新HPCの歩み(第178回)-2001年(c)-
広島大学理学部は7月10日に急逝した宮村修教授を偲んで、宮村修メモリアル シンポジウム INSAM2001+を開催した。数値解析シンポジウムは那須で開催されたが、第30回を記念して6件の招待講演を企画した。21世紀の初頭を飾るJSPP2001は京都で開催され、記念イベントを行った。PSC (Parallel Software Contest)は今回の第8回で終了することとなった。 |
国内会議
1) RIST「次世代型計算科学ソフトウェアに関するシンポジウム」(東京)
RIST(高度情報科学技術研究機構)は、ナノサイエンス&テクノロジーに関する「次世代型計算科学ソフトウェアに関するシンポジウム」を、2001年2月20日、東京都港区の笹川記念会館において開催した。
経緯は忘れたが、筆者は2000年11月から、RISTがJSTから受託している「ナノテクノロジー次世代型計算科学技術ソフトウェアの調査研究」の調査委員会委員としてつきあっていた。
2001年度は2001年11月から年度末まで「次世代計算科学ソフトウェアに関する調査委員会委員」を務めた。2001年11月5日に笹川記念会館において、「計算科学のための次世代計算環境に関するワークショップ」を開催した(後述)。
2) HOKKE-2001(函館)
第8回「ハイパフォーマンスコンピューティングとアーキテクチャの評価」に関する北海道ワークショップ(HOKKE-2001)は、2001年3月8日(木)~9日(金)に公立はこだて未来大学で開催された。主催は情報処理学会ハイパフォーマンスコンピューティング研究会と計算機アーキテクチャ研究会、協賛は情報環境領域システム評価研究グループ。発表は33件。はこだて未来大学は公共交通が不便なので、JTB斡旋のホテルからは乗り合いバスを用意した。懇親会は函館ビアホール。残念ながら筆者は入試関係の業務と重なり出席できなかった。
3) HAS研
HAS研(Hitachiアカデミックシステム研究会)は、2001年4月5日、特別シンポジウムを開催した。
特別シンポジウム テーマ「国産コンピュータ~その熱き誕生のドラマ=新世紀に引き継がれる最先端技術開発の魂=」 |
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国産コンピュータの誕生 |
東京工科大学 相磯 秀夫 |
電気試験所での初期のコンピュータの開発 |
東京工科大学 高橋 茂 |
パラメトロン計算機PC-1の開発 |
富士通研究所 和田 英一 |
日立製作所におけるコンピュータ開発の黎明 |
拓殖大学 高橋 延匡 |
我が国の初期のソフトウェア開発、ソフトウェアの品質管理・・日本電気を中心にして |
日本電気株式会社 水野 幸男 |
ディスカッション |
4) 広島大学INSAMシンポジウム
広島大学理学部大規模非線形数値実験室(Institute for Nonlinear Sciences and Applied Mathematics: INSAM)は、2001年4月27日、広島大学理学部において、INSAMシンポジウム2001を開催した。プログラムは以下の通り。
13:00-13:10 |
あいさつ |
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13:10-14:00 |
『バーチャル大腸菌の基本設計』 |
大竹 久夫(広島大学) |
14:00-14:50 |
『からだづくりの情報とその発現』–デジタルからアナログへ— |
赤坂 甲治 (広島大学) |
14:50-15:05 |
休憩 |
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15:05-15:55 |
『複雑系としての生命』 |
金子 邦彦 (東京大学) |
15:55-16:15 |
ポスターインデクシング |
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16:15-18:00 |
ポスターセッション |
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18:00-20:00 |
懇親会 |
また、2001年11月16日~17日には、7月10日に急逝した宮村修教授を偲んで、宮村修メモリアル シンポジウム INSAM2001+を開催した。プログラムは以下の通り。
11月16日(金):理学部E002 (AV教室) |
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13:00 |
開会 |
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13:00-14:40 |
宮村先生を偲んで |
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『広島大学における宮村先生』 |
牟田泰三 (広島大学長) |
『INSAMと宮村先生』 |
三村昌泰 (広島大学) |
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『宮村さんの仕事ーQCDを中心に |
中村純 (広島大学) |
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14:40-15:00 |
休憩 |
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15:00-15:50 |
『量子計算機と量子素子』 |
高橋徹 (広島大学) |
15:50-18:00 |
ポスターセッション |
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18:00-20:00 |
懇親会 & ミニコンサート (理学部大会議室) |
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11月17日(土) : 理学部E002 (AV教室) |
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9:00-9: 30 |
『Numerical Simulation of 3-D Thirring Model』 |
S. Kim (Sejong Univ.) |
9:30-10:10 |
『高温・高密度でのQCD真空の相転移とその前駆現象』 |
国広梯二 (京大基研) |
10:10-10:50 |
『QCD真空の構造』 |
鈴木恒雄 (金沢大理) |
10:50-11:00 |
休憩 |
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11:00-11:40 |
『多重発生における原子核の役割』 |
高木富士夫 (東北大理) |
11:40-12:20 |
『有限温度格子QCD-数値実験で探る高温でのクォークのふるまい-』 |
松古栄夫 (京大基研) |
5) 日本SGI HPC Open Forum
2001年5月14日、日本SGI株式会社 SGIホール(恵比寿ガーデンプレイスタワー B1F)において、[第三回 日本SGI HPC Open Forum 大会が開催された。
13:30-14:00 |
大会 開会挨拶 |
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14:00-14:45 |
『大地震の源を探る』 |
東京大学 地震研究所 菊地 正幸 |
14:45-15:30 |
『GPSと地殻活動シミュレーション』 |
国土地理院 地理地殻活動研究センター 鷺谷 威 |
15:30-15:45 |
休憩 |
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15:45-16:30 |
『日本列島における地震波動伝播と強震動生成の数値シミュレーション』 |
東京大学 地震研究所 古村 孝志 |
16:30-17:15 |
『構造物の地震応答解析とその可視化』 |
鹿島建設株式会社 堀越 清視 |
17:30-19:00 |
懇親会(恵比寿ガーデンプレイス ビアホーフ麦酒館2F) |
6) 数値解析シンポジウム(那須)
第30回数値解析シンポジウムは、2001年5月23日~25日に那須ビューホテルで開催された。参加者は103名、担当は筑波大学数値解析研究室であった。30回目を記念して、以下のような企画講演を行った。
関口智嗣 |
「つくばWANとその応用」 |
建部修見、関口智嗣 |
「Gfarm広域大容量データ解析システム」 |
大出 幸子他7名 |
「マルチメディア遠隔講義の実践」 |
水森龍太、蔡東生 |
「印象派絵画における色彩情報の自己組織化」 |
佐々木建昭 |
「和零関係に基づく多変数多項式の近似因数分解」 |
一松信 |
「暗号小史」 |
西村和夫 |
「情報化時代を生き抜く暗号技術」 |
7) JSPP 2001(京都)
第13回並列処理シンポジウムJSPP2001(Joint Symposium on Parallel Processing)は、2001年6月5日(火)~8日(金)に京都リサーチパーク西地区で開催された。実行委員長は島崎眞昭(京大)、副委員長は木村康則(富士通研)、プログラム委員長は天野英晴(慶應大)であった。21世紀の初頭を飾るJSPPとして、例年より会期を1日延ばし、記念イベントとした。ところが投稿が低調で締め切りを伸ばしたりしたが、主催者はヒヤヒヤした。以下の企画があった。
基調講演 |
「ナノデバイスの可能性」中里和郎(日立ケンブリッジ研究所) |
招待講演 |
”The Computing Continuum” Sid Karin (NPACI, SDSC) |
招待講演 |
”InfiniBand the Standardization for Server Area Networks” Renato Recio (IBM) |
5件のチュートリアルもあった。一般講演は35件、ポスターは34件。情報処理学会論文誌が「並列処理」特集号を企画し、JSPP2001プログラム委員長天野英晴をゲストエディタに迎えた。
8) PSC2001
JSPP2001にあわせて8回目となるPSC2001 (Parallel Software Contest 2001)が開催された。実行委員長は佐藤三久(新情報)、委員は岡部寿男(京大),関口智嗣(電総研),長嶋雲兵(融合研),朴泰祐(筑波大),伊藤能一(富士通),後保範(日立),斎藤智秀(日本SGI),谷澤昭次(日本SGI)、佐々木祐二(日本電気),田村榮悦(日本IBM),水田正人(日本サン),鷲尾巧(日本電気)である。過去の委員長は顧問で、村岡洋一(早大)、小柳義夫(東大),金田康正(東大),島崎 眞昭(京大)。
使用マシンとして提供していただいたのはSGI 2800(統数研)、RWCP Score Cluster (NEC Express)(RWCPつくば研)、Sun Enterprise10000(東大コンピュータ科学専攻)であった。問題はそろそろネタが尽きた感もあったがN-body問題とし、誤差や検証方法について議論を重ねた。筆者は賛成でなかったが、再現性を確保するため整数で座標や力を計算することとした。予選問題は20000粒子の250ステップの計算、本選は予選問題のものに、外側粒子を配したものとした、参加は54チーム。
マシン |
SGI 2800 |
RWCP Cluster |
Sun E10000 |
CPU数 |
80 |
32 |
64 |
提出者 |
17 |
17 |
18 |
予選通過 |
5 |
5 |
5 |
1位 |
工藤 誠(東大) |
工藤 誠(東大) |
工藤 誠(東大) |
2位 |
蓬来 祐一郎(東大) |
城田祐介,上田清詩,川島祐介,田邊浩志,宮澤広哲,Ngo Tau Van(電通大) |
額田 彰(東大) |
3位 |
林田 守広(東大) |
蓬来 祐一郎(東大) |
蓬来祐一郎(東大) |
全部門で1位を独占したのはこれがはじめてであった。前々から言われていたが、入賞者に東大が多すぎるという印象が強い。
自由部門の記録も手元に残っている。これは同じ問題を各種のマシンで実行した結果である。参加資格も自由。
順位 |
氏名・所属 |
マシン名 |
ノード数 (CPU数) |
ピーク性能 (GFlops) |
実行結果 (秒) |
1 |
工藤誠(東大) |
SR8000/MPP |
16(128) |
230.4 |
5.98 |
2 |
廣安知之(同志社大) |
Gregor |
64(128) |
128 |
16.6882 |
3 |
建部修見(産総研) |
SR8000 |
32(256) |
256 |
21.0886 |
4 |
岩下武史(京大) |
VPP800 |
40 |
320 |
54.7045 |
5 |
岡部寿男(京大) |
AlphaServer DS20E*6 |
11 |
15 |
67.729 |
6 |
岡部寿男(京大) |
AlphaServer ES40*2 |
8 |
10 |
69.79 |
7 |
建部修見(産総研) |
ETL-Wiz |
32 |
21.312 |
87.05 |
8 |
松岡聡(東工大) |
Presto Cluster |
32 |
16 |
97.7049 |
9 |
平野彰雄(京大) |
GP7000/900 |
14 |
16.8 |
100.128 |
10 |
廣安知之(同志社大) |
Cambria |
10 |
8.0 |
253.563 |
11 |
朴泰祐(筑波大) |
RCCP Hyades Alpha-Cluster |
8 |
9.6 |
496.9 |
終了後、今後の方向性について関係者で議論した結果、現在の形のコンテストは今回第8回で終了することになり、本年と来年のJSPP実行委員長に以下のような書簡を送った。
JSPP2001実行委員会 委員長 島崎先生 JSPP2002実行委員会 委員長 山口先生
JSPP2001の行事と一つとして開催させていただきました並列ソフトウエアコンテストPSC2001も無事、成功裡に終りました。いろいろご支援いただき感謝しております。 さて、これからのPSCについてですが、PSC2001委員会で議論したところ、「これまでの委員会、やり方によるコンテストについては今回で終了する」という結論に至りました。1994年から始まったPSCは今回で8回目になりました。並列処理技術の普及と促進を目的に始まったPSCは、一応、当初の目的をはたせたのではないかと考えております。PSCの問題のいくつかは、その後の並列処理の研究のテーマとして取り上げられたり、論文の材料として用いられたりしているものもあります。また、情報関係のみならず、他分野の学生・大学院生の興味を引き並列処理の底辺の拡大に寄与できたのではと自負しております。しかし、その一方でクラスタなどの並列処理プラットフォームの多様化や問題作成の困難さなどの状況の変化はこれまでやり方のPSCの実施を難しくしております。また、昨今の経済状況により計算機ベンダの協力が得られにくくなっていることもあります。(以下略) |
9) NEC・HPC研究会
2001年7月4日に、NEC本社ビル地下1階講堂で、第13回NEC・HPC研究会が開催された。以下の講演が行われた。
谷啓二(原研) |
基調講演「地球シミュレータ計画の現状とそのインパクト」 |
福間雅夫(日本電気) |
特別講演「Peta Computing に向けたデバイス技術」 |
小野謙二(日産) |
「自動車の性能設計を支えるCFDと可視化技術」 |
Thierry Priol(INRIA) |
“Programming the Grid with distributed objects” |
花村光泰(日本電気) |
「スーパーコンピュータ用仮想エンジンシステム「PAM-CEF」の開発について」 |
塚越眞(日本電気) |
「NECのHPC製品のご紹介」 |
2001年12月5日に、東京ビッグサイト東展示棟で、第14回NEC・HPC研究会が開催された。以下の講演が行われた。
和田昭允(理研) |
基調講演「21世紀におけるバイオの展望」 |
秋山泰(産総研) |
「大規模並列処理によるバイオインフォマティクス:産総研CBRCが目指すもの」、 |
Guy Lonsdale(C&C Research Laboratories、) |
“The European project SimBio: developing a bio-numerics environment” |
日向時祥子(東海大) |
「mannose-bindnig proteinの糖鎖選択性に関する理論的研究」 |
花村光泰(日本電気) |
「NECのHPC製品のご紹介」 |
10) IBM HPC Forum
2001年7月17日に東京の日本IBM箱崎事業所で、7月18日には日本IBM大阪事業所で、IBM HPC Forumを開催した。詳細は「日本IBM」のところで。
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11) SWoPP沖縄2001(宜野湾市)
2001年並列/分散/協調処理に関する『沖縄』サマー・ワークショップ(SWoPP沖縄2001)は、2001年7月25日~27日に宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで開催された(写真はWikipediaから)。第14回目である。主催研究会は、電子情報通信学会コンピュータシステム研究会(CPSY)、フォールトトレラントシステム研究会(FTS)、 情報処理学会計算機アーキテクチャ研究会(ARC)、プログラミング研究会(PRO)、ハイパフォーマンスコンピューティング研究会(HPC)、 システムソフトウェアとオペレーティング・システム研究会(OS)であった。特別講演として「The Network must be a Computer」(村岡洋一)が行われた。懇親会はラグナガーデンホテル。会場から2 km弱北東に行ったところに「JA温泉アロマ」という農協経営の温泉があり、オール込み1500円で一日中過ごせるようであるが、筆者は一人で歩いて行ったので40分で帰ってきた。
12) 理研シンポジウム(和光市)
理化学研究所情報環境室は、2001年10月19日に理研シンポジウム「21世紀におけるハイパフォーマンスコンピューティングと計算機センター像」を理化学研究所内大河内ホールで開催した。
13) Toyota Conference(三ケ日研修所)
トヨタ自動車は、社会貢献活動の一環として1987年から「トヨタコンファレンス」を毎年行っている。第15回トヨタコンファレンスは、“Scientific and Engineering Computations for the 21st Century — Methodologies and Applications —”のテーマで10月28日~31日に三ヶ日研修所で開催された。組織委員会を作り、委員長は森正武(京大数理解析研究所)、副委員長は三井斌友(名大人間情報)、委員は河原田秀夫(千葉大工)、小林メイ(日本IBM東京基礎研)、小柳義夫(東大理)、杉原正顯(名大工)、山本哲朗(愛媛大理)、監事は高橋理一(豊田中央研究所所長)であった。名古屋駅近辺に何度も集まって企画を行った。会議録はJournal of Computational and Applied Mathematics誌の149巻1号(2002年12月)として発行されている。筆者は”The Future of Supercomputing”と題して講演した。
これに関係した公開講演会「計算科学は人類を救えるか?」が11月19日に科学技術館サイエンスホールで行われた。講演は「気象予測への挑戦」(隅健一)、「ゲノム解析への挑戦」(宮野悟)、「金融工学への挑戦」(今野浩)、「科学技術と市民意識」(柳田博明)であった。
14) IC2001(大阪市立大)
第6回目となるIC2001(インターネットコンファレンス2001)は、財団法人インターネット協会 (IAjapan)、日本学術振興会産業協力研究委員会インターネット技術研究委員会 (ITRC)、日本ソフトウェア科学会インターネットテクノロジー研究会 (JSSST)、日本UNIXユーザ会 (jus)、WIDEプロジェクト (WIDE)の主催により、2001年11月1日~2日に大阪市立大学学術情報総合センターにおいて開催された。実行委委員長は川本芳久(大阪学院大)、プログラム委員長は寺岡文男(慶応大)であった。
2件の招待講演が行われた。
「国際化ドメイン名について」 |
田代秀一(産総研) |
「実践ウェアラブルコンピューティング」 |
塚本昌彦(大阪大) |
15) SS研究会(神戸)
SS研究会(Scientific System研究会)は、7回目となるHPCミーティング2001を、合同分科会(10月31日~11月1にち)に続く11月2日、神戸ベイシェラトン ホテル&タワーズ(六甲アイランド)において、「HPCを切り拓くアプリは?」のテーマで開催した。参加者は約100名。
開催趣旨 |
蕪木企画委員 |
富士通役員挨拶 「HPCへの取り組み」 |
富士通(株)取締役 コンピュータ事業本部長 青木隆 |
招待講演 “Interactive Digital Models of the Milky Way Galaxy and Surrounding Intergalactic Space” |
Carter Emmart, Visualization Director Digital Galaxy Project, American Museum of Natural History, NY |
一般報告 |
|
・「地球温暖化問題の現状 ~何が分かって何が問題なのか~」 |
(財)電力中央研究所 我孫子研究所 上席研究員 環境科学部長 丸山康樹 |
・「産業技術総合研究所における計算科学 : ナノからマクロまで」 |
産業技術総合研究所 先端情報計算センター 寺倉清之 |
・「コンピュータ開発におけるCAE技術の現状」 |
富士通(株)生産システム本部 山本治彦 |
富士通報告 「次期HPCサーバについて」 |
富士通(株)エンタープライズサーバ事業部 第三開発部 池田正幸 |
まとめ |
蕪木企画委員 |
16) RIST「計算科学のための次世代計算環境に関するワークショップ」(東京)
2001年11月5日、RIST(財団法人 高度情報科学技術研究機構)の主催により、笹川記念会館において「計算科学のための次世代計算環境に関するワークショップ」が開催され参加した。このワークショップは、今後10年の計算科学の将来を考え、新世代の計算科学にふさわしい次世代計算環境はどのような姿か、またそれらを実現する次世代計算機技術はどのような方向なのかなどについて、講演やパネル討論が開かれた。矢川元基東京大学教授の基調講演、大学及び独立行政法人等の環境、バイオ、ナノテク等の代表的研究者、ユーザ等からの「アプリケーションユーザから計算環境への要求最前線」の講演のほか、「今後10年を見据えた計算科学と計算環境のあり方」というパネル討論会が行われた。
RISTはナノテクや気候や固体地球に関する会議はいろいろ開いてきたが、計算科学一般に関するオープンな会議を開いたのはこれが初めてではないかと思う。
17) 数理解析研究所
京都大学数理解析研究所において加古孝(電通大)を代表者として、「微分方程式の離散化手法と数値計算アルゴリズム」研究会が11月14日~16日に開催された。33回目である。この年からキーパーソン方式をとり、中尾、張、山本、杉原、三井、田端、河原田、岡本がキーパーソンとなった。講演は25件。講演内容は、数理解析研究所講究録No. 1265に収録されている。
次回は、日本の企業の動きと標準化関連の動きについて述べる。JAHPFが活動を終了し、高性能Fortran推進協議会が発足する。
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