新HPCの歩み(第249回)-2007年(b)-
理化学研究所の次世代スーパーコンピュータ開発実施本部では、21個のターゲットアプリケーションを決定した。総合科学技術会議は「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」を承認した。JAXAは3つの事業所に設置されていた3つのスーパーコンピュータを1つに統合したJAXA Supercomputer System (JSS)を調布事業所に設置し、運用を開始した。 |
次世代スーパーコンピュータ開発(続き)
5) 次世代スーパーコンピュータ開発戦略委員会
2006年1月に設置された文部科学省次世代スーパーコンピュータ開発実施本部の開発戦略委員会は、2007年には以下のように会議を開いた。
日付 | 議事内容 | ||||||||
第6回 | 2007年2月1日 | 1.概念設計について(内容と方針) | 2.今後のスケジュール | 3.次世代計算科学研究開発プログラムの研究計画について | |||||
第7回 | 2007年3月7日 | 1.システム構成案の検討状況 | 2.COE形成について |
6) ターゲットアプリケーション
理化学研究所、2006年1月24日の開発戦略委員会において、アプリケーション検討部会を設置した。2006年の所にも書いたが、議事は以下の通り。
日付 | 会議 | 議事内容 | |||||||
2006年 | 1月25日 | 第1回アプリケーション検討部会 | 設置趣旨の確認及びと今後の活動の審議 | ||||||
3月 1日 | 第2回アプリケーション検討部会 | 提案アプリケーション(107種)のリスト及び優先順位付けの方法の審議、分野別会合の開催 | |||||||
3月30日 | 第3回アプリケーション検討部会 | 提案アプリケーションの評価結果のとりまとめ、分野別の審議、優先順位の決定 | |||||||
7月5日 | 第4回アプリケーション検討部会 | BMTコードの開発について、BMTコードによる性能評価について、ペタフロップス超BMTコードの作成について | |||||||
12月7日 | 第5回アプリケーション検討部会 | 概念設計進捗状況およびBMT結果の中間報告について、運用検討案、グランドチャレンジおよびCOE構築に向けて | |||||||
2007年 | 1月23日 | 第6回アプリケーション検討部会 | 概念設計中間報告に関する評価結果案、システム概要、BMTによる性能評価 | ||||||
3月1日 | 第7回アプリケーション検討部会 | ターゲットアプリケーションについて、システム構成案、COE形成について |
2007年4月9日、21個のターゲットアプリケーションを決定した。
7) SciDAC2007会議
次世代スパコンの情報が少し開示されたが、6月24日~28日にボストンで行われるSciDAC2007会議で、坂田東一理事が
“High Performance Computing beyond PetaScale in Japan”
という講演をするという情報が流れた。どこまで情報を開示するか知らないが、アメリカがどんな反応をするか楽しみであったが、出席したわけではないのでわからない。この日程はISC2007とぶつかっている。
8) 情報科学技術委員会 次世代スーパーコンピュータ作業部会 9月14日の正式決定を受けて、文部科学省情報科学技術委員会は2007年11月7日「次世代スーパーコンピュータ作業部会」設置した。
委員の名簿は以下の通り。
(主査)土居 範久 | 中央大学理工学部教授 | ||||
有川 節夫 | 九州大学 理事、副学長、附属図書館長 | ||||
大島 まり | 東京大学生産技術研究所教授 | ||||
加藤 金芳 | 武田薬品工業株式会社 医薬研究本部検索研究センターリサーチマネージャー | ||||
川添 良幸 | 東北大学金属材料研究所教授、情報シナジーセンター長 | ||||
吉良 爽 | 財団法人高輝度光科学研究センター理事長 | ||||
坂内 正夫 | 情報・システム研究機構 国立情報学研究所長 | ||||
佐藤 哲也 | 独立行政法人海洋研究開発機構地球シミュレータセンター長 | ||||
白井 克彦 | 早稲田大学 総長 | ||||
知野 恵子 | 読売新聞東京本社編集委員 | ||||
平尾 公彦 | 東京大学 副学長 | ||||
表具 喜治 | 兵庫県 産業労働部長 | ||||
福山 秀敏 | 東京理科大学理学部教授 | ||||
松田 潔 | 三菱化学株式会社 理事 | ||||
松本 紘 | 京都大学 理事、副学長 | ||||
宮内 淑子 | メディアスティック株式会社 代表取締役社長 | ||||
安岡 善文 | 独立行政法人国立環境研究所理事 | ||||
山根 一眞 | ノンフィクション作家 |
2007年中に第1回会議を開催した。
日付 | 主な議事 | |||||||
第1回 | 2007年12月26日 | 次世代スーパーコンピュータ作業部会について、次世代スーパーコンピュータプロジェクトについて(議事録)(配付資料) |
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9) 次世代スーパーコンピュータシンポジウム
理化学研究所次世代スーパーコンピュータ開発実施本部では10月3日(水)~ 4日(木)に「次世代スーパーコンピュータシンポジウム2007 -ペタスケール・システムの利用に向けて」を丸の内明治安田生命ビル内MY PLAZAホール及びMY PLAZA会議室で開催した。今回は若手研究者からのポスターを公募し、これを審査して最優秀賞、優秀賞を選考し、受賞者をSC07のレポータとして派遣することとなった。筆者は、ポスター審査会主査を依頼された。主要講演は次の通り。全体プログラムは上記のページを参照。
政策講演 「スーパーコンピューティングの国家戦略」 | 藤木 完治 文部科学省 大臣官房審議官(研究振興局担当)スーパーコンピュータ整備推進本部長 | ||||
プロジェクト進捗状況報告 | 渡辺 貞 プロジェクトリーダー | ||||
基調講演「計算科学への挑戦」(次世代を担う若者へのメッセージ) | 岩崎 洋一 筑波大学長 | ||||
「ス―パーコンピューティング技術産業応用協議会活動報告」 | スーパーコンピューティング技術産業応用協議会 |
講演資料やポスターセッション資料もwebに残っている。昨年同様、6つの分科会の報告をまとめ全体討議の提言をまとめた。SC07レポータとして参加した最優秀賞、優秀賞受賞者の参加報告も参照のこと。
10) グランドチャレンジ
前年度から始まった2つのグランドチャレンジアプリケーション(正式には「次世代スーパーコンピュータを最大限活用するためのソフトウェアの開発・普及」)研究のうち、2006年4月から始まった「次世代ナノ統合シミュレーションソフトウェアの研究開発」(代表、分子研平田文男)は、2007年3月5日~6日に岡崎コンファレンスセンターにおいて「第1回公開シンポジウム」を開催した。プログラムは以下の通り。
3月5日
13:00 | 挨拶 | 中村宏樹(分子研)、勝野頼彦(文科省)、茅幸二(理研) | ||||||
13:20 | 次世代スーパーコンピュータプロジェクトの概要 | 渡辺貞(理研) | ||||||
13:40 | ナノ分野グランドチャレンジ研究開発報告 | 平田文男(分子研) | ||||||
14:10 | NAREGIグリッド研究開発報告 | 三浦謙一(情報研) | ||||||
14:30 | 生命・生体シミュレーションの進捗状況 | 姫野龍太郎(理研) | ||||||
14:50 | 休憩 | |||||||
15:10 | 次世代ナノ情報機能・材料 次世代ナノ複合材料活動報告 | 寺倉清之(産総研) | ||||||
15:30 | 次世代ナノ情報機能・材料 次世代ナノ電子材料活動報告 | 前川禎通(東北大金研) | ||||||
15:50 | 次世代ナノ情報機能・材料 次世代ナノ磁性材料活動報告 | 高山一(東大物性研) | ||||||
16:10 | 次世代ナノ生体物質活動報告 | 岡崎進(分子研) | ||||||
16:30 | 次世代エネルギー活動報告 | 平田文男(分子研) | ||||||
16:50 | スーパーコンピューティング技術産業応用協議会報告 | 高棹滋(産応協議会) | ||||||
17:10 | 大規模シミュレーションによる生体超分子ダイナミクス | 北尾彰朗(東大分生研) | ||||||
17:40 | 懇親会 |
3月6日
9:00 | 物性科学WG活動報告 | 寺倉清之(物性科学WG) | ||||||
9:15 | 分子科学WG活動報告 | 平田文男(分子科学WG) | ||||||
9:30 | システム運用活動報告 | 水谷文保(分子研) | ||||||
9:45 | グリッド実証活動報告 | 斉藤真司(分子研) | ||||||
10:00 | 次世代ナノアプリケーション連携ツール活動報告 | 米満賢治(分子研) | ||||||
10:15 | ポスターセッション | |||||||
11:45 | 昼食 | |||||||
13:00 | 招待講演:有機材料を用いた界面デバイス機能 | 岩佐義宏(東北大金研) | ||||||
13:40 | 招待講演: 生体中の脂質分子集合体におけるコレステロール分子の役割 | 八田一郎(福井工大) | ||||||
14:20 | 招待講演:植物性細胞壁を糖化する微生物酵素 | 苅田修一(三重大工) | ||||||
15:00 | 休憩 | |||||||
15:20 | 合金の内部構造のマルチスケール第一原理計算 | 毛利 哲夫(北大工) | ||||||
15:40 | 強磁性ナノ構造におけるスピン流とスピン蓄積のシミュレーション | 今村裕志(産総研) | ||||||
16:00 | スピン間相互作用のチューニングによって創られる新しい量子状態 | 川島直輝(東大物性研) | ||||||
16:20 | 固体触媒の励起過程を取り扱う理論的手法の開発 | ○中井浩巳、山内佑介、星野稔、菊池那明(早大理工) | ||||||
16:40 | 挨拶 | 平田文男(分子研) |
2006年10月から始まった「次世代生命体統合シミュレーションソフトウエアの研究開発」(代表理研茅幸二)は、2007年12月25日、MY PLAZAホールにおいて「次世代生命体統合シミュレーション・シンポジウム2007」を開催した。プログラムは以下の通り。
10:00 | 開会挨拶 | 倉持 隆雄(理化学研究所理事) | |||||||
10:05 | 基調講演「シミュレーションが切り拓く新しい生物学-夢と発想の展開へ-」 | 郷 通子(お茶の水女子大学学長) | |||||||
10:50 | プロジェクト紹介 -ライフサイエンスの未解決問題に迫る- | 姫野龍太郎(理研) | |||||||
11:10 | セッション1 パネルディスカッション「階層を超えるモデリングへの挑戦」 | モデレータ:姫野龍太郎(理研) | パネリスト:木寺詔紀(理研)、横田秀夫(理研)、高木周(理研)、樋口知之(統数研) | ||||||
13:00 | 休憩・昼食 | ||||||||
14:10 | セッション2 パネルディスカッション「医療を通じた社会への貢献に向けて」 | モデレータ:加藤千幸(東大) | パネリスト:杉田有治(理研)、末松誠(慶応大)、高木周(理研)、宮野悟(理研)、泰地真弘人(理研) | コメンテータ:朝比奈宏(東芝メディカルシステムズ(株))、安東敏彦(味の素(株))、藤原巌(大日本住友製薬(株)) | |||||
16:10 | 休憩 | ||||||||
16:25 | セッション3 講演会 | 「未踏の分野に挑む」 | 司会:梶谷文彦(理研) | ||||||
Ⅰ「生命システム制御のための次世代シミュレーション」 | 上田泰巳(理研) | ||||||||
Ⅱ「全脳シミュレーション」 | 甘利俊一(理研) | ||||||||
Ⅲ「創薬と超高速コンピュータ」 | 北村一泰(大正製薬(株)) | ||||||||
17:55 | 閉会挨拶 | 茅幸二(理研) | |||||||
18:15 | 懇親会 |
日本政府の動き
1) 日本学術会議
学術会議は毎年情報学シンポジウムを開いてきたが、2007年は3月16日に「情報学の未来」というテーマで開催され、日本学術会議情報学委員会の拡大委員会として位置づけた。また終了後、はあといん乃木坂において懇親会をおこなった。筆者も連携会員として参加した。
日本学術会議情報学委員会E-サイエンス分科会の第20期第1回は、2007年2月15日(木)に日本学術会議で開催され、西尾章次郎が委員長に指名された。初回の分科会なので、求められる役割は何かについて議論がなされた。委員から、今期より学会を母体とする選出過程でなくなり、学会との連携が薄れるのではないかとの指摘があった。坂内正夫委員による「E-サイエンスに関する国内外の動向」、下條真司委員による「情報通信技術が加速する国際融合科学」のプレゼンの他、文部科学省科学技術・学術審議会学術分科会 研究環境基盤部会学術情報基盤作業部会の報告の紹介があった。第2回のE-サイエンス分科会は、2007年8月31日に日本学術会議で開催された。三宅 なほみ委員から「地方中堅どころの私立大学における学術情報システム」と松岡 聡委員による「学術情報インフラに関する欧米の最新動向」の話題提供があった。
国際サイエンスデータ分科会は、2007年5月21日、国立科学博物館、情報知識学界CODATA部会との共催により、第1回DS(知的基盤)研究会を、国立科学博物館(上野)において開催した。知的基盤とは、研究用材料、計量標準、計測方法・機器等、データベースなどを指す。第2回DS研究会は、2007年8月2日に東京大学柏キャンパスで開催された。これは、7月29日から8月3日まで、NSFとの共催で同所で開催されたSummer School Data Science and Design Science on Materialsの一般セッションに合わせて開かれた。
国際サイエンスデータ分科会としては、2007年9月13日、今年度第1回の会議を日本学術会議で開催した。「国際動向に対応した国内の横の連携の強化」「価値創成のための人材養成、人的な厚み・多様性・柔軟性」などを頭におき、委員長の選出および今後の活動方針の議論を行った。後半は、他のCODATA関係者や11月に予定している日米ワークショップの関係者も入れた拡大会議となった。
第2回は10月22日午後、日本学術会議において開催した。前回と同様、後半は拡大会議とした。
国際共同ワークショップ「Japan-U.S. Cooperative Science Program : Designing Global Information Commons for Innovation in Frontier Sciences(グローバル情報コモンズのデザイン:フロンティア・サイエンスのイノベーションへ向けて)」は、2007年11月8日~10日に東京大学柏キャンパスで開催された。
2) 総合科学技術会議
同会議の専門調査会の一つに評価専門調査会がある。2007年度の活動を記録する。
日付 | 主な議題 | |||||||
第62回 | 2007年2月26日 | 評価システム改革の推進について(配付資料)(議事録) | ||||||
第63回 | 2007年3月29日 | 評価システム改革の推進について、「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」の評価について(配付資料)(議事録) | ||||||
第64回 | 2007年5月22日 | 大規模研究開発の事前評価フォローアップ実施方法について、評価システム改革の推進について(配付資料)(議事録) | ||||||
第65回 | 2007年6月1日 | 評価システム改革の推進について(配付資料)(議事録) | ||||||
第66回 | 2007年7月5日 | 大規模研究開発の事前評価のフォローアップについて(配付資料)(議事録) | ||||||
第67回 | 2007年8月6日 | 国家的に重要な研究開発の評価「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」について、大規模研究開発の事前評価のフォローアップについて(配付資料)(議事録) | ||||||
第68回 | 2007年9月7日 | 平成19年度における大規模研究開発の事前評価について、各府省における研究開発の中間・事後評価等の実施状況について、評価システム改革の推進について(配付資料)(議事録) | ||||||
第69回 | 2007年11月5日 | 平成19年度における大規模研究開発の事前評価について(配付資料)(議事録) |
3月29日の第63回会議では、机上に
○ 「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」について(平成17年11月28日)
○ 「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」のフォローアップ結果(平成18年10月5日)
が置かれていた。評価検討会の委員を会長が選任して評価検討会(座長:伊澤達夫NTTエレクトロニクス株式会社特別顧問)を発足させる。文部科学省で概念設計の評価を進め、それをこの評価検討会で聞き取るという形をとることとなった。理研とメーカーとの関係、および国益という点で、公開できない情報を議論する必要があり、それには総合科学技術会議より文部科学省の会議の方がふさわしいとの議論があった。
次に述べるように情報科学技術委員会 次世代スーパーコンピュータ概念設計評価作業部会が3月から活動を開始し、6月12日に最終報告書がまとめられた。これを受けて、6月21日に第1回評価検討会が、7月6日に第2回評価検討会が開催され、文部科学省から資料が提出された(この資料はwebに残っていない)。
上記のように、8月6日の第67回評価専門調査会評価検討会に国家的に重要な研究開発の評価「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」についての原案が示され、了承された。これによると、
・理研のシステム構成案が適切なものであり引き続き研究開発を進めるべきであるとした、文科省の評価結果はおおむね妥当。
・文科省は、(文科省の)作業部会による評価において課題とされた事項の状況等につき随時フォローしつつ、引き続き研究開発を推進すべき。
との評価を受けた。
この原案は、9月13日、総合科学技術会議第69回会議に提出され、正式に決定された。
3) 科学技術学術審議会
2007年中に開かれた文部科学省科学技術学術審議会は以下の4回である。次世代スーパーコンピュータ開発に関する議題はほとんどない(予算の一部に出る程度)。
日付 | 主な議題 | |||||||||
第20回 | 2007年1月19日 | (第三期最後) | 1.平成19年度予算案について | 2.各分科会等の審議状況について | 3.科学技術・学術の振興方策等について | |||||
第21回 | 2007年2月1日 | (ここから第四期) | 1.会長及び会長代理の選出について | 2.議事運営等について | 3.今後の調査審議について | |||||
第22回 | 2007年9月6日 | 1.平成20年度概算要求等について | 2.各分科会等の審議状況について | 3.学術研究の振興について | ||||||
第23回 | 2007年10月18日 | 1.長期的展望に立つ脳科学研究の基本的構想及び推進方策について(諮問) | 2.各分科会等の審議状況について | (配付資料)(議事録) |
4) 情報科学技術委員会
文部科学省科学技術・学術審議会の情報科学技術委員会は下記のように開かれている。第41回では次世代スーパーコンピュータの立地地点の決定が了承され、第43回では次世代スーパーコンピュータの概念設計の評価が正式決定されている。
日付 | 主な議事 | |||||||
第38回 | 2007年1月26日 | ITBLプロジェクト事後調査について、平成19年度世英府予算案について (議事要旨)(配付資料) | ||||||
第39回 | 2007年3月8日 | 次世代スーパーコンピュータ概念設計評価作業部会について、ITプログラムの事後評価について、平成19年度における「次世代IT基盤構築のための研究開発」の公募について (議事要旨)(配付資料) | ||||||
第40回 | 2007年3月19日 | 「ITプログラム」最終成果報告会 (議事要旨)(配付資料) | ||||||
第41回 | 2007年4月2日 | 次世代スーパーコンピュータ立地地点の決定について、平成20年度より重点的に推進すべき研究開発について (議事要旨)(配布資料) | ||||||
第42回 | 2007年4月25日 | 「ITプログラム」の事後評価について、平成20年度より重点的に推進すべき研究開発について、次世代スーパーコンピュータの概念設計の評価について (議事要旨)(配付資料) | ||||||
第43回 | 2007年6月12日 | 次世代スーパーコンピュータの概念設計の評価について、「ITプログラム」の事後評価について(議事要旨)(配付資料) | ||||||
第44回 | 2007年7月30日 | 平成20年度予算概算要求について(議事要旨)(配付資料) | ||||||
第45回 | 2007年8月23日 | 平成20年度における情報科学技術分野の重点事項の評価について(議事要旨)(配付資料) | ||||||
第46回 | 2007年11月7日 | 総合科学技術会議による平成20年度概算要求における科学技術関係施策の優先度判定等について、2.次世代スーパーコンピュータプロジェクトについて(議事要旨)(配付資料) |
5) 世界トップレベル国際研究拠点形成促進プログラム(WPI)
文部科学省は、2007年度から世界トップレベル国際研究拠点形成促進プログラム、英語名WPI (World Premier International Research Center Initiative)を開始した。「第3期科学技術基本計画」と「イノベーション創出総合戦略」に基づき、世界トップレベルの研究拠点を構築することを目指し、支援するのが目的である。1拠点あたり年間5〜20億円程度の支援を10年間(特に優れた拠点については更に5年間延長を認める)行う。2007年3月29日に公募を開始し、5月29日までに22機関33件の応募があった。審査の結果、以下の5機関5件が採択された。拠点長はその後変わっている。
ホスト機関 | 拠点構想の名称 | 拠点長候補 | ||||||
東北大学 | 国際高等原子分子材料研究拠点 | 大学院理学研究科・教授 山本 嘉則 | ||||||
東京大学 | 数物連携宇宙研究機構 | UCB/LBNL 教授 村山 斉 | ||||||
京都大学 | 物質-細胞統合システム拠点 | 再生医科学研究所・所長 中辻 憲夫 | ||||||
大阪大学 | 免疫学フロンティア研究センター | 微生物病研究所・教授 審良 静男 | ||||||
物質・材料研究機構 | 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 | フェロー 青野 正和 |
次の採択は2010年度。
6) NAREGI
2007年2月20日(火)に、NAREGIシンポジウム2007「グリッドで切り開く次世代研究環境」が一橋記念講堂で開催された。開催趣意書には、「NAREGIはグリッドミドルウェアを研究開発するプロジェクトとして2003年にスタートしましたが、2006年からは次世代スーパーコンピュータ開発利用プロジェクトの一環として、次世代スーパーコンピュータを各大学のHPCと連携させて利用するグリッド環境も合わせて研究開発することとなりました。これらの研究開発を進めるためには、HPCを使う方々、HPCを管理する方々、HPCを開発する方々など多方面の方々から意見をいただき、それを我々の研究開発にフィードバックしていくことが重要であると考えています。今回のシンポジウムでは下記プログラムの講演をはじめ、グリッド環境を自由に体験していただくコーナなどを設けます。多くの方々に参加いただき、忌憚の無いご意見をお願いいたします。」とある。プログラムは以下の通り。
10:15 | 次世代研究環境を切り開くNAREGIサイエンスグリッド | 三浦 謙一 (NII) | |||||||
11:00 | グリッド環境を利用したこれからの計算科学 | 平田 文男(分子研) | |||||||
11:30 | 次世代研究環境を目指すNAREGIグリッドミドルコア技術 | 松岡 聡(NII/東工大) | |||||||
13:30 | 次世代研究環境を目指すNAREGIデータグリット゛ | 松田 秀雄(大阪大) | |||||||
14:10 | 次世代研究環境を目指すNAREGIグリッドミドル利用環境 | 宇佐見 仁英(NII) | |||||||
15:50 | NAREGIグリッドミドルを使ったシステム構築に向けて | ① 東京工業大学 | ② 大阪大学 | ③ 高エネルギー加速器研究機構 |
チュートリアル
12:30 | GridMPIの概要と使い方 | ||||
14:00 | GridRPCによるグリッドプログラミング入門 | ||||
15:30 | Mediatorの利用法 |
2007年9月3日に、グリッド研究開発拠点が神保町三井ビルから一ツ橋の学術総合センターに移転した。また、11月10日~16日のSC07 (Reno)においてNAREGIブースを出展した。
7) 地球シミュレータ
2005年度、2006年度行われた「先端大型研究施設戦略活用プログラム」は、2007年度からは「先端研究施設共用イノベーション創出事業」に衣替えし、課題選定は東北大学川添良幸教授が担当した。2009年度からは「先端研究施設共用促進事業」に変わる。
2007年2月12日に公表されたところによると、WRN (Willis Research Network)は、これまでも国際的に著名な大学と共同研究を行っているが、今回、気候モデルから気候変動による災害の確率を計算し、保険会社に提供するということで、地球シミュレータセンターと3年の契約を締結した。
2007年8月20日、Blue Coat Systems, Inc. (Sunnyvale, Calif.)は、地球シミュレータセンターが同社のBlue Coat SG Client softwareを大規模ファイルの遠隔転送のために採用したと発表した。
2007年11月14日、各紙に「地球シミュレータが部品交換で能力を2倍にする」計画を概算要求しているとの記事が出た。来年度予算では、維持費とは別に5億円を計上し、2009年3月を目途に640台ある計算ノードの半数など主要部品をレンタルで更新し、残り半分はその時点で運用を終える、とのことである。要は更新なのであるが、地球シミュレータは独自開発機器なので、これを汎用品に転換し、コストを抑えて性能向上を図る、という言い方になった。10月から次期機種の選定を行っており、来春にも入札を実施する。クラスタの性能も上がっており、SX-9採用の出来レースではないことを強調した。次世代スーパーコンピュータ計画が進む中での生き残り策であった。
2007年12月6日に、海洋開発研究機構東京事務所で、「地球シミュレータ産業利用シンポジウムが開催された。プログラムは以下の通り。
10:30 | 開会の挨拶 | 海洋研究開発機構 平野 哲 | ||||||
10:40 | 地球シミュレータの産業利用推進 | 海洋研究開発機構 新宮 哲 | ||||||
11:00 | 地球シミュレータによる新技術への可能性の追求 | 高度情報科学技術研究機構 手島正吾 | ||||||
11:30 | 昼食・休憩 | |||||||
13:00 | 新幹線車両の空力騒音シミュレーション | JR東日本 水島 文夫 | ||||||
13:30 | 有機材料の発光特性シミュレーション | 住友化学 善甫 康成 | ||||||
14:00 | ゴム中のナノ粒子ネットワーク構造のモデル構築による高性能タイヤの開発 | SRI研究開発 岸本 浩通 | ||||||
14:30 | 休憩 | |||||||
14:50 | RSS21革新的シミュレーションソフトウェアについて | 東京大学 加藤 千幸 | ||||||
15:20 | 次世代ナノデバイス開発のためのマルチスケール機能シミュレーション | 物質・材料研究機構 大野隆央 | ||||||
15:45 | タンパク質-化学物質相互作用のマルチスケールシミュレーション | 国立医薬品食品衛生研究所 中野達也 | ||||||
16:10 | 休憩 | |||||||
16:25 | 地球シミュレータ成果専有型有償利用のご案内 | 海洋研究開発機構 新宮 哲 | ||||||
16:35 | 地球シミュレータ利用のコストとFrontFlow/blueのコンサルティングサービスのご紹介 | みずほ情報総研 山出 吉伸 | ||||||
16:55 | 地球シミュレータを利用した受託計算サービスのご紹介 | アドバンスソフト 小池秀耀 | ||||||
17:25 | 閉会の挨拶 | 海洋研究開発機構 平野 哲 | ||||||
18:00 | 懇親会 |
8) 日本原子力研究開発機構
2006年度第2回の計算科学技術推進専門部会は2007年2月14日に開催され、これまでの活動が報告された。2007年3月16日には、原子力コード研究委員会と原子力計算科学研究評価専門部会が開催された。2007年度第1回の計算科学技術推進専門部会は、8月23日に開催された。システム計算科学センターで行われている「環境中物質循環モデル開発」「ISプロセスプラントシミュレータ開発」「3) 材料物性マルチスケールモデリング」「地球シミュレータ利用」などについて議論した。
9) JAXA (JSS1発足)
JAXA(宇宙航空研究開発機構)は、2003年10月1日、文科省宇宙科学研究所(ISAS)、航空宇宙技術研究所(NAL)、宇宙開発事業団(NASCA)が統合されて発足した。
航空宇宙技術研究所(NAL、調布)では、2002年から128台のCPUを搭載したPRIMEPOWER HPC2500を14台InfiniBandで接続したCeNSSシステムと、64ノードのベクトル計算機SX-6/64M8が稼働していた。
2007年に調布、角田、相模原の各事業所に設置されていた3つのコンピュータを1つに統合したJAXA Supercomputer System (JSS)を調布事業所に設置し、運用を開始した。2009年4月から本格稼働。4月23日には運用開始式典が盛大に開催された。
JSSはスカラ計算を行うMシステムとPシステム、共有メモリスカラのAシステム、共有メモリベクトルのVシステム、ストレージシステムなどから成る。Mシステムは、富士通FX1、Quadcore SPARC64 VII 2.52 GHz、Infiniband DDR接続で、2009年6月のTop500では、コア数12032、Rmax=110.60 TFlops、Rpeak=121.28 TFlopsで28位にランクしている。Pシステムも384ノードのFX1である。AシステムはSE M9000、VシステムはSX-9 3ノードである。(JSS News 2009/7/1)当初はJSS(JAXA Supercomputer System)と呼ばれていたが、JSS2に移った後はJSS1と呼ばれている。
日本政府関係の動きの続きは次回。JSTはまたまた廃止統合の対象となった。東北大学金属材料研究所はBlueGene/Lの小型版「NIWS Gene/S Turbo」の運用を開始した。
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