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1月 16, 2019

ファーウェイ、最高性能のArm CPUを発表

HPCwire Japan

Doug Black

現在のエンタープライズ・コンピューティングにおけるArmの勢いの中で、中国の技術巨人であるファーウェイが明らかにしたのは、ビッグデータ、分散ストレージおよびArmのネイティブ・アプリケーションをターゲットにした業界最大性能のArmベースのCPUであった。

Kunpeng 920と呼ばれるファーウェイが設計した7nmプロセスのチップは、ARMv8アーキテクチャをベースとしている。ファーウェイによると、通常の周波数において、SPECintベンチマークにおいてスコアは930以上であり、業界平均よりも25パーセント高く、電力効率は30パーセント向上する。「分岐予測アルゴリズムを最適化し、OPユニットの数を増やし、メモリサブシステム・アーキテクチャを改善したことで、プロセッサのパフォーマンスが大幅に向上しました。」と発表の中で述べている。

Kunpeng 920は2.6 GHzの動作周波数で64コアを搭載している。このチップセットは8チャンネルのDDR4を搭載し、メモリ帯域幅が既存のARM製品を46%上回ると同時に、2つの100G RoCEポートでシステム統合機能を改善したと語っている。このチップはPCIe 4.0およびCCIXインターフェースをサポートし、640 Gbpsの総帯域幅を提供する。シングルスロットのスピードは「既存の製品の2倍のスピード」とファーウェイは述べており、ストレージおよび各種アクセラレータのパフォーマンスを向上させる。

ファーウェイは同時に、Kunpeng 920搭載サーバのTaiShanシリーズの3つのモデルも発表した。1つ目はストレージを、もうひとつは高密度を、そして3つ目は両方の要件のバランスを重視している、とメニーコアと電力当たりの性能におけるアドバンテージを強調して同社は述べている。

「TaiShanは、企業向けに高性能で低消費電力のコンピューティングプラットフォームを実現します。」と同社は述べている。 「例えば、ビッグデータのシナリオにおいては、TaiShanサーバは20%の演算性能の向上を実現するために、最適なメニーコア、高い並列性とリソーススケジューリングに調整されています。」

同社はこの新サーバを使ってファーウェイ・クラウドにおける「エラスティック・クラウドサービス、ベアメタルサービス、およびクラウド電話サービス」を提供する。

ファーウェイは、自社のArmによるイニシアチブは、オープンで協調性のあるArmエコシステム内で進行中であると述べている。同社は、Hortonworks、Microsoft、Oracle、SAP、SUSE、Ubuntu、およびChina Standard Softwareと協力して、Green Computing Consortium(GCC)、Linaro、Open EdgeおよびHPC Initiative(OEHI)などの組織と協力していく。

ハードウェアの面では、ファーウェイはLinaroのコアメンバーであり、ソフトウェアの面では、OpenStack FoundationとCloud Native Computing Foundation(CNCF)のメンバーだ。

同社は声明の中で、「ファーウェイは、すべてが接続され、センシングとインテリジェントを持ったインテリジェントな社会が進行中であり、このトレンドは加速していると考えています。」と述べている。「スマート端末上でのArmベースのアプリケーションの開発と統合は、クラウドとデバイスのコラボレーションとともに加速しています。さらに、クラウドコンピューティングにおける新しいアプリケーションがデータの多様性を促進しています。たとえば、ビッグデータアプリケーション、分散ストレージ、および一部のエッジコンピューティングシナリオでは、メニーコア・ハイパフォーマンス・コンピューティングに固有のエネルギー効率要件があります。そのような状況の中で、Armシステムはパフォーマンスと消費電力の点で独特の利点で際立っています…(A)多様化したコンピューティングの新しい時代が開かれています。複数のデータ型とシナリオがコンピューティングアーキテクチャの最適化を推進しています。最適なパフォーマンスを得るために複数のコンピューティングアーキテクチャを組み合わせることが必須になります。」

画像:ファーウェイの取締役兼最高戦略マーケティング責任者であるWilliam Xuが、同社のArmベースのサーバーCPU Kunpeng 920を発表