世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


8月 27, 2013

ベアメタルクラウドの利点

HPCwire Japan

Tiffany Trader

クラウドコンピューティングは、企業に多くのメリットを約束している − 中でも敏捷性、スケーラビリティ、低コストである − しかし、ほとんどのパブリッククラウドに内在する仮想化レイヤーは、HPCコミュニティのちょっとした嫌われ者である。 ベアメタル・クラウドがその答えとなりうるのか?

今日のクラウドは、仮想化、自動化とオーケストレーションを含む技術の組み合わせで構築されている。 いくつかのサークルでは、仮想化はクラウドとほぼ同義であるが、上記のすべてにおいて、クラウドは弾力的で、スケーラブルで、オンデマンドでアクセス可能な資源のプールである。 特にHPCコミュニティのためのクラウドコンピューティングの多くは、 非仮想化クラウドとして知られている「ベアメタル」の類いである。

たとえ今日のサーバ仮想化が過去数年に比べてとてもスムーズだったとしても、何もベアメタルの性能を否定することはできない。 仮想化されたクラウドコンピューティングの問題の幾つかは、INTERNAP社のホスティングサービス担当副社長、Gopala Tumuluriによって最近明らかにされた。

Tumuluriは、HPC利用者が既に知っていることを指摘している:パブリッククラウドに共通の仮想化された多重テナント向けプラットフォームは、性能低下の影響を受けやすい。「ハイパーバイザは、単一のボックスで複数の仮想マシンを実行するために必要な可視性、柔軟性、および管理機能を可能にしているが、それはまた、パフォーマンスに大きな影響を与える付加的な処理オーバーヘッドを生み出す。」とトゥムルーリは書いている。

データ負荷が重いと、特にサービスが処理超過状態の場合、悪影響を受ける可能性が最も高い。 このような設定は、あまりにも多くの仮想マシンがサーバ資源争うとき時に発生するため、騒がしい隣人問題と呼ばれている。

特に遅延に敏感なワークロードにとって、これはベアメタルクラウドが大きな利点を提供できるところだ。共有サーバの欠点無しにサービスとして専用ハードウェアを提供することは、ユーザーにクラウドのメリット、柔軟性、拡張性と効率性を提供できる。

Tumuluriは、用語に細心の注意を払うようクラウド採用者に注意する:

「真のベアメタルクラウド機能を他の関連用語と混同しないことが重要だ。例えば、「専用インスタンス」などはマルチテナント環境の一部であるし、「ベアメタルサーバ」や「専用サーバ」は固定アーキテクチャで長期的な契約を伴う管理ホスティングサービスのことかもしれない。」と彼は書いている。 「ベアメタルクラウド・モデルは、完全に占有を基本として販売された物理ハードウェアに、オンデマンドでの利用と従量課金を可能にするものです。」

ベアメタルクラウドは、急激な重いI/Oワークロードに良く適合する。理想的な利用事例は、メディア・エンコーディングおよびレンダーファームである。両方とも周期的でデータ集約的である。「過去には、組織はクラウドにこれらのワークロードを置くことが出来きませんでした。もしくは単に低い性能レベルを受け入れなければなりませんでした。」とTumuluriは述べている。

ビッグデータ・アプリケーションを使う企業もベアメタル・オプションを検討することにおそらく興味があるだろう。これは、仮想クラウド・サーバ上では遅延が発生する大容量で高速なデータにとってに非常に有効だ。

最後に、小さくはないセキュリティの問題について。厳格なコンプライアンス・ガイドラインを持つ組織(金融、政府、ヘルスケアを想定)は、明確に定義された物理環境にデータを格納することによって利益を得ることがでる。

包括的な用語としては、サービスとしてのインフラストラクチャ(IaaS)は、異なる利用事例のための様々なシナリオが用意されている。 HPCワークロードにとって、専用のホスティング・オプションにクラウドのような機能(弾力性、使い易さ、ユーティリティ方式の課金など)を併せることで、両方の最大の利点を提供できるかもしれない。