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10月 13, 2015

CAEシリーズ:第11回 OpenCAEの代表的ツールと関連情報 (その2)

岩田進吉(有限会社イワタシステムサポート代表取締役/中部CAE懇話会幹事)

今回はOpenCAEに関しての後半として、ソルバー、ポスト処理、ALL-IN-1システムに関して説明をさせて頂きます。

主なソルバーソフトウェア

主なソルバーとしてはCode-Aster、Adventure、FrontISTR、OpenFOAM、FronFlowの5つのツールを上げさせて頂きます。

1. Code-Aster
フランスの電力公社のEDFで開発した構造解析のソフトウェア。最新の安定バージョンは12.4でLinux版になります。インストールに必要なソフトウエアは Python 2.7、及びFortran、C/C++のコンパイラが必要です。構造解析では優れたソフトウェアですが、詳しいマニュアルがフランス語である事が大きな問題です。 英語のマニュアルもありますが、コマンド群の記述はフランス語のコマンドですので、この辺が少々難しいところです。 エラーメッセージもフランス語でしたが、最新の出力に関しては確認をしていません。一度、確認ができればと考えております。ホームページは

http://www.code-aster.org/V2/spip.php?rubrique2

になります。

機能的にはフランスのEDFで実務で利用しているソフトウェアで機能的には優れたソフトウェアです。

2. Adventure
東大で「設計用大規模計算力学システムの開発」という国家プロジェクトのもとで開発されたソフトウェアです。開発は1990年代末から2000年代初めにかけて開発されており、その名前が示す通り大規模な構造解析を得意とするソフトウェアです。商用化したモジュールが販売されており、価格的には他の構造解析の商用ソフトウェアと変わらなくなっているようです。商用ソフトウェア以外に、東大の研究室で開発が継続されているモジュールと公開されたフリーのモジュールと3種類のモジュールがあるとお聞きしております。 やはりフリーのモジュールになると利用するにはかなりのスキルが必要です。ホームページは

http://adventure.sys.t.u-tokyo.ac.jp/jp/

を参考にして下さい。

3. FrontISTR(フロントアイスター)
文部科学省次世代IT 基盤構築のための研究開発

「イノベーション基盤シミュレーションソフトウェアの研究開発」

プロジェクトで開発されソフトウェアで現在はV4.3が公開されています。開発は東京大学生産技術研究所 革新的シミュレーション研究センターで開発されています。OpenCAEの勉強会ではソルバーとしてCode-Asterでなく、FrontISTRがうまく使えないか研究中で、ALL-IN-1の構造解析ソフトウェアに組み込みを始めております。ソフトの特徴としては、Windows やLinux のPC クラスタはもとより「京」などの超並列スパコンにも対応可能な、有限要素法によるオープンソースの大規模構造解析プログラムと説明しております。解析機能としても

静解析:線形、幾何学的非線形、材料非線形、境界非線形(接触)
動解析:線形、幾何学的非線形、材料非線形、境界非線形(接触)
固有値解析:線形、変形後解析機能、モーダル応答解析機能
熱伝導解析:定常、非定常

等、多くの機能を持っております。
ホームページは

http://www.multi.k.u-tokyo.ac.jp/FrontISTR/

を参考にして下さい。

4. OpenFOAM
OpenFOAM (Open source Field Operation And Manipulation) は、GNU General Public License (GPL) のもとで公開されているオープンソースの流体解析のソフトウェアです。オブジェクト指向プログラミング言語 C++ で開発された偏微分方程式ソルバー開発用のクラスライブラリが公開されており、ユーザはそのライブラリを利用して独自のソルバーを作り込む事が可能です。1990年代イギリスのImperial CollegeのGosman研究室の学生により開発され始められ、当初は商用コードとしてスタートしたが難しく、2004年にOpenCFD社を立ち上げ、名前をOpenFOAMと変えてオープン化したと聞いております。また会社としてはいろんな会社に買収され、現在はCAEソフトウェアの大手であるESI社に買収されて開発を継続しております。
参考になる資料としてはUserGuideが http://cfd.direct/openfoam/user-guide/ にあり、日本語訳されたユーザガイドも

http://www.opencae.jp/wiki/ソフトウェアマニュアル翻訳

にあります。製本した印刷物はOpenCAE学会で販売しております。

OpenFOAMのホームページは

http://www.openfoam.com/

になります。

発祥のGosman研究室はStar-CDの源流であり、現在の有限体積法の流体解析元と考えて良いところです。

OpenFOAMの勉強会は日本ではOpenCAE学会、CAE懇話会等が主催して各地で開催しておりますので、比較的、情報、技術を入手し易い環境があります。

OpenFOAM+ Discretizerでの単純なモデル作成例

cae20151013-1

解析結果をParaViewで表示例

cae20151013-2

5.FrontFlow/Red、FrontFlow/Blue
FrontISTRと同じく文部科学省次世代IT 基盤構築のための研究開発

「イノベーション基盤シミュレーションソフトウェアの研究開発」

プロジェクトで開発されソフトウェアです。
FrontFlow/Redは、乱流燃焼解析ソフトウェアで乱流変動などの非定常現象の高精度予測が可能な Large Eddy Simulation (LES) に基づいた乱流燃焼解析ソフトウェアであり、以下の特徴を持っております。

(1)基礎方程式 /3次元非定常Navier-Stokes方程式 (圧縮・非圧縮)
(2)離散化手法 /有限体積法による空間離散化。
(3)対応メッシュ/6面体、4面体、3角柱、ピラミッドの混合要素をサポート。
(4)ベクトル/超並列計算が可能

FrontFlow/blue は非圧縮流体の非定常流動を高精度に予測可能なLarge Eddy Simulation(LES)に基づいた汎用流体解析コードで、形状適合性に優れた有限要素法による離散化を採用し、ファン/ポンプ等の流体機械や複雑形状周りの非定常乱流解析および流れから発生する騒音の予測が可能なCAEソフトウェア。特徴としては

(1)基礎方程式 /3次元非定常非圧縮Navier-Stokes方程式
(2)離散化手法 /有限要素法による空間離散化
(3)対応メッシュ/各種タイプに対応
(4)ベクトル/超並列計算が可能
(5)流体音響解析手法 /流れから発生する流体音を予測
(6)キャビテーション流れ解析機能/キャビテーションを伴う非定常流れを解析

があげられます。 ホームページは

http://www.ciss.iis.u-tokyo.ac.jp/project/rss/software/07_info.html

を参考にして下さい。

本ソフトウェアも企業がサポートする商用版もあります。
国プロにあるにも拘わらず、あまり一般に告知されていないせいか認知度が低いのが残念です。

 

主なポスト用ソフトウェア

ポスト処理ツールとしては以下のソフトウェアを上げる事ができます。

1. ParaView
ParaViewは米国からの資金提供を受け、Kitwareが開発、保守をしているPost専用のソフトウェアです。 Kitwareからは本も出版されており、機能、品質の非常に高いソフトウェアです。 OpenFOAMでは標準的に使われており、今後、ますます普及すると考えられます。対応するOSはLinux、Windows、Macintoshとなっており、幅広いシステムで利用が可能です。 ホームページは

http://www.paraview.org/

になります。最新のVersionは V4.4.0です。

2. Salome
モデル作成ツールで説明済み。ポスト処理も可能。
3.REVOCAP_PrePost
モデル作成ツールで説明済み。メッシュ作成も可能。

 

主な物理モデリングソフトウェア

CAEの純粋なソフトウェアではないが1DCAEの上流設計で利用可能なモデリングツールがありますので、ここで説明をさせて頂きます。モデリングソフトウェアの主なものとしては

1. Scilab
Scilabは工学分野、科学分野で利用可能な数値計算機能をソフトウェアです。
ScicosのGUIを使うことによりブロック線図を用いて容易にモデル作成、シミュレーションが可能になります。この組合わせは制御分野で良くつかわれるMatlab/Simulinkの関係と同じです。モデル作成ということでCAEの上流分野として利用が可能です。
ホームページは
http://www.scilab.org/
http://www.scicos.org/index.html
になります。最新Versionは5.5.2で対応するOSはLinux、Windows、Macintoshとなっており、幅広いシステムで利用が可能です。
開発はフランスの INRIA (フランス国立 コンピュータ科学・制御研究所)と ENPC で、現在はScilab コンソーシアムに移管され、現在は更にDigiteoに統合されて、 その1部門として Scilab コンソーシアムの活動を行っているようです。
2. OpenModelica
Scilabと同様にモデリングとシミュレーション環境を持ったソフトウェアです。
ホームページは

https://www.openmodelica.org/

になります。
本格的な利用をしようとした場合は、有償ライブラリが必要とのことで、完全にFreeということで考えると限界があるようです。

 

主なALL-IN-1のソフトウェア

CAEを使いやすくしたツールとしてモデリングからポスト処理までを一貫して処理できるようにしたソフトウェアとして幾つかありますので、ここでは、それらのツールを列挙いたします。

1.DEXCS(現在は2014)
DEXCSにはAdventure、Salome、RDstr、OpenFOAMの各ツールがあります。DEXCSはOpenCAEを推進しているOpenCAE学会の理事の方が開発、提供しており、DEXCSの公開版は2007年から公開されています。各種のOpenなソフトウェアにPython等によりGUIを使ってデータの設定や複数のOpenソフトウェアの連携をとっております。現在、力を入れているのは OpenFOAM、Salome、RDstrのようです。
ホームページは

http://opencae.gifu-nct.ac.jp/pukiwiki/index.php?OpenCAE%20Users%20Wiki

を参照して下さい。

2.Salome-Meca
モデル作成ツールの所でも書きましたが、プリ処理からメッシュ作成、解析、ポスト処理まで行えるソフトウェアです。解析はCode-Asterを使っており、一連の処理ができるのは静解析、熱解析、固有値解析程度で、複雑な解析はエディタツールを使って解析の設定を行う必要があります。
ホームページは

http://www.salome-platform.org/

になります。

3.CAELinux
CAELinuxはSalome-Mecaと同じようにヨーロッパで開発されているようです。ただVersion等を見る限りでは更新はそれほど頻繁ではないと考えられます。最新のVersionはCAELinux2013で含んでいるOpenソフトウェアは

ubuntu 12.04 LTS 64bit
FreeCAD
Salome_Meca 2013.1
Code_Aster STA11.3 MPI, Elmer v6.2 MPI, Calculix 2.6 MT, Impact FEM MPI
OpenFOAM 2.1.1
Discretizer GUI
GMSH 2.5, Netgen 4.9, Tetgen, ElmerGUI 6.2, enGrid 1.4
MBDyn with its Blender interface
SciLab

等の多くのツールを含んだAll-IN-1ツールです。しかし上記の多くのツールがInstallされていて、メニューから起動はできますが、統一がとれているわけではないので個々のツールを学習する必要があります。
ホームページは

http://caelinux.com/CMS/index.php

にあります。

 

上記以外にもFreeで提供されている多くのソフトウェアがあるかと思います。皆様でインターネット等を通して検索して頂ければと思います。
また、相談して頂ければ可能な範囲で回答をさせて頂きます。
なおOpenCAEの採用に関しては自社の技術力や業務上の余力があるか等を十分検討をされてから採用する事をお勧めいたします。サポートに関しては紹介する事も可能です。

次回は「日本で開発されたCAEソフトウェア」という内容で書かせて頂ければと考えております。

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