メラノックス、マルチコアARMを内蔵したSoCのBlueFieldにより、ストレージ速度を大幅に向上する計画を明らかに
InfiniBandおよびEthernetアダプタを提供するメラノックステクノロジーズ社は、同社のストレージ・アクセラレーションSoCデバイスにより、NVMeファブリックで接続された外部ストレージ・アレイのアクセス高速化を実現しようとしています。

メラノックステクノロジーズ社のCEOであるEyal Waldman氏は、2016年第2四半期のアナリスト向け収支報告において、NVME over Fabrics(NVMeF)についてコメントしました。同社は、InfiniBandやEthernet向けのネットワーク機器を製造しており、5四半期連続で好調な売り上げを記録しています。
NVMeFは、ネットワーク接続によって多数の外部NVMe Flashドライブとサーバーを接続する一種の方法であり、ローカルで直接サーバーとNVMeドライブを接続するのと変わらない速度で、多数のデータ・ア クセスが可能です。現在、DSSDを提供しているEMC社やMangstor社などのベンダーから対応製品が発売されています。8月に開催される Flash Memory Summitでは、E8 Storage社が製品発表を行う予定です。Kaminario社とTegile Systems社が同技術を採用する計画で、ネットアップ社とピュア・ストレージ社も強い関心を寄せています。
収支報告の中でWaldman氏は次のように述べています。「EZchip社とメラノックステクノロジーズは、 2月末に買収が完了して以来、統合作業を続けてきました。第2四半期には、共同開発した初の製品として、マルチコアのsystem-on-a- chip(SoC)ソリューションであるBlueFieldを発表しました。BlueFieldは、コヒーレント・メッシュ・ネットワークにより相互接続 されたマルチコアARMと、業界最先端のConnectX-5ネットワーク・アダプタを組み合わせた製品です。ストレージおよびネットワーク・アプリケー ション市場を最初のターゲットとして考えています。」
多数のNVMe Flashドライブが25、50または100Gビット/秒のEthernetで接続されたストレージであれば、マルチコアARMのBlueFieldはコントローラとして機能するかもしれません。
同氏はさらに、次のように述べています。「ConnectX-5アダプタのオフロード・アクセラレータを利用すれ ば、BlueFieldはプログラミング機能を備えたインテリジェント・ネットワーク・ソリューションとなります。同製品はストレージ市場において、 NVMeFでスケールアウトしたシステムのコントローラとして利用することができるのです。」
BlueFieldは、I/O速度が1ドライブ当たり20Gビット/秒以上のNVMeなど、高品質なストレージ・ネットワークでますます高まる要求に対応できる設計がなされているということです。
Waldman氏はNVMeFをチャンスと考えています。「NVMeFはストレージ市場でちょっとしたトレンドに なっており、既存のファイバー・チャネル装置の置き換えを促すチャンスです。このおかげで2017年は、BlueFieldによる収益拡大のチャンスに恵 まれると確信しています。」
BlueFieldは2017年に出荷を開始する予定です。
メラノックステクノロジーズ社のコメント: 「SoCデバイスであるBlueFieldファミリーは、コヒーレント・メッシュ・ネットワークにより相互接続された多数の64-bit ARMv8 A72コアに加え、多様な機能(DDR4メモリー・コントローラ、10/25/40/50/100Gビット/秒に対応した複数のEthernet/ InfiniBandポート、EP SR-IOVに対応したマルチ・ポートPCIe Gen 3.0/4.0のPCIeスイッチ、RC機能など)を集積しています。同製品は、入出力と演算処理の負荷が集中するアプリケーションを対象としており、ス トレージとネットワークにおけるデータ・プレーンおよびコントロール・プレーン・サービスの統合を実現します。」
BlueFieldの製品資料はこちらを参照してください。製 品資料によると、ストレージ・アクセラレーションに関して次のように記載されています。「最新のNVMeFと広帯域化により、ストレージ・アプリケーショ ンのパフォーマンスが改善され、レイテンシーが短縮されます。PCIeスイッチを内蔵しているため、スタンドアローンのストレージ装置を開発することも可 能です。標準ブロック・プロトコルと標準ファイル・アクセス・プロトコルにより、ストレージ接続の高品質化にRoCEを活用できます。演算とストレージ・ ネットワークの処理を統合することにより、マルチ・ファブリック・ネットワークを高いコスト・パフォーマンスで実現できます。ハードウェアによるストレー ジ・アクセラレーションに加えて、同製品のマルチコアARMは、さまざまなストレージ・アプリケーション(NVMfターゲット、Ceph、iSER、 Lustre、iSCSI/TCPオフロード、フラッシュ変換レイヤ(FTL)、RAID再構築、データの圧縮・伸長、重複除外など)向けに十分な処理能 力を備えています。」
つまり、BlueFieldがあれば、使用中の普通の外部ストレージ・アレイでもネットワーク接続のレイテンシー が大幅に改善した高速ストレージに一変する、という状況を思い描くことができるわけです。シーゲイト社のDotHillやClusterStorアレイ、 他にもNexsanやDellのCompellentアレイシリーズ、HDSのVSO等に使用できるでしょう。2017~2018年は、ファイバ・チャネ ルとiSCSIで接続されたストレージ・アレイに対するNVNeFの攻勢が続くかもしれません。
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ソース:メラノックステクノロジーズ社