新HPCの歩み(第264回)-2008年(c)-
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T2Kは6月2日、筑波大学、東京大学、京都大学で正式に稼動した。東京工業大学のTSUBAMEは、NVIDIA GT200を付加し、1.2となった。国立天文台はCray XT4を導入した。 |
日本の大学センター等
1) T2K設置
筑波大学、東京大学、京都大学の3大学センターが共通の基本設計で次期スパコンを導入するというT2K計画は2006年9月5日に発表された。その後、多少の遅れはあったが順調に進み、昨年のところに書いたように、2007年12月25日に入札結果が発表された。
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筑波大学 |
Appro社(住商情報システム) |
XtreamServer-X3を648ノード。メモリ20 TB。Infiniband 8 GB/s×2で接続。 |
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東京大学 |
日立 |
HA8000を952ノード。メモリ31 TB。Myrinet 10Gで接続。4クラスタに分割。 |
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富士通 |
HX600を416ノード。メモリ13 TB。Infiniband 8 GB/s×2で接続。SPARC Enterprise M900のSMPサーバを併設。 |
2008年6月2日に、筑波大、東大、京大の3大学にそれぞれ設置されたT2Kスパコンが正式稼動を開始した。3大学合計の計算ピーク性能は約300TFlopsである。
2) 「T2Kシンポジウムつくば2008」
運用に先立ち、2008年4月7日に筑波大学計算科学研究センターにおいて、「T2Kシンポジウムつくば2008」が開催された。プログラムは以下の通り。
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10:00 |
開会挨拶 |
岩崎洋一(筑波大学長) |
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10:10 |
T2K筑波システムの導入と運用方針について |
佐藤三久(筑波大学) |
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10:30 |
基調講演:クラスタコンピューティングとT2Kアライアンス ~過去・現在・未来~ |
石川裕(東京大学) |
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11:30 |
T2K筑波システムの概要と利用プログラム計画 |
朴泰祐(筑波大学) |
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12:15 |
昼食 |
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13:30 |
T2K筑波システムの導入、運用サポートとプラン ~新世代クラスタシステム構築におけるチャンレンジ~ |
中野守(クレイジャパンインク社長) |
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14:00 |
パネルディスカッション1:T2Kアプリケーション |
モデレータ:佐藤三久 |
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15:30 |
休憩 |
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15:45 |
パネルディスカッション2:T2K連携とグリッド運用 |
モデレータ:中島浩(京都大学) |
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17:15 |
T2K連携デモンストレーション |
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17:45 |
閉会挨拶 |
宇川彰(筑波大学) |
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3) T2Kオープンスパコン運用開始式典・シンポジウム
2008年6月2日(月) 、東大と筑波大は12:30から、京大は14:00から記者発表を行った。その後、東京大学武田先端知ビルを軸に、東大が筑波大・京大をテレビで結んで(三元中継)T2Kオープンスパコン運用開始式典・シンポジウムがあり、筆者も出席した。朴泰祐副センター長(筑波大)は、あいさつで、「学際計算科学の推進」を謳った。東大の片桐氏は、パネルで、SMASHの重要性を力説した。これはメリーランド大学のDavid Levermore氏の提唱した概念でScience—Modeling—Algorithm—Software—Hardwareの連携である。写真はパネル風景[T2Kシンポジウム報告から]。プログラムは以下の通り。
第一部 T2Kオープンスパコン東大版 システム運用開始式典 主催:東京大学情報基盤センター
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13:30 |
御挨拶・御祝辞
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米澤 明憲(東京大学情報基盤センター長) 岡村 定矩(東京大学理事・副学長) 勝野 頼彦(文部科学省研究振興局情報課長) |
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13:50 |
T2Kオープンスパコン東大版と新サービスの御紹介 |
石川 裕(東京大学情報基盤センター教授) |
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14:10 |
見学会 |
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第二部 T2Kシンポジウム -T2Kオープンスパコンによるペタスケール計算への道- 主催:T2Kオープンスパコンアライアンス
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15:00 |
御挨拶 |
米澤 明憲(東京大学情報基盤センター長) 美濃 導彦(京都大学学術情報メディアセンター長) 朴 泰祐(筑波大学計算科学研究副センター長) 関根 仁博(文部科学省研究振興局情報課情報科学技術研究企画官) |
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15:30 |
パネル討論「ペタスケール計算への道:T2Kオープンスパコンによる学際研究・教育・支援」 |
司会:石川 裕(東京大学情報基盤センター) パネリスト: 関根 仁博(文部科学省研究振興局情報課) 姫野 龍太郎(理化学研究所) 吉川 耕司(筑波大学計算科学研究センター) 朴 泰祐(筑波大学計算科学研究センター) 羽角 博康(東京大学気候システム研究センター) 片桐 孝洋(東京大学情報基盤センター) 大村 善治(京都大学生存圏研究所) 中島 浩(京都大学学術情報メディアセンター) |
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17:00 |
見学会 |
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4) 「T2Kオープンスパコン」とは何か
T2Kは筑波大、東大、京大と北から所在地順に頭文字を取ったもので、この3大学が共同で、調達すべきスパコンの仕様を決定したのでこのような命名になっている。これまで、大学のスパコンは、要求する性能と価格などを示し、それに対してメーカーがハードウェア構成を提案するというやり方が普通であったが、3大学共通仕様(規模は異なる)という購買パワーを活かして、大学側で欲しいスパコンの仕様を提示し、それにあった製品を仕様書に記載した。
Open Supercomputerという別名に示されたように、市販品のCPU、市販品のネットワーク、OSや通信ライブラリも標準品を使い、浮動小数点演算だけでなく、大規模整数問題を実行するユーザも含めてオープンに広い範囲のユーザに使ってもらうというオープンポリシーのもとに、次のような仕様を策定した。
•計算ノードあたりの性能が145GFlops以上のマルチソケットx86アーキテクチャ
•計算ノードあたり5GB/s以上のマルチリンクネットワーク
•計算ノードあたり32GB以上のメインメモリ
•計算ノードあたり130GB以上のローカルディスク
•計算ノードあたり40GB/s以上のメモリバンド幅
•OSはLinux、コンパイラはFortran、C、C++、通信はMPI
この仕様にはどこのCPUを使えとは指定していないが、x86アーキテクチャで高性能となると、IntelとAMDしか解がない。しかし、Intelは2008年の終わりにならないとNehalem(コード名)が出ないので間に合わず、4チップのquad-core OpteronをHyperTransportで接続したノードしか事実上解がないという仕様であった。
5) 「T2Kオープンスパコン」の導入
この仕様で3大学が入札を行い、今年の1月~2月に受注業者が発表され、東大は日立、京大は富士通が受注した。筑波大は、住商情報システムが主契約者となり、米国Appro社のサーバとFlextronix社のInfiniBandスイッチなどのハードウェアを納入し、クレイジャパンがシステム構築と保守を行うという形態で受注した。京大より予算の少ないと言われる筑波大が、ピーク性能の高いシステムを入れられたのは、Appro社の方がコストパフォーマンスが良かったのであろうが、苦労も多かったようである。筑波大、東大、京大のマシンは、6月のTop500においてそれぞれ21位、17位、35位となった。
稼働前の4月には筑波大で、また稼働日には3大学をビデオ中継してシンポジウムが行われたが、10月には「T2Kシンポジウム2008 in 京都 ―T2Kから始まる次世代スパコンへの道―」が2008年10月24日京都大学吉田キャンパスで開催された。
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写真は上からT2K筑波[センターページ]、T2K東京[センターページ]、T2K京都[富士通ページ]。
6) 東京大学
東京大学情報基盤センターでは、2008年10月からの本運用に先出ち、6月からの試行期間において、公募型の「試行期間限定 T2Kオープンスパコン(東大)HPC特別プロジェクト」を実施した。特に、大量の計算リソースを必要とする計算を優先した。29件の応募があり、10件を採択した。報告が、スーパーコンピュータニュースVol.11特集号2(2009年3月)に掲載されている。
また、日本応用数理学会との共催で、2008年12月3日~4日に、東京大学情報基盤センターにおいて、『日本応用数理学会「2008年秋の学校」:科学技術計算のためのマルチコアプログラミング入門』を開催した。講師は、同センター中島研吾。参加者は、学部学生、大学院生、教職員、研究機関、企業から計41名であった。
情報基盤センターでは、ASE(Advanced Supercomputing Environment)研究会が始まった。第1回は3月3日で講師はDr. Osni Marques(LBNL)、第2回は8月20日でプログラムは以下の通り。
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13:30 |
ペタスケールシミュレーションのソフトウェア基盤 |
小野謙二(理研) |
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14:45 |
正方形管路内乱流の数値シミュレーション~乱流中の秩序構造と二次流れ~ |
関本敦(大阪大学)
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15:15 |
大規模密行列に対する古典Gram-Schmidt直交化の高速化 |
横澤拓弥、高橋大介(筑波大) |
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15:45 |
実対称固有値問題に対する多分割の分割統治法の並列化 |
坪谷怜(埼玉大学) |
7) 京都大学
京都大学学術情報メディアセンターは、6月、T2Kオープンスパコンとともに、SPARC Enterprise M9000サブシステム (128 cores×7 nodes, 7 TB, 8.96 TFlops)を導入した。
2008年12月には汎用コンピュータシステムの更新を行った。従来のFujitsu PRIMERPOWER HPC2500とPRIMERGYからなるシステムを、NEC Express5800/ECO CENTER汎用サーバ(8 core+16 GB)×40 nodesおよび(8 core+12 GB)×88ノードなどからなるシステムに変更した。
8) 東北大学(SX-9、改組、50周年)
東北大学情報シナジーセンターは、2008年3月、スーパーコンピュータSX-9の運用を開始した。16ノード、256個のCPUから成り、ピーク性能は26.2 TFlopsである。
4月、情報シナジーセンターはサイバーサイエンスセンターに改組された。11月14日、「SX-9導入披露&SENAC50周年記念式典」を開催した。これは、初代センター長である大泉充郎氏が、NECと共同で、東北大学における最初の電子計算機であるパラメトロン計算機「SENAC-1」を完成させてから50周年を迎えたこと、さらに、今年4月に、最新鋭のベクトル型スーパーコンピュータ「SX-9」を世界に先駆け設置し、運用を開始したことを記念して開いたものである。
9) 大阪大学(SX-8R+SX-9)
大阪大学サイバーメディアセンターは、2008年7月、スーパーコンピュータSX-9を追加導入した。10ノードでピーク性能は16.4 TFlopsである。昨年導入したSX-8Rとの2機体制となった。両機は、2014年8月31日にサービスを終了し、2014年12月9日より、SX-ACEが稼働した。
また、8月には高信頼基幹・全学ネットワークシステム(ODINS5)を導入した。
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10) 東京工業大学(TSUBAME)
2006年4月3日、東京工業大学はスーパーコンピュータTSUBAME(Tokyo-tech Supercomputer and UBiquitously Accessible Mass-storage Environment)を稼働させたが、 その後NVIDIA社のGPUボードTesla 10pを680枚設置することによりTSUBAME1.2にアップグレードした。2008年11月のTop500ではRmax=77.48、Rpeak=161.816で30位となっている。2008年12月2日、報道陣にTSUBAME1.2を公開した。この日には「CompViewシンポジウム2008」が開催され、NVIDIAの共同創設者であるJen-Hsun Huang社長兼CEOが特別講演を行った。その後チューニングを進め、2009年6月のTop500ではRmax=87.01 TFlopsで41位となった。[写真はASCII 2008/12/3から]
11) 京都大学化学研究所
京都大学化学研究所は、2008年1月、SGI Altix 4700を導入した。CPUは1.6 GHzのIntel IA-64 (2 CPU)を128基で、コア数256、Rpeak=1.6 TFlopsである。
12) 岡崎共通研究施設(Hitachi SR16000)
岡崎共通研究施設 計算科学研究センターでは、2008年、汎用コンピュータ枠をNEC SX-7とNEC TX7の組み合わせからHitachi SR16000(288 way)に変更した。
13) 国立天文台
国立天文台はCray XT4 QuadCore 2.2 GHzを導入し、2008年4月から運用を開始した。コア数3248、Rpeak=28.582、Rmax=22.93で6月のTop500では77位、11月には135位であった。
14) 核融合科学研究所
核融合科学研究所(土岐市)は、2008年9月3日に次期プラズマシミュレータについて発表を行った。現マシンSX-7/160M5は2008年12月で運用を終了し、2009年3月より日立のシステムを設置すると発表した。運用期間は2009年3月~2015年3月の6年間であるが、2012年10月に中間レベルアップを行う。主システムと副システムからなるが、当初の主システムはHitachi SR16000 Model L2/128, Power6 4.7Ghz(Infiniband接続)で4096コアからなる。2009年6月のTop500では、Rmax=56.6 TFlops、Rpeak=77.0 TFlopsで65位にランクしている。中間レベルアップによりHitachi SR16000 Model M1, POWER7 8C 3.836GHz(Custom Interconnect)で10304コアのマシンに置き換えた。2012年11月のTop500ではRmax=253 Tflops、Rpeak=316.209 TFlopsで95位であった。
次は日本の学界の疎きである。計算基礎科学コンソーシアムが設立される。神戸大学では次世代スーパーコンピュータ設置を好機として、大学院GP「大学連合による計算科学の最先端人材育成」を開始し、新研究科構想を打ち出した。
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