新HPCの歩み(第285回)-2009年(i)-
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エルピーダメモリは一般企業に公的資金を注入する第1号案件となった。名前の通り希望に向けて進めるのか。Sun GEC 2009が開催されたが、Sun Microsystems社の身売り話が混乱している中「これがサン・マイクロシステムズ株式会社 としては最後のEducation Seminar になるかもしれません」などという勧誘が流れていた。 |
日本の企業の動き
1) 富士通(Venus、TSMCとの協力)
次世代スーパーコンピュータ開発のところに書いたように、富士通は2009年3月2日、次世代スーパーコンピュータのスカラ部のために開発したSPARC64 VIIIfx (コード名Venus)の論理仕様書を発表した。チップ間のキャッシュコヒーレンシ機構がないのでサーバとして使い物にならないとの批判が業界紙に出ていたが、HPC専用なのでその批判は当たらない。もちろん、Intelなどのように、サーバとしてもHPCとしても使えるプロセッサで量産効果を狙うというビジネスモデルも考えられる。WebにはVer 15(26 Apr. 2010)が公開されている。
2009年4月30日、富士通はLSIの生産について、台湾積体電路製造(TSMC)との協力に合意したことを各紙が報じた。(富士通Press Release 2009/4/30)半導体の性能向上に伴い重くなる一方の投資負担を軽減する狙いとのことである。富士通マイクロエレクトロニクス(FML)とTSMCは合意に基づき、FMLはTSMCに40 nmプロセス世代のロジックICの製造を委託することとなる。さらに28 nmプロセス世代以降のプロセス技術の共同開発に向けた協議を進めていくとしている。「京」のプロセッサSPARC64 VIIIfxは国内での製造であるが、2011年に発表された「京」コンピュータの商用版であるPRIMEHPC FX10のプロセッサSPARC64 IXfxは、TSMCの40 nmプロセスで製造された。
日本政府の動きのところに書いたように、富士通は原子力研究機構から3つの異なる用途のシステムからなるピーク合計214 TFlopsの日本最高速のスーパーコンピュータを受注したと発表した。
2) 日本電気(GPGPUセミナー、Intel社と共同開発)
2009年9月2日、NEC・NVIDIA GPGPUセミナーがNEC本社ビル地下1階多目的ホールで開催された。プログラムは以下の通り。
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13:10 |
3.5世代PCクラスター:GPUスーパーコンピューティング ~大衆製品の専用化と一般化の波~ |
姫野龍太郎、理研情報基盤センター |
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14:00 |
GPU スパコンの今後の展開: TSUBAME 2.0 |
青木尊之、東京工業大学 |
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14:40 |
コーヒーブレーク |
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15:00 |
NVIDIA GPU対応PGIアクセラレータコンパイラの紹介 |
西克也、ベストシステムズ㈱ |
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15:30 |
超並列マルチコアGPUによるコンピューテーション |
馬路徹、NVIDIA |
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16:00 |
PGI FortranコンパイラによるGPGPU上のアプリケーションの性能向上事例 |
加藤季広、日本電気 |
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16:30 |
NECが提供するGPGPUソリューションのご紹介 |
日本電気 |
既に述べたように、日本電気は2009年5月14日、次世代スーパーコンピュータ開発から撤退することを正式に表明したが、11月17日になって、Intel社と将来に向けたスーパーコンピュータ技術の共同開発に合意と発表された。(CNET Japan 2009/11/17)(PC Watch 2009/11/24)このニュースを見て「なんでIntel社?」と疑問に思ったし、メディアでもAVXをベクトルに置き換えるとかいろいろ論じられたが、その理由は次第に明らかになる。
3) 日立製作所(赤字、仮想化技術、ITユーザ会、HAS研)
リーマンショックの影響で業績が悪化し、2009年3月期、日立の連結最終損益は7873億円の赤字に陥った。当時、国内の製造業で最大の損失額だった。7月、川村隆社長は、総合電機メーカからIT企業への業態転換を宣言した。
日立製作所は同社のサーバ仮想化技術「Virtage(バタージュ)」上で他社サーバ仮想化ソフトウェアを動作させる技術を開発し、2009年7月22~23日に同社が開催する「日立nVALUEコンベンション 2009」で紹介した。
今回日立が開発したのは、Virtageで設定した論理区画にHyper-Vなどのハイパーバイザを導入し、この上で仮想マシンを安定的に稼働する技術。これにより、クラウド事業者などが、例えばVirtageのCPU占有モードを用いて設定した論理区画を各顧客に割り当て、1社ごとのリソースを確保するとともに、この論理区画上で稼働する他社ハイパーバイザによって可搬性やリソース割り当ての柔軟性を実現することが可能になる。神奈川県秦野市のエンタープライズサーバ事業部では、BladeSymphony BS2000をVirtageで3つの論理区画(LPAR)に分割、このうちCPU占有モードに設定した1つの論理区画でHyper-Vを稼働し、この上でWindows Server 2003とWindows Server 2008の仮想マシンを動作、さらに残りの2つの論理区画を用い、Windows Server 2008とRed Hat Enterprise Linux 5をそれぞれ動かすデモを実施した。(ITmedia 2009/7/21)
4) エルピーダメモリ(公的資金投入)
2009年2月4日に、エルピーダメモリが、日本政府があらたに作成中である改正産業活力再生法の適用申請を検討中であると報じられた。(毎日新聞 2009/2/4)2009年6月30日、経済産業省から産業活力再生法の適用が発表され、エルピーダメモリは一般企業に公的資金を注入する第1号案件となった。(Wikipedia:マイクロンメモリジャパン)
5)サン・マイクロシステムズ
サン・マイクロシステム社は、6月11日、同社の神宮前オフィスにおいて、サン HPC テクニカルセミナーを、「- 最新技術でパフォーマンスアップ「The Accelerator of HPC」-」のテーマで開催した。
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13:30-14:30 |
「TUBAME2.0における高バンド幅なペタフロップス・コンピューティングの可能性」 |
東京工業大学 松岡 聡 |
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14:30-15:10 |
HPCユーザーのための最新AMDテクノロジーアップデート」 |
日本AMD株式会社 山野 洋幸 |
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15:10-15:20 |
休憩 |
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15:20-16:10 |
「Sun HPC Solutionのご紹介」 |
Sun Microsystems Inc. Dr. Simon See |
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16:10-17:00 |
「SunのHPC Solution/製品のご紹介」 |
サン・マイクロシステムズ株式会社 |
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17:00-17:30 |
質疑応答、その他 |
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また6月17日には、秋葉原コンベンションホールにおいて、「【 次の一手、実践仮想化セミナー 】 - 厳しい環境だからこそ、最適なサーバの仮想化環境を得るために」を開催した。
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13:30-13:45 |
開会のご挨拶「サンのサーバ戦略のご紹介」サン・マイクロシステムズ株式会社 |
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13:45-14:30 |
「柔軟な仮想化環境実現のために(仮)」インテル株式会社 |
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14:30-15:15 |
「サーバ仮想化によるROI最大化のポイント」サン・マイクロシステムズ株式会社 |
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15:15-15:30 |
休 憩 |
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15:30-16:15 |
「サーバの仮想化をパワーアップさせるサンOpen Storage」 サン・マイクロシステムズ株式会社 |
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16:15-17:00 |
「事例で実証!安心導入のためのポイントとTCO削減効果」株式会社ネットワールド |
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17:00-17:15 |
Q&A、終了 |
2009年9月18日にベルサール八重洲でSun GEC 2009 (Sun Government & Education Conference 2009) を開催した。Sun Microsystems社の身売り話が混乱している中「余談ですが、これがサンマイクロシステムズ株式会社 としては最後のEducation Seminar になるかもしれません。」などという勧誘が流れていた。参加したところ、Sunのクラウド戦略が述べられ、製品導入事例や製品紹介がなされた。
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13:00-15:00 |
基調講演、Sunのクラウド戦略 |
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15:00-18:00 |
製品導入事例や製品紹介 パートナーソリューションのご紹介 |
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18:00- |
懇親会 |
6) クレイ・ジャパン・インク
同社は、2009年1月27日に秋葉原コンベンションセンターで、2月4日は名古屋都市センターで、「Cray CX1体験セミナー」を開催した。CX1は2008年9月17日にCray社が発表したものである。
5月25日~26日には、3月にCray XT5を導入した北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)と共同で、ホテル日航金沢において『HPCワークショップ金沢2009』を開催した。
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■5月25日(月)12:30 受付 |
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13:00-13:10 |
ご挨拶/JAIST 松澤照男 |
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13:10-13:50 |
量子モンテカルロ法による電子状態計算/JAIST 前園涼 |
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13:50-14:30 |
MPI/OpenMPハイブリッド並列化量子化学計算アルゴリズムの開発/ 株式会社豊田中央研究所 兵頭志明/石村和也 |
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14:30-15:10 |
JAIST情報環境とCray XT5システムの導入と運用/JAIST 佐藤幸紀 |
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15:10-15:30 |
休憩 |
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15:30-16:10 |
生体系の分子動力学シミュレーション/横浜市立大学 池口満徳 |
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16:10-16:50 |
CUG2009から:注目される発表紹介/Cray 三上和徳 |
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16:50-17:30 |
物質科学における大規模密度汎関数法の開発と応用/JAIST 尾崎泰助 |
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17:30-18:00 |
休憩 |
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18:00-20:00 |
懇親会 |
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■5月26日(火)08:15 受付 |
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08:30-09:25 |
Cray XT4システムプログラミングTIPS:プログラム性能解析デバッグ/Cray 須藤龍一 |
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09:30-10:10 |
HPCとカスタムコンピューティングマシン/東北大学 佐野健太郎 |
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10:10-10:40 |
Cray Update-概況と製品ロードマップ/Cray 中野守 |
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10:40-10:55 |
休憩 |
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10:55-11:55 |
国立天文台におけるCray XT4の利用/国立天文台 牧野淳一郎/斎藤貴之 |
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11:55-12:15 |
Q&A |
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12:15 |
終了 |
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13:15 |
【JAISTマシン見学ツアー】(マイクロバス) |
同社は、7月29日には名古屋都市センターで、7月31日には秋葉原コンベンションホールにおいて、『大規模・高精度CFDソリューションセミナー2009』を開催した。
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13:15-13:30 |
挨拶 株式会社ヴァイナス 藤川泰彦 |
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13:30-14:10 |
高機能・高精度ソルバ-CRUNCH CFD V1.0のご紹介と主要解析機能 株式会社ヴァイナス 藤川泰彦 |
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14:10-14:50 |
HPC市場動向及びクレイ製品と流体解析のご紹介 クレイ・ジャパン・インク 代表取締役社長 中野守 |
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14:50-15:10 |
休憩およびデモ |
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15:10-15:40 |
高難易度の流体物理への挑戦-CRUNCH CFDの適用事例 株式会社ヴァイナス 福地健 |
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15:40-16:00 |
FieldView12.2次期リリースのご紹介-HPC環境での大規模計算の可視化 株式会社ヴァイナス 谷雅也 |
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16:00-16:15 |
完全自動メッシング機能搭載エンジン燃焼解析専用ソルバ-新製品CONVERGE V1.2のご紹介 株式会社ヴァイナス 福地健 |
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16:15-17:00 |
(1)大規模並列処理に適したシステム構成例のご紹介(CX1,XT5m) クレイ・ジャパン・インク 照屋謙一 |
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(2)アプリケーション簡易運用ツールのご紹介 クレイ・ジャパン・インク 保科孝行 |
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17:00-17:10 |
Q&A |
同社は、10月27日~28日に、六本木の国際文化会館において、『Cray Technical Workshop Japan 2009』を開催した。
7) キーエンス(ジャストシステム)
キーエンス社は、2009年4月3日、ジャストシステム社との資本・業務提携を行うと発表した。同年4月20日、第三者割当増資により、キーエンスはジャストシステム社発行済み株式の約44%を保有する筆頭株主になった。またそれに伴い、同年6月にはジャストシステム創業者の浮川和宣が会長に、浮川初子が副会長にそれぞれ退き、常務の福良伴昭が社長に昇格する人事を発表した。
標準化
1) OGF25 (Catania, Italy)
第25回Open Grid Forum – OGF25/4th EGEE User Forumは、2009年3月2日~6日に、Etna山を望むイタリアのシチリア島東部CataniaのLe Ciminiereで開催された。筆者は3日と4日に参加した。会場は工場の跡地のような場所であった。Katane Palace Hotelに宿泊した。
シチリア島は初めてであった。ローマ経由で2日の晩にCataniaの空港に着いたとき成田で預けた荷物が出てこなかった。マフィアにでもやられたか(?)。まあ、どうせそんなことだろうと思っていたので、1泊分の下着はショルダーバッグに入れておいた。ホテルのカウンターでゆったりワインを飲んで疲れを癒した。翌日ホテルにちゃんと荷物が到着していた。
OGFの話題もだいぶ変わり、今回はクラウドが話題になっていた。グリッドよりは中央集権的な概念で、標準化という点では後退した感じである。某氏曰く、
「(グリッド)-(インターオペラビリティ)+(中央集権) => (クラウド)」
これでは昔のメインフレームの亡霊と思ったが、スケーラビリティをバックエンドで工面してくれれば、クライアントから見れば同じと言えよう。そもそも、OGFはインターオペラビリティを語る場だと思っていたのだが、だんだんずれてきている。
OGF25の参加者は約600名であり、ここ数年のOGF/GGFの中では非常に大きな参加者を集めた。その大きな理由は、欧州のグリッドプロジェクトであるEGEEのユーザフォーラムと併催されたことである。しかし、参加者の中で、従来からOGFの標準化活動に参加しているものは多くなく、標準化に関わるセッションは盛況とまでは行かなかった。日本で作成したグリッドシステムガイドラインの英訳ドラフトを、前回のOGF24の後、Enterprise Grid Requirement-Research Group (EGR-RG)でのInformationalドキュメントとして投稿してあった。その後パブリックコメントの時期を経て、2009年2月4日には公式なドキュメントとして公開された。
OGF25のEGR-RGのセッションには約10名が出席した。伊藤智がこれまでの経緯、パブリックコメントで出た意見、ドキュメントで記載している要件の概要を説明し、今後の活動について参加者と議論を行った。ドキュメントに記載されている要件には、ネットワークやストレージに関わるグリッドシステムからの要件が少ないとの意見が出された。今後のアプローチの方法として、OGFのEnterprise Functionの他のグループ、Telecomm Community Group (telco-cg), Storage Networking Community Group (sn-cg) と連携し、ヒアリングすることでドキュメントを改善していく、という意見が出された。(CERN 2009/3/2-6)
2) OGF26 (Chapel Hill)
第26回Open Grid Forum – OGF26は、2009年5月26日~28日にノースカロライナ州Chapel HillのThe Friday Centerで開催された。今回はグループ活動中心で、総合講演など啓蒙的なイベントはなかった。出席は14カ国から77人。筆者は出席せず。
3) OGF27 (Banff)
第27回Open Grid Forum – OGF27は、2009年10月13日~?に、カナダのアルバータ州BanffのThe Banff Centreで開催された。この会も出席していない。
4) グリッドガイドラインJIS化
2008年度のグリッド標準化事業はグリッドガイドラインのJIS化の作業を進めた。内容もさることながら、フォーマットの調整に時間を要した。並行してこのJISの解説を書いた。
3月10日の会議で、「日本工業規格 グリッドシステム要求事項策定のための規範」の文案を確定した。この規格は,遵守しなければならない要求事項そのものを規定しているのではなく,「要求事項を策定するための」ものであり,「この規格に従って策定される要求事項はすべてを網羅してはいないので,特定の事業上の必要性を満たすために,要求事項の追加を考慮してもよい。」と書かれている。5月18日に企画調整委員会があり、提出した文案に多くのコメントがついた。しかし、「こんなものは規格ではない」というような意見はなかった。2009年12月7日、JIS化プロセスの最終段階である、情報技術専門委員会で審議され、細かい修正の上で採択された。
JISとして制定されたのは翌年の平成22年2月22日、なんと2のゾロ目の日であった。JIS X7301「グリッドシステム要求事項策定のための指針」である。グリッドを de jure規格としたのは世界初(で最後?)と思われる。付録として「グリッドシステム要求事項策定のための指針 解説」が付けられ、制定の趣旨や経緯とともに、審議中にとくに問題となった事項がいくつか紹介されており、委員会の議論の片鱗をのぞかせていて興味深い。
5) Fortran 2003
2004年に発行されたISO/IEC 1539-1: 2004(通称Fortran 2003)は、JIS X3001-1: 2009として日本工業規格となった。
6) 高性能Fortran推進協議会
HPF推進協議会は、2009年3月23日、地球シミュレータ研究開発センターにおいて、平成20年度総会を開催した。
7) Unix
Unixの著作権について「Unixの著作権はSCOにあり」との控訴審判決が出た。そもそもの発端としては、2000年に旧SCO (The Santa Cruz Operation, Inc.)は、Unix事業と資産を全てCaldera社に売却し、Caldera社がその後SCOと称するようになった。Wikipedia等によれば、2003年、SCOはLinuxにはSCOが保有するUnixの著作権を侵害している部分があると主張し、Linuxのユーザやベンダを法的に訴え始めた。IBMはSCOとの協業で得た企業秘密をLinuxに応用したとして訴えられ、旧SCOの顧客でLinuxに乗り換えた者は契約違反で訴えられた。これに対してNovell社は「SCOはUnixの著作権を保有していると言っているが、著作権はNovellにある」と主張した。SCOはこれに同意せず、結果として両者は裁判で決着をつけることになった。2007年8月10日、Novellに有利な判決がなされた。すなわち、Unixの著作権はNovellが保有しており、SCOはNovellに渡すべきライセンス料を不正に蓄えているという判決であった。
2009年8月24日、SCOは第10巡回区控訴院(Utah)(日本の高等裁判所に相当)でこの判決の一部を覆すことに成功し、Unixの著作権はSCOが保有しているとの判決を得た。ただし、地裁判決のうち、SCOは$3MのロイヤリティーをNovellに払わなければならないとする部分は支持している。Novellはこの判決について、「判決文を精査しているところだ」とコメントしている。同社は、SCOが破産保護下にあることなどから、今後の展開はまだ分からないとしつつも、「この紛争の最終的な結果には依然として自信を持っている」と述べている。(ITmedia News 2009/8/26)(CNET Japan 2009/8/26)
その後、2010年3月30日の差し戻し審で、SCOではなくNovell社がUnixおよびUnixWareの著作権を保持していることが全員一致で確認された。SCOは破産管財人エドワード・カーンを通じてIBMとの裁判を継続する決定を明らかにした。(ITmedia News 2010/6/15)
2011年、SCOは、Unix OS を UnXis(のちの Xinuos )に売却した。 2016年2月16日 SCOの訴訟は、ユタ州連邦地方裁判所でのIBMとSCOの合意をもって終わりとなった。(Wikipedia:SCO・Linux論争)
次はアメリカ政府の動き、ヨーロッパの政府関係の動き、中国の動きなど。中国設置のTop100の約半数が中国製になった。CPUはアメリカ製であるが。
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