世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


3月 7, 2016

夢の液浸型コンピュータ

HPCwire Japan
Fujiwara-Yokokawa
最優秀賞を受賞した藤原一毅氏(左)とHPC研究会の横川主査(右)

世の中はエクサスケール・システムの開発に向けて動きを強めているが、やはり大きな問題のひとつは電気と熱の問題だ。実装密度が高くなると共にそれを冷やすための冷却技術が必要となる。その中でも有力なのがコンピュータ自体を冷媒の中に浸けてしまう液浸型だ。ただし、冷媒自体も高価であったり取り扱いが難しいし、液浸型でも暖まった冷媒自体をどこかで冷却する必要があるのだ。その冷媒が無料で、無尽蔵にあるとしたら、それは夢のような技術だろう。

先週3月1日から3月3日までの3日間、道後温泉において恒例の情報処理学会ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)研究会温泉合宿で開催された。その中で第4回となるHPCアイデアコンテストが開催された。最優秀賞を受賞したのは国立情報学研究所の藤原一毅氏と鯉渕道紘氏のチームで、タイトルは「メンテナンス可能な水没HPC」であった。

タイトルにもあるようにこの技術は液浸と呼ぶよりは水没と呼ぶ方が相応しい。ノード自体を完全防水加工して、それを水の中に水没させるのだ。一番良いのは河川を使うことで、水は無尽蔵に流れており、冷却には困らない。特に水力発電所が近くにあれば電力と冷却の問題を一気に解決することもできる。問題はノードが故障した場合だが、こればかりはノード毎交換するしかなさそうだ。

コンテストでは実際に冷水で冷却する実験を披露してくれた。以下のビデオを見て欲しい。途中でモニタの画面が消えるがこれはケーブルが外れただけである。水を掛けてもノードが動作し続けることに注目だ。