世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


2月 26, 2018

HPCの歩み50年(第152回)-2008年(e)-

小柳 義夫 (高度情報科学技術研究機構)

T2Kは6月2日、筑波大学、東京大学、京都大学で正式に稼動した。東京工業大学のTSUBAMEは、NVIDIA GT200を付加し、1.2となった。神戸大学では次世代スーパーコンピュータ設置を好機として、大学院GP「大学連合による計算科学の最先端人材育成」を開始し、新研究科構想を打ち出した。

日本の学界の動き

1) 計算基礎科学コンソーシアム
2008年5月12日に、素粒子・原子核・天文宇宙分野の研究者を中心として計算基礎科学コンソーシアムを設立した。発起人代表は宇川彰(筑波大学)。2008年6月16日に東京ステーションコンファレンスで計算基礎科学シンポジウム「シミュレーションでせまる宇宙の成り立ち~素粒子・原子核・宇宙物理の展望」を開催した。プログラムは以下の通り。

13:30 岩崎洋一(筑波大学 学長) 開会挨拶
  関根仁博(文部科学省・スーパーコンピュータ整備推進室長) 来賓挨拶
13:45 宇川彰(筑波大学) 「計算基礎科学 ~現在から未来へ~」
14:00 茅幸二(理化学研究所) 「2原子分子から生命体まで <素粒子から宇宙までの中間にある系での集合原理>」
14:30 寺倉清之(北陸先端科学技術大学院大学) 「次世代スパコンプロジェクトと物性科学分野の課題」
15:00 平尾公彦(東京大学) 「理論化学の現状と将来の可能性について」
15:30   休憩
16:00 コーディネータ: 青木慎也(筑波大学)
パネリスト: 大塚孝治(東京大学)大野木哲也(京都大学)鈴木英之(東京理科大学)牧野淳一郎(国立天文台)
パネルディスカッション「シミュレューションによる素粒子・原子核・宇宙物理の新展開」
18:00   懇親会

 

また、2008年12月1日~2日には、筑波大学計算科学研究センターにおいてワークショップ「計算科学による素粒子・原子核・宇宙の融合」を開催した。

2) T2K
筑波大学、東京大学、京都大学の3大学センターが共通の基本設計で次期スパコンを導入するというT2K計画は2006年9月5日に発表された。その後、多少の遅れはあったが順調に進み、昨年のところに書いたように、2007年12月25日に入札結果が発表された。2008年6月2日に筑波大、東大、京大の3大学にそれぞれ設置されたT2Kスパコンが正式稼動を開始した。3大学合計の計算ピーク性能は約300TFlopsである。

運用に先立ち、2008年4月7日に筑波大学計算科学研究センターにおいて、「T2Kシンポジウムつくば2008」が開催された。プログラムは以下の通り。

10:00 岩崎洋一(筑波大学長) 開会挨拶
10:10 佐藤三久(筑波大学) T2K筑波システムの導入と運用方針について
10:30 石川裕(東京大学) 基調講演:クラスタコンピューティングとT2Kアライアンス ~過去・現在・未来~
11:30 朴泰祐(筑波大学) T2K筑波システムの概要と利用プログラム計画
12:15   昼食
13:30 中野守(クレイジャパンインク社長) T2K筑波システムの導入、運用サポートとプラン
~新世代クラスタシステム構築におけるチャンレンジ~
14:00 モデレータ:佐藤三久 パネルディスカッション1:T2Kアプリケーション
15:30   休憩
15:45 モデレータ:中島浩(京都大学) パネルディスカッション2:T2K連携とグリッド運用
17:15   T2K連携デモンストレーション
17:45 宇川彰(筑波大学) 閉会挨拶

 

 
   

2008年6月2日(月) 、東大と筑波大は12:30から、京大は14:00から記者発表を行った。その後、東京大学武田先端知ビルを軸に、東大が筑波大・京大をテレビで結んで(三元中継)T2Kオープンスパコン運用開始式典・シンポジウムがあり、筆者も出席した。朴泰祐副センター長(筑波大)は、あいさつで、「学際計算科学の推進」を謳った。東大の片桐氏は、パネルで、SMASHの重要性を力説した。これはメリーランド大学のDavid Levermore氏の提唱した概念でScience—Modeling—Algorithm—Software—Hardwareの連携である。写真はパネル風景[T2Kシンポジウム報告から]。

T2Kは筑波大、東大、京大と北から所在地順に頭文字を取ったもので、この3大学が共同で、調達すべきスパコンの仕様を決定したのでこのような命名になっている。これまで、大学のスパコンは、要求する性能と価格などを示し、それに対してメーカーがハードウェア構成を提案するというやり方が普通であったが、3大学共通仕様(規模は異なる)という購買パワーを活かして、大学側で欲しいスパコンの仕様を提示し、それにあった製品を仕様書に記載した。

Open Supercomnputerという別名に示されたように、市販品のCPU、市販品のネットワーク、OSや通信ライブラリも標準品を使い、浮動小数点演算だけでなく、大規模整数問題を実行するユーザも含めてオープンに広い範囲のユーザに使ってもらうというオープンポリシーのもとに、次のような仕様を策定した。

  • 計算ノードあたりの性能が145GFlops以上のマルチソケットx86アーキテクチャ
  • 計算ノードあたり5GB/s以上のマルチリンクネットワーク
  • 計算ノードあたり32GB以上のメインメモリ
  • 計算ノードあたり130GB以上のローカルディスク
  • 計算ノードあたり40GB/s以上のメモリバンド幅
  • OSはLinux、コンパイラはFortran、C、C++、通信はMPI

この仕様にはどこのCPUを使えとは指定していないが、x86アーキテクチャで高性能となると、IntelとAMDしか解がない。しかし、Intelは2008年の終わりにならないとNehalem(コード名)が出ないので間に合わず、4チップのquad-core OpteronをHyperTransportで接続したノードしか事実上解がないという仕様であった。

この仕様で3大学が入札を行い、今年の1月~2月に受注業者が発表され、東大は日立、京大は富士通が受注した。筑波大は、住商情報システムが主契約者となり、米国Appro社のサーバとFlextronix社のInfiniBandスイッチなどのハードウェアを納入し、クレイジャパンがシステム構築と保守を行うという形態で受注した。京大より予算の少ないと言われる筑波大が、ピーク性能の高いシステムを入れられたのは、Appro社の方がコストパフォーマンスが良かったのであろうが、苦労も多かったようである。筑波大、東大、京大のマシンは、6月のTop500においてそれぞれ21位、17位、35位となった。

稼働前の4月には筑波大で、また稼働日には3大学をビデオ中継してシンポジウムが行われたが、10月には「T2Kシンポジウム2008 in 京都 ―T2Kから始まる次世代スパコンへの道―」が2008年10月24日京都大学吉田キャンパスで開催された。

写真は上からT2K筑波[センターページ]、T2K東京[センターページ]、T2K京都[富士通ページ]。

3) 東京工業大学

 
   

2006年4月3日、東京工業大学はスーパーコンピュータTSUBAME(Tokyo-tech Supercomputer and UBiquitously Accessible Mass-storage Environment)を稼働させた。これでTSUBAMEが、地球シミュレータを抜いて日本最高速のコンピュータとなった。TSUBAMEは、AMD Opteron(2.4GHz/2.6GHz)のデュアルコア・モデル880/885を8基搭載するSun Fire X460サーバ655ノード(10480コア)を結合し、ピーク性能は50 TFlopsである。ClearSpeedのCSX600は各ノードに2個搭載されていた。

まずはOpteronだけで2006年6月のTop500において38.18 TFlopsで7位に入った。その後、ClearSpeed社のCSX600をともに稼動させてLinpackを実行することに成功し、2006年11月のTop500では、47.38 TFlopsで9位を獲得した。性能は上昇したのに順位が下がったところが悲しい。その後チューニングが進み、Rmaxは回毎に増大している。また、Xeon E5440 (2.833 GHz)のノードも追加している。

東工大は、その後NVIDIAのGPUボードTesla 10pを680枚設置することによりTSUBAME1.2にアップグレードした。2008年11月のTop500ではRmax=77.48、Rpeak=161.816で30位となっている。2008年12月2日、報道陣にTSUBAME1.2を公開した。この日には「CompViewシンポジウム2008」が開催され、NVIDIAの共同創設者であるJen-Hsun Huang社長兼CEOが特別講演を行った。その後チューニングを進め、2009年6月のTop500ではRmax=87.01 TFlopsで41位となった。[写真はASCII.JPから]

4) GRAPE-DR
2004年のところに書いたように、東京大学、情報通信研究機構、NTTコミュニケーションズ、国立天文台、理化学研究所による研究グループ(研究代表平木敬)は、2004年5月、2004年度科学技術振興調整費に採択され、「GRAPE-DRプロジェクト」に着手したと発表した。5年間の予定で

(a) 2008年に2 PFlopsの計算速度(倍精度か?)を実現することと、
(b) 40 Gbps ネットワークを高度利用した科学技術研究データ処理システムを構築すること

を目標としていた。従来のGRAPEシリーズとは異なり、重力相互作用計算に特化したパイプラインをLSIチップに集積するのではなく、多数(1024個)の演算器を集積する設計であり、より汎用性がある、と述べている。

2006年11月6日、同グループは東京大学理学部7号館で記者会見を行い、GRAPE-DRの中核であるプロセッサチップ(開発コード名:SING)の開発に成功したとのべた。プロセッサは一つのシリコンチップに512個の要素プロセッサを集積し、単精度で512 GFlops、倍精度で384 GFlops のピーク性能をもつ。消費電力は最大60W、アイドル時30Wとのことである。当初計画より演算器数は半分になっている。

SC07における論文発表では、プロセッサは512個の演算器を搭載し、500 MHzで動作させ、その性能は単精度で512 GFlops、倍精度で256 GFlopsと述べている。2009年前半までに4096プロセッサのシステムを作り、単精度で2 PFlops、倍精度で1 PFlopsを実現すると述べている。

2008年7月17日にK&F Computing Research社から発表があり、GRAPE-DRチップを搭載した2種のボードを製品化したとのことである。製品版のクロックは400 MHzであり、単精度409.6GFlops、倍精度で204.8GFlopsのピーク性能をもつ。

Top500に初めて登場したのは2009年6月で、Rmax=21.96 TFlops、Rpeak=84.48 TFlopsで279位にランクされている。プロセッサはGRAPE-DR 16C 330 MHzとあるので、32演算器を1コアとしているらしい。総コア数8192とあるので、動かしたチップ数は512で、2006年時点での計画の1/4と推定される。クロック周波数もかなり落としてあるが、ゲートのタイミングが会わなかったのか、後に述べるようにエネルギー効率で勝負しようと思ったのか不明である。フルに稼働したとしてもRpeak=338 TFlopsで、当初のピーク2 PFlopsには及ばず、2006年での1 PFlopsよりもかなり低い。次の2009年11月では447位、2010年11月には100ノードでコア数6400、Rpeak=81.9、Rmax=38.9で281位、81ノードでコア数5184、Rpeak=66.36、Rmax=34.55で385位の2機を最後に姿を消した。実際には、当初予定のフルのチップ数では作動していないようである。

5) 計算科学大学院GP
昨年のところで書いたように、神戸大学は、九州大学、金沢大学、愛媛大学と共同して文部科学省大学院教育改革支援プログラム 大学院GP (Good Practice) 「大学連合による計算科学の最先端人材育成」を申請し、2007年度~2009年度のプロジェクトとして採択された。情報発信用に4大学の頭文字を組み合わせて“e-k3.jp”(「いい計算」)というドメイン名を取得した(今はない)。

実際の活動が始まったのは2008年になってからで、2月13日~14日には九州大学情報基盤センターで意見交換会を開催した。基本的な課題は、「計算科学としての学問体系はあるのか?」「研究分野横断型の教育ができるのか?」ということである。大学院GPの目的は計算科学のカリキュラムの構築であり、学部や大学院での教育はもちろん、社会人を含むSimulation Schoolでの教育も含むものである。

具体的な取り組みとして、分野横断型の教育のあり方をアドバイザリ-ボードで議論するとともに、そのためのe-Learning 教材の作成を行う。シミュレーションスクールを開催し検証を行う。さらには、TV会議システムによる大学間共同授業を行う。

3月17日~21日には、神戸ポートアイランドのニチイ学館を会場に全国の大学院学生を対象に第1回シミュレーションスクールを開催した。この時は、種々のシミュレーションの紹介を中心に置いた。当日の講義は以下の通り。

横川三津夫(理化学研究所) スーパーコンピュータ開発とその周辺
阿草清滋(名古屋大学) Software for Analysis by Synthesis
小柳義夫(工学院大学) シミュレーション入門
青柳 睦(九州大学) 計算科学概論と連成解析
陰山 聡(JAMSTEC) 地球流体シミュレーション
金田行雄(名古屋大学) 乱流の計算科学
廣瀬重信(JAMSTEC) 天体における流体現象の数値シミュレーション
田中成典(神戸大学) 生体分子系の第一原理ボトムアップ的シミュレーション
町田昌彦(日本原子力) 超並列シミュレーションが解き明かす超伝導・超流動の特異な性質
寺倉清之(北陸先端) ナノサイエンスにおける計算科学
小池淳司(鳥取大学) 社会科学とコンピュータシミュレーション
演習 「神戸大学計算機演習」 「Portable VR-AVS」

 

修了証は出すが、大学院の単位にはならないので、将来的には大学院の単位にできるよう検討を進めた。4月頃、筆者は賀谷先生からアドバイザリーボードの委員長を依頼された。5月22日~23日は愛媛大において2008年度第1回のアドバイザリー会議を行った。これに合わせて、大学内で13時から学内向けに特別講演「コンピュータはどこまで速くなるか」を行った。6月9日~13日にはニチイ学館を会場に2008年度シミュレーションスクールを開催した。この回のテーマは、他分野のシミュレーションを学ぼうということであった。

陰山 聡 (JAMSTEC) 流体シミュレーション:基本計算手法から並列化と可視化まで
前園 涼 (北陸先端) モンテカルロ法による第一原理電子状態計算
臼井英之 (京都大学) プラズマ粒子シミュレーションの基礎:荷電粒子群のダイナミクスと電磁界変動をどう一緒に解くか

 

2008年度第2回目のアドバイザリー会議は7月11日に神戸大学で開催されたが、前日、参加者の何人か(筆者も)は有馬温泉の御所坊で宿泊し、懇親会を行った。この頃、T2Kも教育の重要性を指摘し、人材養成活動を始めるということなので、関係者で米澤明憲東大情報基盤センター長と会談し、相互の協力で合意した。この頃、シミュレーションスクールの愛称としてKISS (Kobe Interdisciplinary Simulation School)を定めた。

第3回のKISSは、2008年8月25日~29日にいつものニチイ学館で「計算機科学の基礎から高性能シミュレーションへ (MPI、OpenMP)」のテーマで開催した。今回は、文部科学省と交渉の末、4大学以外の東北大学、京都大学、名古屋大学、東海大学からの学生に旅費援助を行うことができた。プログラムは以下の通り。

朴 泰祐(筑波大学) 計算機科学の基礎I「 HPCシステムアーキテクチャ、要素技術の概要とトレンド」
末安直樹(富士通) 計算機科学の基礎II 「インターコネクトと通信ミドル、性能評価技術など」
南里豪志(九州先端科学技術) 並列計算の基礎、 MPI、並列計算の性能評
合田 憲人(国立情報学) OpenMP、ハイブリッド並列
岩田 末廣(豊田理化学) 量子化学計算 I
本田 宏明氏、稲富 雄一(九州先端科学技術) 並列量子化学計算演習
  並列計算コンテスト発表

 

2008年度第3回目のアドバイザリー会議は10月24日に東京駅サピアタワー東北大学東京分室で行った。

6) 神戸大学
2007年11月に、神戸大学から「シミュレーション科学研究科(仮称)」を作りたいということで、アドバイザリボードに加わるよう依頼された。2008年1月7日に新研究科設置アドバイザリーボード委員会が神戸大学百年記念館会議室で開催された。シミュレーションスクール中の8月26日(木)にはこの件について、神戸大学の薄井副学長と会談した。

2008年10月21日、神戸大学は2010年4月に次世代スーパーコンピューターを活用できる人材を育成する研究科を大学院に設置する方針を固めたと報道された。これは2010年度に理化学研究所が世界最高水準のスパコンを神戸市内で稼働させるのに対応するためである。現在大学院工学研究科で情報システムを研究する情報知能学専攻を転換して「システム情報学研究科」を六甲台キャンパスに設置する。計算科学専攻、システム科学専攻、情報科学専攻の3専攻で構成する。定員は3専攻合わせて前期課程が1学年70~80人程度。後期課程は同10人程度を想定している。文部科学省からの設置認可を得て正式決定する。兵庫県立大学などとも連携し、地域を挙げた研究活動、設備の有効利用、人材交流につなげるとのことであった。文部科学省から認可を受けたのは2009年10月30日であった。もちろん、予算はまだ概算要求中であった。

名称として、「シミュレーション科学研究科」とか「計算科学研究科」とかを考えていたが、諸般の事情で上記のように決まった。後に兵庫県立大学は2011年度に京コンピュータの隣のビルに「シミュレーション学研究科」を設置した。

7) 名古屋大学COE
2004年の記事に書いたように、名古屋大学「計算科学フロンティア」(リーダー金田行雄)が文部科学省の2004年度「21世紀COEプログラム」に採択された。期間は2008年度までの5年間。筆者は、このCOEプログラムの評価&アドバイザリ委員を委嘱された。

2008年2月15日、COE「計算科学フロンティア」アルゴリズム部門国内シンポジウム「超多自由度系の解析/最適化に向けたアルゴリズムの進展」が、名古屋大学ベンチャービジネスラボラトリで以下のように開催された。

10:15 宮田考史、山本有作、張紹良(名古屋大学)、中村佳正(京都大学) Multishift QR Algorithm on the CSX600 Accelerator for Nonsymmetric Eigenproblems
10:45 程晋(Jin Cheng, 復旦大学) Heat Transfer in Composite Materials with Stefan-Boltzmann Interface Conditions and Related Inverse Problems
11:30   昼食
13:15 王仁宏(Ren-Hong Wang, 大連理工科大学) Some Researches on Computational Geometry
14:00 田中輝雄(日立超 LSI システムズ)、片桐孝洋(東京大学)、弓場 敏嗣(電気通信大学) A Study on Incremental Parameter Estimation in Software Automatic Performance Tuning
14:30 今倉暁、曽我部知広、張紹良(名古屋大学) Implicit Wavelet Sparse Approximate Inverse Preconditioners using Blocked finger pattern for Nonsymmetric Linear Systems
15:00   休憩
15:30 于波(Yu Bo, 大連理工科大学) Constraint Shifting Combined Homotopy Method for Solving Nonlinear Programming
16:15 成島康史(東京理科大学) Globally Convergent Three Term Conjugate Gradient Methods for Large-Scale Unconstrained Optimization Problems
16:45 仲田晋(立命館大学) 複雑形状のモデリングと修正RPIMに基づくメッシュレス構造解析

8) WIDE
1988年、村井純らはインターネットに関する研究プロジェクトWIDEを設立したが、今年はその20周年ということで、2008年5月20日、日本科学技術未来館のみらいCANにおいて、WIDE20周年シンポ・懇親会が開催され、筆者も参加した。

9) ノーベル物理学賞
2008年10月7日、小林誠、益川敏英、南部陽一郎3氏のノーベル物理学賞受賞が発表された。南部陽一郎氏は「自発的対称性の破れの発見」により、小林・益川氏は「クォークが自然界に少なくとも三世代以上ある事を予言する、CP対称性の破れの起源の発見」により受賞した。筆者は3人ともよく存じ上げているが、高エネルギー研での仲間であった小林誠氏のノーベル賞受賞祝賀会が、2009年2月1日、筑波ホテルオークラアネックスで開催された。

10) 桑原邦郎氏死去
宇宙科学研究所に所属していた桑原邦郎氏が、1985年11月に親の遺産を活用して目黒の自宅で(株)計算流体力学研究所を創立したことは述べたが、2008年9月14日に心不全で死去した。突然のことでびっくりした。

11) マイレージ召し上げか?
HPCそのものの話題ではないが、6月に「居酒屋タクシー」問題が浮上した。これは省庁の役人が深夜にタクシーで帰宅する際、運転手からビールや商品券などを受け取っていた問題である。しかしタクシーだけに留まらなかった。報道によると、政府は6月19日、省庁の役人の公費出張で個人のカードにたまる航空会社のマイルを役所で共通に使えるよう、「公用カード」の発行を航空大手2社に求めたそうであるが、航空会社は難色を示した。HPC関係者は国際会議や共同研究などで航空機に乗ることが多く、多くはマイルをためてアップグレードなどに活用したり、優先度等の便宜を受けたりしているが、これが禁止もしくは召し上げになるのではないかと心配になった。実際さる省庁では、マイレージ取得の自粛や、過去に公費により取得したマイレージの使用自粛の通達が出たそうである。機関によっても違うかもしれないが、公費で取得したマイルを私的に使うこと以外はその後あまり議論にならないようである。どうなったかは知らない。

次は日本の企業の動き。

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