世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


2月 18, 2026

新HPCの歩み(第268回)-2008年(g)-

小柳 義夫 (高度情報科学技術研究機構)

富士通はquad-coreのSPARC64 VIIを用いたFX1をJAXAから受注した。日立はPOWER6を搭載するSR16000を発表し、核融合研から受注した。日本IBMは盛んに「Cell/B.E.セミナー」を開催した。ベストシステムズは創立十周年を迎えた。

日本の企業

1) 富士通(SPARC64 VII、FX1、Computer History Museum)
富士通は2008年7月中旬、SPARC64 VII(コード名Jupiter)と、これを搭載したハイエンドテクニカルコンピューティングサーバFX1を正式に発表した。SPARC64 VIIとこれまでのSPARC64 VI(コード名Olympus)との比較は以下の通り。

SPARC64 VII 

SPARC64 VI

Jupiter

Olympus

quad-core 2.4-2.7 GHz

dual-core 2.4 GHz

65 nm

90 nm

simultaneous multithreading

vertical multithreading

135W

120W

2 threads per core

2 threads per core

6 MB L2 per socket

6 MB L2 per core

 

コア数が倍増したのに電力がほとんど増えていないところが注目される。ただ、L2 cacheが共有になり、4コアに対して6 MBしかないので、より高い局所性が必要である。富士通とSun Microsystemsはこれを用いたテクニカル・サーバを発売する。

FX1はquad-coreのCPU SPARC64 VIIを採用した富士通のテクニカルコンピューティングサーバである。FX1のノードはquad-core CPUを1基搭載し、メモリは最大32 GB、メモリバンド幅は40 GB/sである。シャーシには4ノード搭載する。FX10以降はPRIMEHPC FX10と称するが、FX1にはPRIMEHPCが付いていない。(HPCwire 2008/7/17)(ZDNET Japan 2008/7/15

2005年の記事に書いたように、FX1の高機能スイッチは、FPGAで実装された高速リダクション機能を持ち、64bit浮動小数ではSUM、MAX、MIN演算が、整数ではSUM、MAX、MIN、BAND、BOR、BXOR演算が、CPUを使うことなくスイッチで実行できる。集団通信は、ノードから1段目のスイッチを経由して高機能スイッチに送られ、結果が返される。FPGAによって実装されている。

浮動小数演算では、中間表現に280をベースとする仮数部308 bits のBFP(Block Floating Point)形式を採用し、総和時に共通の指数部を用いることにより、演算順序の違いによる丸め誤差の変動を防いでいる。高機能スイッチでは、128 B単位にデータを転送するので、浮動小数では3要素まで、整数では128Bまで(32bitなら32要素)まで、1回の演算処理で原理的には実行可能である。

2008年2月19日、富士通はJAXA(宇宙航空研究開発機構)からFX1を用いたスーパーコンピュータを受注したと発表した(Fujitsu 2008/2/19)(HPCwire 2008/2/19)。これは3392基のノードからなり、ピーク性能は135 TFlopsである。これは2002年から使っていた富士通のPRIMEPOWER HPC2500(ピーク9.6 TFlops)(第3世代のNSシステム)を、2008年4月からリプレースする。全システムが設置され稼働したのは2009年4月で、4月2日に披露された。写真は、「JAXA Supercomputer Systemマシンルーム」(JSS News 第1号

 

Top500には、SPARAC64のマシンが2台登録されている。

設置場所

機種

コア数

Rmax

Rpeak

初出と順位

JAXA

Fujitsu FX1, Quadcore SPARC64 VII 2.52 GHz, Infiniband DDR

12032

110.6

121.282

2009/6 28位

名古屋大学

Fujitsu FX1, Quadcore SPARC64 VII 2.52 GHz, Infiniband DDR

3072

28.51

30.965

2009/11 243位

 

なおJAXAのマシンは、最初に登録された2008年11月のTop500では約1/6の2048コアでRpeka=20.643 TFlops, Rmax=18.54 TFlopsで222位、2009年6月のTop500では28位となっている。

富士通が製造して航空宇宙技術研究所(JAXAの前身の一つ)に設置され、1993年からTop500のトップを占めたNWT(の一部)がシリコンバレーのMountain ViewにあるComputer History Museum に寄贈された。2008年9月12日に寄贈式典が行われた。ルパック・ビスワス(NASA)、浦野哲夫(富士通)、高村守幸(富士通研)、廣瀬直樹(元JAXA)、三浦謙一(NII、元富士通)が講演を行った。

2) 日立(SR16000、省電力化)
日立は2008年4月10日、POWER6プロセッサを搭載するスーパーコンピュータ「SR16000」を発表した。ラインアップとしては、3.5 GHzのPOWER6を利用する空冷モデルL1と、4.2GHzのPOWER6を利用する水冷モデルL2を用意しており、いずれも1ノードあたり16基のPOWER6を搭載可能である。最大で512ノードの接続に対応する。OSはAIXを採用した。(Mynavi News 2008/4/10)Top500によると、設置状況は以下のとおり。性能の単位はTFlopsである。

設置場所

モデル・ノード数

コア数

Rmax

Rpeak

初出と順位

核融合科学研究所

SR16000 Model L2/128 Power6 4.7 GHz

4096

56.65

77.00

2009/6 65位

気象研究所

SR16000 Model L2/121 Power6 4.7 GHz

3872

51.21

72.79

2009/11 92位

 

サーバとしては、2008年4月18日、エンタープライズサーバーのEP8000シリーズに IBM 製の POWER6プロセッサを搭載したEP8000 595を新たにラインアップに追加した。POWER6を最大64wayまで搭載できる。

既に述べたように、核融合科学研究所は、2008年9月3日、2009年3月より日立のシステムを設置すると発表した。

日立中央研究所と櫻井貴康教授(東大生産研)は、プログラムパターンに応じてLSIの周波数や基板電圧を細かく調整することにより、実行速度に影響を与えずに消費電力を軽減する技術を開発したと発表した。(日立ニュースリリース 2008/6/20

3) 日本電気
昨年のところに書いたように2007年10月25日にSX-9を発表し、その営業を行っていた。また、日立と共同して、次世代スーパーコンピュータのベクトル部分の開発を行っていた。

4) 日本IBM
日本IBMは、2008年3月11日、日本IBM箱崎事業所において、「Cell/B.E. 実践活用セミナー」を開催した。第二世代のCell Broadband Engine( Cell/B.E.) QC21を搭載したLANLのRoadrunnerも完成に近づいていた。アルゴグラフィックス、フィックスターズ、Terra Soft Solutionsが共催。

9月10日にも、CELL/B.E. ソリューションセミナーが箱崎事業所で開催された。アルゴグラフィックスとフィックスターズが協賛。

13:00~13:10

オープニング

日本IBM理事 元木 剛

13:20~14:20

特別講演:

Cell/B.E. based Solution for Medical and Healthcare/Life Science

(Introductions of Medical Imaging Informatics Innovation Center with MAYO CLINIC)

IBM Systems & Technology Group, Joseph G. Nemeth

 

14:20~15:00

2つの世界一: Cell/B.E.が築く新しい潮流

日本IBM技術理事   佐貫 俊幸

15:00~15:20

休憩

15:20~15:50

Multicoreの波を乗りこなせ ? developer Works Japan

-“Multicore acceleration”カテゴリーの新設-

日本IBM Cell/B.E. ソリューションセンター 浅原 明広

15:50~16:30

Cell/B.E.を使用したライフサイエンス系高速シミュレーションについて

株式会社 アルゴグラフィックス後藤 成志

16:30~17:10

フィックスターズのこれまでの活動とCell/B.E. Solutionのご紹介

株式会社フィックスターズ取締役 CTO  田村陽介

17:10~17:20

クロージング

日本IBM 新庄 正彦

 

12月6日~7日には大学/研究機関/企業の、教授、シニアリサーチャ、R&D部門の部長クラスを対象に、IBM天城HPCセミナーが開催された。テーマは「Expect Unexpected -大規模アプリケーションと大規模システムのCollaboration」であった。以下の講演が行われた。

3 次元RISM 理論に基づく溶媒効果を取り入れた分子動力学シミュレーション: ミセルのモデル化へ向けて

宮田 竜彦(分子研)

Exa-scale スーパーコンピューターの実現を目指して、今何をするか

平木 敬(東大)

ペタスケール時代に向けたHPC プログラミン

高橋 大介(筑波大)

人材強化も視野に、スーパーコンピューティング・ミドルウェアの開発

中島 研吾(東大)

IBM のペタスケール・コンピューティング製品と日本IBM 研究開発部門の寄与

清水 茂則(日本IBM)

 

日本IBM天城ホームステッドでの「天城HPCセミナー」および「天城ライフサイエンスセミナー」を企画推進してきた田村榮悦氏は、2008年12月末をもって日本IBMを退職した。その後は、理化学研究所「バイオスーパーコンピューティング研究会」事務局の仕事を担当する傍ら、David KahanerのATIP advisorをしばらく務められた。

日本IBMが主導し、秋葉原電気街振興会とNPO法人産学連携推進機構の協力により、ソフマップなど5社の店頭PC計約100台にWorld Community Grid専用ソフトをインストールし、「チーム・アキバ」として、栄養価の高い稲を開発するWashington大学の研究プロジェクトに取り組む。グリッド協議会も後援している。「栄養価の高いコメを世界に」に提供する研究活動に計算能力を寄付するユニークな試みを、6月30日から7月6日まで試行すると、各紙が報じている。開催店舗は石丸電気、オノデン、九十九電機、ソフマップ、ラオックス。具体的には、日本IBMが展示PC約100台に専用ソフトウェアを導入する。PCが一定時間使われていない状態になるとソフトウェアが起動し、余った処理能力を提供する。典型的な遊休資源グリッドである。(ITmedia 2008/6/19)(PC Watch 2008/6/30

産総研の関口智嗣氏によると、IBMの World Community Grid の Advisory Board を務めており NPO法人産学連携推進機構の理事もやっている関係から、両者を引き合わせたとのことである。アキバの活性化としてこれまでの街作りの一環として、アキバの店頭にあるPCを「活エネ」というコンセプトでなんとかならないか、という商店街側からの要望にも応えたと述べている。

メディアの報道には、「多くのパソコンをつなぎ、世界全体でスーパーコンピューター並みの能力を持たせる「グリッド(格子)技術」」などという紹介があり、どうにかならないか、と関係者は慨嘆した。

5) ソニー
昨年のところに書いたように、2007年10月18日、東芝、ソニーおよびソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は、ソニーグループが所有する長崎県諫早市の半導体製造施設を東芝に譲渡することで基本合意し、2008年3月に売却した。東芝への製造施設の売却後は、両社が出資する新会社が東芝の施設を借りる形で生産を行なう。新会社の出資比率は東芝が60%、ソニーが20%、SCEが20%である。

これでソニーはCell B.E.から撤退したのではなく、現行の65nm SOI(Silicon on Insulator)から、45nm SOIへと移行し、東芝とは新たな共同出資会社を通じて、45nmバルクプロセスへ移行させる。さらに、米IBMおよび東芝との45 nmプロセス量産で合意したと発表した。IBMが米国ニューヨーク州に持つ製造施設でもCell B.E.を製造する。2008年9月22日の日刊工業新聞によると、近々量産がはじまるとのことである。

6) クレイ・ジャパン・インク
同社は、『第5回Cray HPC Conference 2008』を2008年7月1日に秋葉原コンベンションホールにおいて、「マッシブコア時代のHPC、新たな挑戦」をテーマに開催した。

13:30-13:35

Opening

 

13:35-14:25

『国立天文台における大規模シミュレーション』

国立天文台 牧野 淳一郎

14:25-15:00

『Cray Update』

クレイ・ジャパン・インク代表取締役社長 中野 守

15:00-15:20

Break

15:20-16:10

『T2K筑波システム~100TFLOPS級高性能クラスタの導入と運用~』

筑波大学 朴 泰祐

16:10-16:25

『AMD最新ロードマップアップデート』

日本AMD株式会社  山野 洋幸

16:25-17:00

『Cray Technical Update』

クレイ・ジャパン・インク 三上 和徳

17:00-17:50

『分子シミュレーションにおける超並列計算』

豊田中央研究所 倉本 圭

18:00-20:00

懇親会

 

同社は、2008年10月8日~9日、ホテルラフォーレ東京において、『Cray Technical Workshop Japan 2008』を開催した。ORNLやSNLを始め国内の専門家を講師に招いた。あわせて、地下1階『金剛』において、2008年9月17日に発表したCray CX1システム(IntelのCPU搭載、アメリカ企業の項を参考)の披露会が開催された。筆者は披露会だけ参加した。

7) 日本AMD社
同社は、2008年6月27日、東京コンファレンスセンター(品川)において、「AMD64 High Performance Computing Workshop」を開催した。

特別講演:T2Kオ-プンスパコンが創り出す新しい世界

東京大学 情報基盤センタ- 教授  石川 裕

AMDテクノロジロードマップアップデート

日本AMD株式会社 山野 洋幸

High Performance Computing 分野への日立の取り組み

株式会社 日立製作所 米村  崇

SCRYU/TetraおよびSTREAMによるAMD Opteron(TM)システムのベンチマーク

株式会社ソフトウェアクレイドル 黒石浩之

 

8) ベストシステムズ
ベストシステムズ社は2008年2月9日に創立十周年を迎え、2008年11月27日に九段下のホテル・グランドパレスで盛大な記念パーティが開かれた。

9) 日本SGI(社長交代)
1998年から日本SGI社の社長を務めてきた和泉法夫は2008年3月末で退任し、新潟大学脳研究所特任教授となった。i2テクノロジーズ・ジャパン社長の佐藤年成が新社長となった。和泉社長は、米国Silicon Graphics社の100%子会社であった日本SGIを、2001年、日本電気とNECソフトの資本出資を得て、独立した日本の会社に発展させた。2011年3月、再び米SGIの100%子会社となる。

10) マイクロソフトジャパン社(社長交代)
マイクロソフトジャパンの社長が、Darren Hustonから樋口泰行に代わった。

標準化

1) 100GbE
2008年1月から100 gigabit Ethernet (100GbE)の標準化作業が始まった。発端は、2006年7月18日、IEEE 802.3で高速EthernetのStudy Group (HSSG)への参加が呼びかけられ、9月に初会合を行った。2007年6月には、業界団体Road to 100 G Alliance”が結成され、IEEEやITU-Tと連携して技術提案を行うこととなった。この作業は、40 Gbpsと100 Gbpsという2つの異なる通信速度を同時に検討することとし、2007年12月5日にプロジェクトを設置し、2008年1月に活動を開始した。2010年以降、40GbEや100GbEの規格が相次いで承認される。

2) 浮動小数表現
浮動小数点数の世界標準IEEE 754 (IEEE Standard for Floating-Point Arithmetic)は、1985年に制定され、基数非依存の浮動小数点演算の標準規格 IEEE 854-1987(基数非依存といっても基数2と基数10のみ)が1987年に制定されたが、両者を統合する形で23年ぶりに改訂され、2008年8月29日にIEEE 754-2008が公表された。ISOとIEEEとの協定により、ISO規格としても採用された。

この規格から16ビット浮動小数点数(半精度実数)が、「演算用ではなく、(グラフィックデータなどの)交換形式」として導入されたが、最近、AIのdeep learningなどにおいて、演算用として多用されている。

3) OpenMP 3.0
2008年5月12日、OpenMP Version 3.0が公開された。新たにtaskの概念やtask constructが導入された。早速、Intel compiler、Sun Studio Express、PGI compiler、IBM compilerでサポートされた(11月現在)。GCCでのサポートも進んでいる。

4) OGF
OGF22は、2008年2月25日~28日にマサチューセッツ州CambridgeのHyatt Regency Cambridgeで開催された。グリッド協議会第23回ワークショップ・第5回Grid Hotline(2008年3月19日)において、OGF22やOGFの動向について報告されている。

OGF23は、2008年6月2日~6日にスペインバルセロナのBarcelo Sants Hotelで開催された。グリッド協議会第24回ワークショップにおいて、伊藤智がOGF23について報告を行っている。筆者はOGF 22/23には参加しなかった。

OGF24は、2008年9月15日~19日、シンガポールBiopolisのThe Matrix Buildingにおいて開催された。筆者はこれにも参加しなかったが、同時開催されたGrid Asia 2008には参加し、19日9時から開かれたHPC Leadership Forumにおいて“A Global Perspective on Parallel Processing Research for Scientific Computing in Japan”と題して講演を行った。この講演において、1970年代からの日本のhigh performance computingの歩みを総括し、これを米国における動向と比較した。また、日本の文部科学省が推進している次世代スーパーコンピュータ計画についても紹介し、特に計算科学における人材の養成が急務であることを指摘した。またこのフォーラムの最後のパネル討論会においても発題を行った。

5) グリッド標準化調査研究
2007年に書いたように、産業技術総合研究所グリッド研究センターは、経済産業省情報電気標準化推進室及び日本規格協会情報技術標準化研究センター(INSTAC)から、2005年度から3年間の予定でグリッド技術のガイドライン標準化調査研究活動の委託事業を受けた。グリッドコンピューティング標準化調査研究員会を立ち上げ、筆者が委員長を仰せつかった。幹事は産総研の伊藤智氏。グリッドコンピューティング国際標準化調査研究委員会を親委員会とし、その下のグリッドコンピューティング標準化調査研究委員会で実務を行った。2008年3月には、3年間の年活動報告書をまとめた。これに基づきJIS原案を作成したが、用語の定義について委員の間の意思統一に時間が掛かった。

4月1日付けで産業技術総合研究所の組織変更があり、グリッド研究センターは発展的に消滅し、情報技術研究部門に吸収合併された。3月下旬にグリッド標準化事業は国の基準認証事業として公募され、「グリッドをJIS化する」という事業を産総研との共同で行うとしてINSTACから4月2日に応募し、採択された。成果目標として、JISの原案を作成し、OGFやISOでの国際標準化に向けて活動することが要求された。7月から活動を始め、集中的に議論を進め、グリッドシステムのガイドラインをまとめるとともに、英語版をOGFに提出した。ガイドラインをJISのフォーマットに書き直すのと並行してOGFをやりとりを進め、“Guidelines of Requirements for Grid Systems v1.0”は、11月にOGFでのdocument processでPublic Commentの期間に入った。フォーマットの調整には多くの時間を要したが、2009年12月7日の会議でJISとして承認された。最終的には、2010年2月22日に「JIS X7301 グリッドシステム要求事項策定のための指針(Guideline for designing requirements of grid systems)」として制定された。ちなみに、この日は平成22年2月22日で2のぞろ目であった。グリッドを国の規格(de jure)にするなど空前絶後であろう。

6) OpenCL
2008年6月10日、サンフランシスコのMoscone West Convention Centerで開かれていたApple社のWorldwide Developers Conferenceにおいて、Mac OS X Snow Leopardに搭載される予定の技術の1つとしてOpenCL (Open Computing Language)が発表された。標準化団体Khronos Groupは、6月16日に作業部会CWG (Compute Working Group)を発足させ、そこでApple社によるOpenCLの仕様草案が英案された。2008年12月9日にSingaporeで開催されたSIGGRAPH Asia 2008(第1回)において、正式版となるOpenCL 1.0の仕様が発表された。

7) Open XML
Microsoft社は、2008年4月1日、Office 2007で採用している文書ファイル形式“Office Open XML(Open XML)”が、国際標準化機構(ISO)と国際電気標準会議(IEC)による合同技術委員会で標準として承認されたと発表した。April foolかと一瞬おどろいた。Open XMLは、2006年12月に標準化組織のECMA Internationalによって承認され、ECMA InternationalがISO/IECにOpen XMLの規格案を提出。これまで議論が重ねられてきていた。一方、Office Open XMLの対抗馬とされる“OpenDocument Format”(Sun Microsystems社などが推進)は、2006年にISO標準として認められていた。EUの競争監視機関である欧州委員会は2008年1月、Microsoft社のビジネス手法に関する調査を開始した際、Office Open XMLが競合他社製品との十分な相互運用が可能かどうかも検証すると述べており、反トラスト法の調査が進められている。

8) PDF
Adobe SystemsのPortable Document Format (PDF 1.7)が2008年7月2日に、国際標準化機構(ISO)によって新たな標準ISO 32000-1:2008として認証された。この認証は、Adobe社がPDF仕様を企業コンテンツ管理に関する非営利組織AIIM (Association for Information and Image Management)に公開し、ISO認証への道筋を開いてから1年半後のことである。(ITmedia 2008/7/3)

次はアメリカ政府関係の動きである。LANLのRoadrunnerは始めてLinpackで1 PFlopsを越えた。

left-arrow   new50history-bottom   right-arrow