世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


提 供

5月 25, 2015

HPCの歩み50年(第40回)-1992年(d)-

小柳 義夫 (高度情報科学技術研究機構)

日本におけるスーパーコンピュータ設置状況

1991年末の日本におけるベクトルスーパーコンピュータの設置状況を日経コンピュータ1992年1月27日号p.91-101から記す。これは故田中一実記者がまとめたものであるが、筆者も少し協力した。機種別の設置状況のリストと重複するものもあるが、時間的な断面として掲載する。なお、すでに販売を停止していたのでこの表にはないが、東工大のETA10(1988年5月設置)と明治大学のETA10P(1989年4月設置)もある。下位機種が多いとはいえ、相変わらず民間企業への設置が多い点が注目される。スーパーコンピュータの国内累積出荷台数が247台に達したと報告されている。リストがあまりに大きく、リストだけで1回使います。

1) Cray

ユーザ

機種

設置時期

NTT

Cray-2/4

1988

工業技術院

X-MP/2

1988

愛知工業大学

X-MP/1

1988

東北大学流体研究所

Y-MP/4

1990

東芝

X-MP/2

1985

東芝

Y-MP/4

1989

日産自動車厚木

X-MP/1

1986

日産自動車厚木

Y-MP/8

1990

本田技研工業宇都宮

Y-MP/3

1990

トヨタ自動車

X-MP/1

1988

トヨタ自動車

Y-MP/2

1990

マツダ

X-MP/2

1988

マツダ

Y-MP2E/2

1991

三菱自動車

X-MP/2

1989

三菱電機

Y-MP/3

1989

ダイハツ工業

Y-MP/2

1990

住友化学工業

X-MP-EA/1

1989

三菱重工業

X-MP-EA/1

1989

CRC総合研究所

X-MP/1

1988

三菱総合研究所

Y-MP/1

1989

リクルート

X-MP/1

1986

旭化成工業

Y-MP2E/2

1991

東急建設

Y-MP2E/2

1991

防災科学技術研究所

Y-MP2E/2

1991

長岡技術科学大学

Y-MP-EA (EL?)

1991

京都大学化学研究所

Y-MP2E/2

1991

いすず自動車

Y-MP2E/2

1991

ヤマハ発動機

Y-MP2E/1

1991

三井石化

Y-MP EL/1

1991

キヤノン販売新川崎営業所

Y-MP4E/2

1991

日本電装(非公開)

Y–MP/1

1991

日野自動車(非公開)

Y-MP2E/1

1991

松下電器産業

Y-MP4E/4

1991

ニコン

Y-MP EL/1

1991

2) 日本電気

ユーザ

機種

設置時期

大阪大学核融合研究センター

SX-2

1985

大阪大学大型計算機センター

SX-2

1988

東北大学大型計算機センター

SX-2

1988

東海大学

SX-1

1989

岡山大学

SX-1E

1987

港湾技術研究所

SX-1E

1987

?

SX-1

1987

青山学院大学

SX-1EA

1988

鉄道技術総合研究所

SX-JA

1988

マツダ

SX-2A

1989

大林組技術研究所

SX-1E

1988

熊谷組

SX-1EA

1990

住友金属工業

SX-2

1988

リクルート

SX-2

1988

船舶技術研究所

SX-1

1988

大和証券

SX-1A

1989

国立環境研究所

SX-3

1991

航空宇宙研究所角田

SX-JA

1991

鹿島建設

SX-3

1991

住友セメント

SX-3

1991

キッセイ薬品工業

SX-JA (SX-3?)

1991

コマツ

SX-3-1L

1991

三洋電機

SX-3

1991

日本電気 技術情報システム開発

SX-2

1985

日本電気 府中

SX-2

1987

日本電気 三田

SX-3

1991

なお、大阪大学核融合研のSX-2はSAPの名前で納入、船舶研のSX-1はACOS 910/8にベクトルプロセッサS-7053-14Nを付加して納入、コマツのSX-3-1Lは日本IBMから納入とのことである。

3) 富士通

ユーザ

機種

設置時期

名古屋大学プラズマ研究所

VP-200E

1988

名古屋大学大型計算機センター

VP-200

1987

京都大学大型計算機センター

VP2600/10

1990

動力炉核燃料開発事業団

VP2600/10

1991

日本原子力研究所

VP2600/10(2台)

1990

航空宇宙研究所

VP-200

1986

航空宇宙研究所

VP-400

1986

航空宇宙研究所

VP2600/20

1990

九州大学大型計算機センター

VP-200

1987

宇宙科学研究所

VP-200

1986

宇宙科学研究所

VP-400

1987

東京大学生産技術研究所

VP-100

1986

国立天文台野辺山宇宙電波観測所

VP-200E

1989

航空自衛隊

VP-50

1986

電力中央研究所

VP-50

1987

蛋白工学研究所

VP-200

1987

大阪工業大学

VP-30E

1988

大阪電気通信大学

VP-30E

1989

神奈川大学

VP-30

1987

関西大学

VP-50E

1988

慶應義塾大学

VP-50E

1989

芝浦工業大学

VP-30

1987

中央大学

VP-30

1987

日本大学生産工学部

VP-30E

1988

日本大学理工学部

VP-30E

1988

東京電機大学

VP-100E

1989

法政大学

VP-100E

1989

明治大学

VP2100/10

1990

早稲田システム研究所

VP-30E

1990

早稲田大学

VP2100/10

1990

松下電器産業

VP-200

1985

松下電器産業無線研究所

VP-30

1987

富士電機東京工場

VP-50

1985

トヨタ自動車

VP-50

1988?

トヨタ自動車

VP-100E

1988

トヨタ自動車

VP2100/10

1991

トヨタ自動車

VP2200/20

1991

ソニー

VP-50E

1988

ソニー

VP2200/10

1990

アドバンテスト

VP-50

1985

オリンパス光学工業

VP-50

1986

計算流体力学研究所

VP-400E

1989

計算流体力学研究所

VP2600/20

1991

新日本製鐵

VP2200/10

1991

石川島播磨重工業

VP-50

1986

石川島播磨重工業

VP2100/10

1991

花王

VP-200

1991

川崎重工業

VP-50

1987

川崎重工業

VP-30

1987

川崎製鉄

VP-50

1986

川崎製鉄

VP2100/10

1991

シャープ

VP-50

1986

清水建設

VP-50

1986

三菱化成工業

VP-50

1986

塩野義製薬

VP-30

1987

日本鋼管

VP-50

1987

東レ

VP-30

1987

神戸製鋼所

VP-200

1989

旭光学工業

VP-30E

1987

TDK

VP-30E

19087

日本コダック

VP-50E

1988

富士電気化学

VP-50

1988

間組

VP-30E

1988

ヂーゼル機器

VP-30E

1988

JUKI

VP-30E

1989

カルソニック

VP-50

1989

リクルート

VP-400

1986

リクルート

VP-200

1988

千代田情報サービス

VP-50

1986

数理計画

VP-30E

1987

パシフィックコンサルタント

VP-30E

1988

富士重工業

VP2600/10

1990

中部電力CTI

VP2400/20

1990

日興證券

VP2200/10

1990

五洋建設

VP2100/10

1991

三井東圧

VP2100/10

1991

第一勧業銀行

VP2100/10

1991

横浜ゴム

VP2100/10

1990

通信総合研究所

VP1000

1991

北陸先端科学技術大学院大学

VP1100/10

1991

富士通沼津工場

VP-200

1983

富士通沼津工場

VP-200E

1987

富士通沼津工場

VP2600/10

1990

富士通沼津工場

VP2400/10

1990

富士通川崎工場

VP-400

1984

富士通研究所厚木

VP-100

1987

富士通システムラボラトリ(蒲田)

VP-200E

1988

富士通南多摩工場

VP-100

1988

富士通CEセンター

VP-400

1989

4) 日立

ユーザ

機種

設置時期

東京大学大型計算機センター

S-820/80

1987

高エネルギー物理学研究所

S-820/80

1989

分子科学研究所

S-820/80

1989

北海道大学大型計算機センター

S-820/80

1986

埼玉大学

S-820/15

1991

気象庁気象研究所

S-810/10

1985

気象庁

S-820/10

1987

NASDA?

S-820/60

1989

日本大学理工学部

S-820/40

1989

鈴木自動車工業(1990からスズキ)

S-820/60(2台)

1989

日産ディーゼル工業

S-820/40

1991

東洋ゴム工業

S-810/5

1987

ブリジストン

S-810/5

1987

大日本印刷

S-810/5

1988

キヤノン

S-820/60

1989

某家電メーカ

S-820

1989

日本電子計算

S-810/5

1987

日本電子計算

S-820/15

1990

計算流体力学研究所

S-820/80

1988

計算流体力学研究所

S-820/80

1990

計算流体力学研究所

S-820/60

1991

山一証券

S-820/60

1989

鹿島建設

S-820/60

1991

某金融機関

S-820/60

1990

日立製作所神奈川工場

S-810/20

1986

日立製作所神奈川工場

S-820/80(2台)

1988

日立製作所神奈川工場

S-820/80(4台)

1989

日立製作所中央研究所

S-810/10

1983

日立製作所機械研究所

S-810/20

1986

日立製作所日立工場

S-810/10

1984

日立製作所日立工場?

S-810/20

1986

日立製作所エネルギー研究所

S-820/60

1988

日立製作所システム開発研究所

S-810/10

1989

日立製作所

S-820/80(2台)

1990

日立製作所

S-820/60

1990

日立製作所

S-820/60

1991

 

次回はいよいよ1993年、IBMがSP1を、Cray ResearchがT3Dを発表し、満を持して超並列ビジネスに参入する。これによって市場の空気は一変し、1980年代からがんばって来た並列ベンチャーが続々倒産や吸収に追い込まれる。いよいよTop500も始まる。

(タイトル画像: Cray-2 出典:Computer History Museum)

left-arrow 50history-bottom right-arrow