

まずはパラメータ最適化をサポートする独立したソフトウェア群を紹介いたします。

HyperStudy   ――― アルテアエンジニアリング株式会社
http://www.altairhyperworks.jp/HWTemp1Product.aspx?product_id=10
HyperWorks製品の一つですが、ソルバー非依存のパラメータ最適化の製品。
iSight   ――― Dassault Systems
http://www.3ds.com/ja/products-services/simulia/products/isight-simulia-execution-engine/
最適化のツールとしては歴史のある製品である。ダッソーのSIMULIAの一つの製品になってからはあまり聞かれなくなった製品である。ダッソーがCAEにあまり力を入れていないように伺える。
Optimas   ――― Noesis Solutions
http://www.noesissolutions.com/Noesis/
ベルギーのNoesis社の最適化製品。日本ではサイバネット社が販売・サポートを行っています。http://www.cybernet.co.jp/optimus/
Heeds   ――― Red Cedar Technology
http://www.redcedartech.com/products/heeds_mdo
米国Red Cedar Technology社の最適化製品。Red Cedar Technology社は2013年にCD-adapco社に買収され関連会社になっているようです。この関係で日本での販売は CD-adapco及びJSOLが販売・サポートを行っています。http://cae.jsol.co.jp/product/tool/heeds/
modeFRONTIER   ――― ESTECO
http://www.esteco.com/modefrontier
イタリアのESTECO社の最適化製品。日本ではIDAJが販売・サポートをしております。https://www.idaj.co.jp/product/t00001/sub001/020000/
AMDESS   ――― 株式会社くいんと
http://www.quint.co.jp/jp/pro/amd/index.htm
株式会社クイントが開発したパラメータ最適化の製品
VisualDOC   ――― Vanderplaats Research & Development, Inc.
https://www.vrand.com/visualDOC.html
米国のVanderplaats Research & Development社が開発した汎用のパラメータ最適化の製品。日本では 株式会社ディアイスクエア、株式会社テラバイト が販売サポートをしています。

 

次に構造最適化をサポートする独立したソフトウェア群を紹介いたします。

OptiStruct   ――― アルテアエンジニアリング株式会社
http://www.altairhyperworks.jp/HWTemp3Product.aspx?product_id=19&item_name=Capabilities
HyperWorks製品の一つですが、ソルバー非依存の構造最適化製品。汎用の構造計算もサポート。
OPTISHAPE  ――― 株式会社くいんと
http://www.quint.co.jp/jp/pro/ots/index.htm
株式会社クイントが開発した、ソルバー非依存の構造最適化製品。
GENESIS   ――― Vanderplaats Research & Development, Inc.
https://www.vrand.com/Genesis.html
米国のVanderplaats Research & Development社が開発した汎用のパラメータ最適化の製品。日本では 株式会社ディアイスクエア、株式会社テラバイト が販売サポートをしています。

上記以外にも最適化機能を持った多くのソフトウェアがあるかと思います。そちらに関しては各ソフトウェアをご参照ください。ソフトウェアの選択に関しては自社の業務に適した解析ができるように十分検討をされてから採用する事をお勧めいたします。

次回は「OpenCAE」という内容で書かせて頂ければと考えております。

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