新HPCの歩み(第242回)-2006年(h)-
中国科学院は、開発したCPU「龍芯」の英語名をLoongsonと発表した。江南計算技術研究所は、ShenWei(申威) SW-1プロセッサを開発した。他方、上海交通大学で独自開発と標榜していた漢芯プロセッサは全くの虚偽であることが暴露された。世界中で異機種混成のシステムが多数登場し、いよいよ「ヘテロの時代」かと思われた。 |
ヨーロッパの政府関係の動き
1) LRZ (Leibniz Rechenzentrum)(Altix 4700)
ミュンヘン近郊のGarchingにあるLeibniz-Rechenzentrum (Leibniz Supercomputing Centre)は、2006年7月21日、連邦政府教育研究大臣Dr. Annette Schavanおよびバヴァリア州科学研究芸術大臣Dr. Thomas Goppelを迎えて、新しいビルの竣工式を行うと同時に、新しいスーパーコンピュータシステムHLRB-IIのお披露目を行った。これはSGI Altix 4700 1.6 GHzでItanium 2 Montecito 2Cを4096コア搭載している。(HPCwire 2006/7/28) Rmax=24.36 TFlops、Rpeak=26.214 TFlopsで2006年11月のTop500では18位にランクしている。その後9728コアに増強し、2007年6月のTop500ではRmax=56.52 TFlops、Rpeak=62.2592 TFlopsで10位。
2) RZJ (Forschungszentrum Jülich)
ドイツJülichのスーパーコンピュータセンターでは、3月からJülich Blue Gene (JUBL)が稼働している。6月のTop500では、コア数16384、Rmax=37.33 TFlops、Rpeak=45.88 TFlopsでTSUBAMEに続いて8位にランクしている。ヨーロッパでは、フランスのCEAのTera-10に続いて2位である。(News Release 2006/6/28)
3) CSCS (Centro Svizzero di Calcolo Scientifico)
スイスのイタリア語地域MannoにあるCSCS (Swiss National Supercomputing Centre)は、2005年から稼働しているHorrizon (Cray XT3, 2.6 GHz, 1100 cores)を50%増強し、1644 coresとした。Rmax=7.182 TFlops、Rpeak=8.6528 TFlopsで、2006年6月のTop500では64位である。
4) AWE (Atomic Weapons Establishment)
イギリスの防衛組織AWEはCray XT3(2.6 GHz dual core, 7812 cores)を導入した。入札では6社が競合した。(HPCwire 2008/3/14、日付は2008年だが内容から見て、2006年のニュースと思われる) 2006年11月のTop500ではRmax=32.5 TFlops, Rpeak=40.6 TFlopsで15位にランクしている。
5) オランダのグリッドDAS-3
2001年から運用してきたオランダの研究用グリッドDAS-2(The Distributed ASCI Supercomputer-2)は、2006年8月からDAS-3に更新された。DAS-1とDAS-2は同質性を保つために、同一のノートアーキテクチャを採用したが、DAS-3は、CPUはAMD Opeteronであるが、以下のように異質性が若干増えている。オランダの研究資金提供機関とVL-s(Visual Laboratry for Science)プロジェクトと参加各組織が資金を出している。クラスタ間のネットワークは光のStarPlaneである。(Overview)
設置 |
ノード |
コア |
クロック |
メモリ |
ノードHDD |
Storage |
Network |
VU |
85 dual |
Dual |
2.4 GHz |
4 GB |
250 GB |
10 TB |
Myri-10G & GbE |
LU |
32 dual |
Single |
2.6 GHz |
4 GB |
400 GB |
10 TB |
Myri-10G & GbE |
UvA |
41 dual |
Dual |
2.2 GHz |
4 GB |
250 GB |
5 TB |
Myri-10G & GbE |
TUD |
68 dual |
Single |
2.4 GHz |
4 GB |
250 GB |
5 TB |
GbE only |
UvA-MN |
46 dual |
Single |
2.4 GHz |
4 GB |
1.5 TB |
3 TB |
Myri-10G & GbE |
VU:Vrije Universiteit, Amsterdam アムステルダム自由大学
LU:Leiden University ライデン大学
UvA:University of Amsterdam アムステルダム大学
TUD:Delft University of Technology デルフト工科大学
UvA-MN:The MultimediaN Consortium マルチメディアン・コンソーシアム
6) CSC (Center for Scientific Computing, Espoo, Finland)
フィンランドのCSCは、2006年10月、Cray社の超並列機(コード名Hood、後のXT4)を導入することを決定した。2006年末から2008年にかけて段階的に設置され、最終的には70 TFlopsの計算能力をユーザに提供する。(HPCwire 2006/10/13) 2007年6月のTop500ではLouhi(Cray XT4、2.6 GHz)が、コア数2024、Rmax=8.88 TFlops、Rpeak=10.53 TFlopsで109位にランクしている。2008年11月のTop500には、Cray XT5/XT4 QC 2.3 GHzが、コア数10816、Rmax=76.51 TFlops、Rpeak=99.51 TFlopsで32位にランクしている。
7) NTNU (Norwegian University of Science and Technology)
ノルウェーTrondheimにある同大学は、IBM社のp5 575 (1.9 GHz)を導入した。2006年11月のTop500では、コア数960、Rmax=6.00 TFlops、Rpeak=7.30 TFlopsで112位にランクしている。(HPCwire 2006/5/12)
8) BSC (MareNostrum増強)
2005年4月1日に設立されたスペインのBarcelona Supercomputer Centerの主力機MareNostrumはIBM社のJS20 Cluster PPC 970 (2.2GHz)を4800コア搭載し、Rmax=27.91 TFlops、Rpeak=42.14 TFlopsであったが、2006年中にBladeCenter JS21 Cluster, PPC 970, 2.3 GHz、コア数10240に増強し、Rmax=62.63 TFlops、Rpeak=94.21 TFlopsで、2006年11月のTop500では5位にランクした。従来のノードは5台のスーパーコンピュータに再構成したようである。(Wikipedia: Spanish Supercomputer Center)
9) CeSVIMa (Magerit)
Madrid工科大学とIBMは共同でMageritを開発し、2005年にCeSViMa (Centro de Supercomputación y Visualización de Madrid、The Supercomputing and Visualization Center of Madrid)に設置したが、わずか124ノードでTop500にも載らなかった。2006年、1204ノードに増強した。2006年11月のTop500では、コア数2408、Rmax=14.00 TFlops、Rpeak=21.19 TFlopsで、34位にランクしている。Top500のデータはCeSViMaの場所をBSCと書いてあるが、バルセロナではなくマドリードである。(Wikipedia: Magerit)なおMageritはマドリードの古名で、アラビア語の「アル・マジュリート(水の源)」に由来するとのことである。
中国の動き
1) 国家中長期科学技術発展規画(2006年~2020年)
中国国務院は、2006年2月9日に、中国の科学技術政策の根幹となる計画として国家中長期科学技術発展規画を発表した。電子情報通信分野では、情報産業の重要技術を掌握し、技術水準を世界のトップレベルに引き上げることを目標としている。7つの優先テーマ、「近代的なサービス業の情報支援技術および大規模アプリケーションソフト」「次世代ネットワークの重要技術・サービス」「高効率で信頼性の高いコンピュータ」「センサーネットワークおよびインテリジェント情報処理」「ディジタルメディア・プラットフォーム」「高解像度の大スクリーン薄型テレビ」「重要システムの情報安全」を指定し、3つの先進技術「インテリジェント・センシング技術」「自己組織ネットワーク技術」「バーチャルリアリティ技術」を提示している。(JST アジア・太平洋総合研究センター 2022)(内閣府資料)
また、2006年10月27日には、科学技術部が「第11次5ヵ年」科学技術発展規画を発表した。
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2) 中国科学院(Loongson)
2006年11月18日、MIPSアーキテクチャの中国製CPU「龍芯」の英語名をLoongsonと決めたと発表した。これまではGodsonと呼ばれていた。これを開発したのは、中国科学院コンピュータ技術研究所で、開発者はHu Weiwu(胡偉武)教授。2001年から開発を始め、2002年には龍芯1号(32ビット、266 MHz)、2003年には龍芯2号(64ビット、300-500 MHz)を完成している。Godson-2Eは、47Mトランジスタを含み、Pentium IVを越えるが消費電力は3~4Wだという。すでに量産体制に入っている。年末にはさらに改良しGodson-2Fを開発する予定と発表していたが、完成は2007年になった(写真はWikichipから)。2010年4月には、中国科学院と北京市は、共同で株式の投資と設立を主導し、龍芯テクノロジー株式会社(Loongson Technology Corporation Limited)を設立して産業化される。
3) 江南計算技術研究所(SW-1)
中国江蘇省無錫にある江南計算技術研究所(1951年創立)は、ShenWei(申威) SW-1プロセッサを開発した。これは軍の組織で、正式には中国人民解放軍 戦略支援部隊 網絡系統部第五十六研究所というらしい(日本漢字で)。命令セットはDEC Alphaを基にしていると推測されている。シングルコアで、クロックは900 MHz。ファブはどこであろうか。
4) China HPC Top100
5回目となるChina HPC Top100 2006が発表された。10位までを記す。性能の単位はTFlopsである。Top500は2006年11月のTop500での順位を示す。
順位 |
Top500 |
設置場所 |
製造 |
機種 |
Cores |
Rmax |
Rpeak |
1 |
57 |
中国気象局 |
IBM |
IBM SP Power4+, eServer pSeries 655 (1.7 GHz Power4+) / 3200/ Federation |
3200 |
10.31 |
21.76 |
2 |
82 |
上海超級計算中心 |
曙光 |
曙光 4000A/640×4 Opteron 2.2GHz/Myrinet |
2560 |
8.061 |
11.264 |
3 |
? |
大慶油田勘探開発研究院 |
HP |
HP BL20p G3 Blades cluster/Xeon 3.2GHz/656×2/ Giga-E |
1312 |
4,6938 |
8.3968 |
4 |
192 |
中国科学院超級計算中心 |
聯想 |
深腾6800/256×4 Itanium 2 1.3GHz/QsNet |
1024 |
4.193 |
5.3248 |
5 |
220 |
工業部門 |
HP |
HP Cluster Platform 4000 DL145 Cluster/AMD Opteron |
1044 |
3.9588 |
5.0112 |
6tie |
254tie |
地球物理 |
IBM |
BladeCenter HS20 Cluster, Xeon EM64T 3.4 GHz/Giga-E |
1064 |
3.755 |
7.2352 |
6tie |
254tie |
石油公司 |
IBM |
BladeCenter HS20 Cluster, Xeon EM64T 3.2 GHz/Giga-E |
1024 |
3.755 |
6.5536 |
8 |
303 |
地球物理 |
IBM |
BladeCenter HS20 Cluster, Xeon EM64T 3.4 GHz/Giga-E |
980 |
3.59365 |
6.664 |
9 |
311 |
地球物理 |
IBM |
BladeCenter HS20 Cluster, Xeon EM64T 3.4 GHz/Giga-E |
960 |
3.52031 |
6.528 |
10 |
? |
石油勘探院 |
HP |
HP Blade Cluster BL20Ps/Xeon 3.4GHz/Gig-E |
900 |
3.4443 |
6.1616 |
Top500にはこれ以下に10件あるが、ゲーム会社が目立つ。
5) 聯想集団(Lenovo)
既に述べたように、2005年5月、IBM社は全PC事業を中国の連想集団に売却した。2006年、米中経済安全保障検討委員会(U.S.-China Economic and Security Review Commission)は、安全保障上の理由からレノボのPCを米国政府機関が使用することに懸念を表明した。CNET Japan 2006/5/25によれば、国務省が2006年3月20日にLenovo社から$13Mで購入した16000台のPCについて、機密文書を扱わない業務だけで使用すると5月19日発表した。この発表に対し、Lenovo社の董事会主席の楊元慶氏や役員クラスの人々は、中国の各メディアに対して反論のコメントを出している。レノボがIBMのPC部門購入以降、米国においても米国のルールを守ってきており、かつ欧州などでは、すでに国防部門など政府部門からの受注を受けているというのに今回の仕打ちを受けたと不満を隠せない。また今回購入したレノボ製PCは、米国政府が導入したPCの1%に過ぎないにも関わらず、全世界で展開するレノボブランドに悪影響を与えると訴える。
6) 漢芯事件
2003年に発表され、龍芯、申威、飛騰に次ぐ4つめの中国独自チップかと思った「漢芯(hanxin)」が全くのねつ造であったという事件があった。2006年5月12日付けで上海交通大学のweb siteに出た記事によると、中国初のDSP (Digital Signal Processor)として宣伝された「漢芯1号」(2003)から「漢芯5号」まですべて他社製品の流用であったことが発覚した。発表会で、「漢芯1号」を載せたポータブルMP3レコーダが展示されたが、これはMotorolaのdsp56858の表面を削って、別のマークを刻印したものであった。「漢芯2号」は他企業からの委託品であったそうだ。それでも自分で設計したのか?「漢芯3号」は「漢芯2号」の微細な拡張で、「漢芯4号」は他所のSoCを使っただけとか。2006年初頭、中国インターネット上のサイトTianya Club(天涯社区)に載った記事によって暴露された。上海交通大学の陳進教授は教授と院長の職を剥奪され、研究費の返還も請求された。(Wikipedia: Hanxin)(CNET Japan 2006/5/19)(Science Portal China 2018/6/29)
アジアの動き
1) 台湾(中央気象局)
台湾中央気象局では、1999年からVPP5000を利用してきたが、2006年に4代目のIBM p5-575 cluster 1600に更新した。
世界の学界の動き
1) ヘテロ時代の到来?
ヘテロコンピュータの時代が来るのではという年であった。Cray社も、Sun社も、SGI社もみんなヘテロをやっている。IBMまでRoadrunnerのようなヘテロを作ろうとしている。日本でも東工大のTSUBAMEはヘテロだし、京速コンピュータも究極のヘテロになるかと思われた。均一のマルチコアには終わりが見えてきたのか?しかし、ヘテロへの移行は、マルチコアへの移行よりはるかに難しい。(HPCwire 2006/7/14)(HPCwire 2006/9/15)
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2) Goto BLAS
Texas大学Austin校のRobert A. van de Geijnの客員研究員であったKazushige Gotō (後藤和茂)は、IntelのPentium III、Pentium 4、Alpha Processor、POWER3およびPOWER4のための高性能なBLASの実装を発表し、その性能の高さが評判になった。最初はDGEMMだけであったが、2003年1月、完全なBLASのセットを公開した。これはGotoBLASと呼ばれた。LinkedInによれば、かれの本職は1994年4月から2004年10月まで日本の特許庁の審査官だったので、BLASの開発は余技だったようである。世界で最高速のスーパーコンピュータ11台のうち4台はLinpack性能計測の際、Goto BLASを使っていると言われている。
2004年8月、TACC (Texas Advanced Computing Center)は後藤和茂をフルタイムの研究員として採用すると発表し、12月に着任した。2006年4月、TACCはGoto BLASを公開した(HPCwire 2006/5/1)。かれの手によるチューニングはどんなツールよりもよいコードを作ると言うことで、「人間は機械に勝った」とHPCwireの記事は述べている。(HPCwire 2006/2/3、写真もこの記事から) 後藤和茂氏は、統計数理研究所において、12月11日、「GotoBLAS チュートリアル」を行うとともに、12月8日~9日に開催された「Rの整備と利用」研究会においても講演を行った。
かれは天才で、まず紙と鉛筆で仕事をはじめ、それからコンピュータに向かって、自分のプランを実行に移すコードを書く。「私はまず紙の上にコードを書き、特定のアーキテクチャ上で何がベストかを考える。それは厳密な過程である。あるチップ上で最適化するためには、数十行のプログラムが2000~3000行にも増える。」と述べている。
なお、氏は2010年2月から2012年7月まではMicrosoft、その後はIntelに勤務している。
3) LAPACK 3.1
Dongarraらは2006年11月12日にLAPACK version 3.1を公表した。
4) ABC@home
整数論の未解決問題である「ABC予想」に関連し、条件を満たす整数の三つ組みを、分散コンピューティング(遊休資源グリッド)によって見つけることを意図して、2006年に、オランダのLeiden大学数学研究所とKennislink科学協会が共同でABC@homeプロジェクトを立ち上げた。これはSETI@homeなどと同様に、The Berkeley Open Infrastructure for Network Computing (BOINC)を用いている。このプロジェクトにより多数の三つ組みが見つかった。もちろん、それによってABC予想そのものを証明できるわけではない。
5) 多層ニューラルネットワーク
2006年、Toronto大学のGeoffrey Hintonらは、2006年、制限Boltzmann machine(同一層間の接続がない)によるAuto-encoderの深層化に成功し、深層学習(deep learning)の用語が広まった。Geoffrey Hintonは、John Hopfieldとともに、2024年のノーベル物理学賞を受賞する。
6) Atanasoff記念シンポジウム
2003年にはJohn Atanasoff(1903/10/4~1995/6/15、ブルガリア人移民の息子)生誕100年の集会がIowa State Universityで行われたが、2006年10月3日~6日には、IEEE John Vincent Atanasoff 2006 International Symposium on Modern Computingが、ブルガリアのSofiaでIEEE/CS主催で開催された。詳細は不明。
国際会議
1) ISSCC 2006(San Francisco)
第53回目となるISSCC 2006 (2006 IEEE International Solid-State Circuits Conference)は、2006年2月5日~9日にSan Francisco Marriot Hotelにおいて、“Multimedia for a Mobile World”のテーマで開催された。主催者は、IEEE Solid-State Circuits Society, IEEE San Francisco Section, Bary Area CouncilおよびPennsylvania大学である。3件の全体講演があった。
Where CMOS is Going: Trendy Hype versus Real Technology |
Tze-Chiang (TC.) Chen, IBM Fellow |
ICs for Mobile Multimedia Communications |
Herman Eul, Senior Vice-President and CEO of Infineon Communications |
Toward Future Computer Entertainment Systems |
Ken Kutaragi, President and CEO of Sony Computer Entertainment[久夛良木健] |
参加者は3538名であった。電子版の会議録はIEEE Xploreに置かれている。
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2) CHEP 2006(Mumbai)
第15回にあたるCHEP 2006 (Computing in High Energy and Nuclear Physics)は、2006年2月13日~17日に、インドのMumbaiのTata Institute of Fundamental Researchで開催された。写真は会議のポスターである。
3) PPSC 2006(San Francisco)
第12回目となるPPSC 2006またはPP06 (the Twelfth Conference on Parallel Processing or Scientific Computing)は、2006年2月22日~24日にカリフォルニア州San FranciscoのSir Francic Drake Hotelで開催された。以下の招待講演が行われた。
Materials Properties from Ab-Initio Simulations: Recent Progress and New Challenges |
Giulia A. Galli, UC Davis/LLNL |
e-Science and Cyberinfrastructure |
Tony Hey, Microsoft Corporation |
Raising the Level of Abstraction in Parallel Programming |
Laxmikant Kale, University of Illinois |
Extending Scalability of Dual-Primal FETI Domain Decomposition |
Axel Klawonn, Universität Duisburg-Essen, Germany |
Fine-Grained Parallel Genomic Computation |
Dominique Lavenier, IRISA/CNRS, Rennes, France |
Achieving Breakthrough Science with the BlueGene/L Supercomputer |
Jose Moreira, IBM T.J. Watson Research Center |
Biological Cell Modeling: Progress and Challenges |
Steve Plimpton, SNL |
Beating the Sparse Matrix Memory Bandwidth Bottleneck |
Barry Smith, ANL |
Partitioned Global Address Space Languages |
Katherine Yelick, UC Berkeley |
4) ARCS 2006(Frankfurt)
ARCS 2006 (International Conference on Architecture of Computing Systems 2006)は、2006年3月13日~16日にドイツのFrankfurt/Mainで開催された。会議録は、Springer社からLNCS 3894として出版されている。
5) CGO-2006(New York)
第4回目となるCGO-2006 (The 4th Annual International Symposium on Code Generation and Optimization)は、New YorkのColumbia大学において3月26日~29日に開催された。主催はIEEE/CS TC-uARCHとACM SIGMICROとACMSIGPLANである。今年はACM SIGPLAN Symposium on Principles and Practice of Parallel Programming (PPoPP)との共同開催であった。参加者は221名を数えた。初日には3件のworkshopsと3件のtutorialsが開催された。基調講演は2件。
Keynote 1 |
Parallel Programming 2.0 |
Wei Li, Intel |
Keynote 2 |
Productivity and Performance: Future Directions in Compilers |
Kevin Stoodley, IBM |
6) Teraflop Workshop(Stuttgart)
第4回目となるTeraflop Workshopは、2006年3月30日~31日にStuttgartのHLRSで開催された。主催はHLRSとNEC。プログラムは以下の通り。
3月30日
9:15 |
Welcome |
|
9:30 |
The Teraflop Workbench Overview and Strategy |
|
10:00 |
Leading Computational Methods on Leading Scalar and Vector Platforms |
Leonid Oliker, LBNL, USA |
10:45 |
Coffee |
|
11:00 |
Implication of Memory Performance in Vector-Parallel and Scalar-Parallel HEC Systems |
Hiroaki Kobayashi, Tohoku University, Japan |
12:00 |
Lunch |
|
13:30 |
Visualization: Insight on your work |
Pascal Kleijer, NEC, Japan |
14:15 |
Status of NEC SX System Software |
Masashi Ikuta, NEC; Japan |
15:00 |
Coffee |
|
15:30 |
Large-scale ab-initio simulations with VASP |
Juergen Furthmueller, Friedrich- Schiller-Universität Jena, Germany |
16:00 |
Green chemistry from supercomputers: Car-Parrinello simulations for ionic liquids |
Ari P. Seitsonen, Université Pierre et Marie Curie, Paris, France |
16:30 |
Classical Molecular Dynamics on the NEC SX-8 |
Katharina Benkert and Franz Gähler, Stuttgart University, Germany |
17:00 |
wrap up and discussion |
|
18:00 |
social event |
3月31日
9:00 |
Terascale Simulation with Applications to High-powered Lasers and Material Science |
Alice Koniges, LLNL, USA |
9:45 |
Lattice Boltzmann HPC application in medical physics |
Joerg Bernsdorf, CCRLE, Germany |
10:30 |
Coffee |
|
11:00 |
Numerical analysis of unsteady vortex flows in incompressible fluids |
Albert Ruprecht, Stuttgart University and Stefan Borowski, NEC, Germany |
11:30 |
Architectures and performance: A overview for a lattice Boltzmann Application |
Peter Lammers, Universität Stuttgart, Germany |
12:00 |
Control of turbulent boundary-layer flow using slot actuators |
Ralf Messing, Stuttgart University and Frederic Svensson, NEC, Germany |
12:30 |
Lunch |
|
14:00 |
Towards peta-scale simulations in materials science |
Thomas Schulthess, ORNL, USA |
14:45 |
Echam |
Luis Kornblueh |
15:15 |
Coffee |
|
15:45 |
Modelling of Reentry Nonequilibrium Flows |
Markus Fertig, Stuttgart University, Germany |
16:15 |
The Agulhas System as a Key Region of the Global Oceanic Circulation |
Arne Biastoch, IFM GEOMAR, Germany |
16:45 |
Linear Iterative Solver for NEC Parallel Vector Systems |
Sunil Tiyyagura, Stuttgart University, Germany |
17:00 |
Closing remarks and end |
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会議録は“High Performance Computing on Vector Systems 2006”として、Springerから出版されている。
7) LinuxWorld(Boston, San Francisco)
4月3日の週に、Boston Convention and Exposition Centerにおいて、LinuxWorld Conference and Expoが開催された。(Linux Journal 2006/4/11) 8月14日~17日にはSan Franciscoにおいて開催された。ローカルなLinuxWorldは、この年、ロンドンでは10月25日~26日に、東京では5月下旬に開催された。
8) HPC User Forum(Richmond、Bologna、Zurich、Denver)
HPC User Forumは1999年にIDCを軸に設立され、HPC産業に関する問題を取り上げている。年2回はアメリカ国内で、他の2回は国外でフォーラムを開催している。第18回のForumは、バージニア州Richmondで2006年4月10日~12日に開催された。参加者は、アメリカ、ヨーロッパ、日本などから133名であった。(HPCwire 2006/4/21)(HPCwire 2006/5/19)
その後ヨーロッパに移り、第19回のForumは、5月29日~30日にイタリアのBolognaで、第20回のForumは6月1日~2日にスイスのZurichで開催された。(HPCwire 2006/6/9)
2006年9月18日~20日、Denverで開催された第21回のHPC User ForumではHorst Simonが講演し、中国、日本、アメリカのペタスケールへの動きを論じた。MontrealのConcordia大学のDavid Probst教授もPetascaleについて講演した。Richard Walsh (Army HPC Research Center)の司会するパネルでは多様化したマイクロプロセッサのHPCにおける選択が議論された。(HPCwire 2006/9/22)
2006年10月26日~27日にイギリスのManchesterで開催された第22回HPC User Forumでは、イギリス、ヨーロッパ、アメリカから80名が参加し、HPCにおける最先端の研究について論じた。(HPCwire 2006/11/3)
9) COOL Chips 2006(横浜)
第9回目のCOOL Chips 2006(IEEE Symposium on Low-Power and High-Speed Chips)が横浜情報文化センターで2006年4月19日~21日に開催された。基調講演等は以下の通り。
基調講演:Recent Trends in Vehicle Electronics |
Toshiki Abo (Nissan) |
基調講演:Computing with FPGAs |
Oskar Mencer (Imperial College London) |
招待講演:SoC, MCU technology for Automotive |
Atsushi Hasegawa (Renesas Tech.) |
10) IPDPS 2006(Rodos)
IPDPS 2006 (20th IEEE International Parallel & Distributed Processing Symposium)は、2006年4月25日~29日にギリシャのロードス島のRodos Palaceで開催された(ちなみに英語はRhodesだが、現代ギリシャ語のローマ字表記はRodos)。基調講演は以下の通り。
Massively Parallel Systems: Ready or Not, Here They Come |
Manish Gupta (IBM) |
Static Scheduling for Large-Scale Platforms: Can One Hope for Efficiency? |
Yves Robert (LIP Laboratory – CNRS) |
Progress in Supercomputing: The Top Three Breakthroughs of the Last 20 Years and the Top Three Challenges for the Next 20 Years |
Horst D. Simon (LBNL) |
会議録はIEEEからCD-ROMで出版されている。
「中島浩先生を偲ぶ会」(2021年11月27日)での朴泰佑の思い出話によると、この会議には日本から中島浩、朴泰佑、佐藤三久などが参加していた。中島浩は京都大学情報メディアセンターに異動する直前であったが、ギリシャ滞在中、同センターが次に導入するコンピュータについて思案しているとの話をしていた。朴泰佑はこの話を聞き、筑波大学と東京大学とで進めていた共通設計のPCクラスタ構想へ参加するよう佐藤三久とともに誘ったとのことである。これが同年9月に公表されるT2Kオープンスパコン構想(既出)の出発点となった。なお中島浩氏は、2021 年10 月6 日、帰宅途中、自宅近くでの交通事故により他界されました。ご冥福を祈ります。
11) Computing Frontier 2006(Ischia)
第3回目となるACM International Conference on Computing Frontiers 2006は、2006年5月2日~5日に前2回と同じくイタリアのIschia島で開催された。後援はACM SIGMicroである。Tutorialが付いて1日会期が増えている。基調講演として、Michael Gschwind (IBM)が“Chip Multiprocessing and the Cell Broadband Engine”の講演を行った。
12) GPC’2006(台中)
The First International Conference on Grid and Pervasive Computing (GPC 2006)は2006年5月3日~5日に台湾の台中にあるTunghai University(東海大學)で開催された。その後毎年開催されている。会議録はSpringerから出版されている。
国際会議の続きは次回。
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