新HPCの歩み(第209回)-2003年(l)-
Microsoft社はWindows Server 2003を発売した。果たしてUnixサーバを駆逐できるのか。また、同社はAMD64用のWindowsを開発していると発表した。中国は独自に64ビットプロセッサ龍芯(Loongson)2号(英語名Godson-2)を完成させる。中国はIBMと協力して中国グリッドを構築する。China HPC Top100が発表された。 |
アメリカ企業の動き(続き)
16) Fedora Linux
Fedora Projectは、2003年9月22日、Red Hat Linuxが企業向けのRed Hat Enterprise Linuxと一般向けのFedoraとに分割すると決定したことにより始まった。2003年11月5日にFedora Projectとしては最初のリリースであるFedora Linux Core 1が公開された。Red Hat社が後援しているが独立の組織である。(Wikipedia: Fedora Linux)
17) Microsoft(Windows Server 2003、x86-64版、Longhornの失敗)
Microsoft社は、Windows 2000 Serverの後継として開発した小規模~大規模サーバ用のオペレーティングシステムWindows Server 2003を、アメリカでは4月24日に(ITmedia 2003/4/25)、日本では6月25日に発売した。これによりUnixに独占されていたItaniumのハイエンドサーバ分野でWindowsを進出することをねらっていた。Windows Server 2003のトップエンドである「Datacenter Edition」は、64基相当のプロセッサを搭載したマシン上で動作する。これは、今まで同社には手の届かなかった、IBMやHP、サン・マイクロシステムズ(サン)が提供しているUNIXサーバを市場から追い払うおうとする取り組みの中で新しい武器となると期待している。とくにHPは、夏の終わりに発表予定のMadisonプロセッサ搭載サーバにWindowsをインストールした「Superdome」の売り上げ増に期待を込めた。またDell社は4月24日、Itanium搭載サーバとしては同社初となる厚さ3.5インチのラックマウント型デュアルプロセッササーバを発表した。(HPCwire 2003/5/2)
Windows Server 2003を基に、Itanium 2用のWindows XP 64-bit Edition Version 2003を4月に発表した。ベータ版を9月に実装した。(HPCwire 2003/9/26) OEM供給の形でのみ提供。2005年1月に販売終了する。
2003年4月11日に、Microsoft社はAMD 64命令セットのAtholon 64やOpteronのためのWindows XPを開発していると発表した。発売は2004年前半の予定。(HPCwire 2003/4/11) 9月23日の発表の中で、「もしIntel社が(命令セットを変えずに)64ビットのデスクトップチップを出すならば」その上でも動くと述べた。そして、「複数の版を管理したくないので、(Intelのために)リコンパイルする予定はない」と付け加えた。(HPCwire 2003/9/26) この時点で、Intelがx86-64のプロセッサを出すという発表はされてなかったが、このニュースを聞いて「ハハーン」と直感した人は少なくなかった。ただ、Itaniumのビジネスに差し支えるので、Intelのx86-64プロセッサは少し先になるだろうと予想した。
x86-64にnativeで対応したWindows Server 2003 x64 Editionは、2003年4月に開発中であることが発表されていたが、2005年6月にリリースされる。
Microsoft社は次世代のWindows OSとして、2001年5月からWindows XPをベースにLonghornというコード名で開発を開始しており、2003年にリリースする予定であったが、セキュリティ問題で遅れ、2003年10月、ようやくPDC (Professional Developers Conference)で詳細が発表された(HPCwire 2003/10/31)。しかしWindows Server 2003をベースに変更され、2005年にWindows Vistaとしてベータ版が公開される。正式リリースは2006年11月8日。筆者はXPからWindows 7/8に飛んでしまったのでVistaを使うチャンスはなかった。
後の話であるが、MicrosoftのCEOであるSteve Ballmerは2013年8月に辞意を表明した。11月末にZDNetのMary Jo Foleyは、ワシントン州RedmondのMicrosoft社本社の氏のオフィスでインタビューを行った。氏はこのLonghornについてこう述べた。「振り返ってみて言えること、うん、その時に感じていたのは、私のCEO時代だけでなく、Microsoft在職全期間を通じても、『LonghornをVistaにする』という決定は最も悔いが残るものであったのは間違いないということだ。これが私のしでかした最も大きな過ちだった」「なぜかって?この製品が素晴らしいものでなかったという点だけでなく、出荷までに5年も6年もかかったという点を思い出してほしい。次は、そういった問題を改善しなければならなかった。その結果が『Windows 7』だったと言っていいだろう」(ZDNet 2014/1/10)
Microsoft社は、12月17日、Internet Explorer, Outlook Express, Outlookにおいて、URLが偽装表示される脆弱性が見つかったと発表した。URLアドレスの中に「%00」や「%01」「@」の文字が含まれた場合、その後ろの部分が表示されないバグがあり、なりすましが可能になる。当時はニュースとして報じられたが、だんだんニュースにもならなくなる。
Microsoft社はアカデミアへの接近を強めていた。同社は2003年2月21日、Rice大学を含む25の大学のプロジェクトに、the 2003 Microsoft Research (MSR) University Relations Innovation Excellence research grantsを合計$3.5M提供したと発表した。申請は152件もあった。
18) ヨーロッパにおけるMicrosoft社への訴訟
アメリカにおける反トラスト法訴訟は、2002年11月1日の判決で決着したが、ヨーロッパでも1993年から訴訟が起こされていた。1994年にMicrosoftはライセンス規定の一部廃止で和解した。その後、1998年に、Sun Microsystems社がWindows NTのインターフェース情報の一部の公開がなされていないと主張してこの争いに加わった。欧州委員会はMicirosoft社による地位乱用が継続していることを理由に、2003年に予備決定を下し、Microsoft社に対し、Windows Media Playerを抱き合わせないWindowsの販売と、必要な情報の開示を命じた。2004年3月には、120日以内にサーバ情報を開示し、90日以内にWindows Media Playerを抱き合わせないWindowsの生産というこれまでの決定に加えて、制裁金€496Mの支払いを命じる。(Wikipedia:マイクロソフトの欧州連合における競争法違反事件)
19) Sun対Microsoft訴訟
Java言語は、Sun Microsystems社により1995年に導入された。1997年に始まるSun Microsystems社とMicrosoft社とのJava製品に関する訴訟は、2001年1月に一旦和解したが、Sun Microsystems社は、2002年3月8日、再びMicrosoft社を独禁法違反でSan Jose連邦地裁に提訴し、Microsoft社がJavaプラットフォームの普及を妨害し、ライセンスを受けていないJava対応製品を配布したと主張し、$1Bの損害賠償を請求した(HPCwire 2002/3/15) (PC Watch 2002/3/11) (Wired 2003/1/22) (HPCwire 2003/6/20)。連邦地裁は、2002年12月にSun Microsystems社の言い分を認める判決を下し、Microsoft社に対し、Sun Microsystems社のJava技術をWindowsに搭載するよう命令を出すことを決めた(ITpro 2003/6/27) (HPCwire 2002/12/6)。
2003年1月20日に両社がJava言語の実装について合意をした(HPCwire 2003/1/24)ことを受けて、21日、Microsoft社に対し、Sun Microsystems社製のJava言語をWindowsに搭載するよう命令した。この命令が執行されれば、Microsoft社は4か月以内にWindows XPにJavaを実装した版を出さなければならない。Microsoft社は、この裁定が市場の自由な活動に対する不当な干渉であるとして、2003年2月に第4巡回区控訴裁判所(日本の高裁に相当)に控訴した。これまで多くのPCは、Microsoft版のJVM (Java Virtual Machine)を搭載してきたが、6月16日、トップシェアのPCメーカーのDell Computer社とHewlett-Packard社は、今後のPCモデルにはオリジナルなJavaソフトウェアを搭載すると発表した。買収のうわさの絶えないSun Microsystems社は、これで収益を増やし、株価を上昇させることができるか。
20) VMware社
1998年10月26日にカリフォルニア州Palo Altoで創立されたVMware社は、2003年11月、オープンな仮想インフラプラットフォームを発表した。VMware Virtual Center(複数の仮想化システムを一元的に管理運用), the VMotion(稼働中のゲストOSを他の物理マシンに手動で引き継ぎできる), and Virtual SMP technologyなどである。また2003年5月12日、日本法人「ヴイエムウェア株式会社」を設立した。
VMware社は、2004年EMC社に$625Mで買収される。
21) Avaki社
Avaki社は、2003年7月、Avaki Data Grid 4.0ソフトウェアを発表した。これにより、組織全体に分散しているデータの供給、アクセス、統合を使いやすい形でサポートする。
22) Mozilla Foundation
Netscapeの親会社であるAOLによるMozilla Organizationとの関係が縮小したので、2005年7月15日、Mozilla Foundationが設立された。これによりMozillaはNetscapeとの関係を完全に切ることとなった。なお、2005年8月3日に、Mozilla Foundationは完全子会社であるMozilla Corporationを設立する。
23) Oracle社
2003年9月7日~11日にSan Franciscoで開催されたOracleWorldにおいて、データベースのOracle 10gにおいて“Enterprise Grid Computing”を導入しweb技術のアプリを実装すると発表した。10gのgはgridを意味する。この動きはGGFとは別のGridコンソーシアムを組織して商用グリッドの別の標準を定めるのではないかとの疑惑を生んだ。GGF会長のCharlie Catlettがコメントを出した。OracleもGGFのメンバであり、GGFには多くの企業が参画している。商用のグリッドと研究用のグリッドでは違うところも多くあるが、共通点も多いので、よく対話して標準化を行うことの重要性を述べている。(HPCwire 2003/9/12) 10gの発売は2004年。
24) LSI Logic社
2003年11月、LSI Logic社の日本法人LSIロジック社はつくば市の営業所をローム社に売却した。筑波大学のQCDPAX関係者や旧電総研のEM4関係者などがお世話になったところである。
25) 3Com社
3Com Corporation(1979年創業)は、2003年5月、本社をSanta Claraからマサチューセッツ州Marlboroughに移した。また中国の通信機器会社である華為技術(Huawei Technologies、1987年創業)との合弁会社Huawei-3Com Co., Ltdを中国で創設し、製品をH3C (Huawei-3Com)のブランド名で中国と日本の市場に提供した。その後、2007年9月にBain Capital LLCと華為技術とが、3Comを買収する計画があきらかになり、米国議会などから反対が起こった。2010年、Hewlett-Packard社によって買収された。
ヨーロッパなどの企業の動き
1) ClearSpeed Technology社(CS301)
SIMDプロセッサを開発するために、2002年イギリスのBristolで創業したClearSpeed社は、2003年10月パソコン用演算チップCS301を「史上最速」という触れ込みで発表し、11月にはデモを行った。CS301には64個のPE (multiply & add)があり200 MHzで動作するので25.6 GFlops(32 bit演算)ということである。各PEは64B のregister fileと、programmed I/O (PIO)とstreaming I/O (SIO)と4 KBのlocal memoryを持つ。Register fileは隣接register fileと32 bit幅で接続、PIOとSIOはそれぞれ64 bit幅でClearConnectBusに接続される。消費電力はわずか2~3Wという。製造はIBMの130 nmプロセス。(CNET Japan 2003/10/16)
2) Quadrics社(QsNet II)
Meiko Scientific社は、1996年、Alenia Spazi社とMeiko Scientific社との合弁会社としてQuadrics Supercomputer World社をブリストルとローマで設立し、Meiko Scientific社の技術者はQuadrics社に移転した。Quadrics社は、QsNet I (1998)に続いてQsNet IIを2003年に出荷した。これはQsNetと同様fat treeトポロジーであり、4096ノードまで拡張可能である。バンド幅は両方向に1.3 GB/sずつ。Top500のところに示したように、上位のマシンのいくつかはこれを使っている。(HPCwire 2003/4/18)
3) OctigaBay Systems社(12K)
同社は2001年にカナダのBritish Columbiaで“639231 British Columbia Ltd.”としてPaul Terryにより設立され、2002年にOctigaBay Systems社と社名変更された。2003年、Hewlett-Packard社のベテランSteven Joachimsが入社して話題になった(HPCwire 2003/9/26) 。2003年11月、SC2003を前に、大きなバンド幅と低いレイテンシのOctigaBay 12Kを発表した。
OctigaBay 12Kは、AMD Opteronを高速な相互接続網で接続するDirect Connected Processor (DCP) architectureが特徴で、接続網はGigabit Ethernetより30倍高速で、CPUを「直接」接続することにより、メモリ衝突やPCIバスの制限を受けない。12Kは、1個のshelfに、12基のOpteronと、12個の専用通信プロセッサを搭載している。このプロセッサは、1 Tb/sの埋め込みスイッチにより、各Opteron当たり8 GB/sのバンド幅と1μsのレイテンシの通信を可能にしている。OSはHPCに最適化したLinuxである。さらに、専用の管理ソフトウェアを搭載し、ハードウェアやネットワークを監視する。さらに、6基のFPGAをアプリケーション加速のために搭載している。1ラックには12個のshelfを収容でき、12000プロセッサ以上まで外部スイッチなしに接続できる。(HPCwire 2003/11/7)
こんな夢のようなマシンが果たしてできるのかと思われたが、OctigaBay Systems社は、12K完成前に、2004年2月25日にCray社に$115Mで買収され、12KはCray XD1として世に出ることになる。当初の構想と若干違ったが、ノード当たり4基のOpteronと、1基のXilinx FPGAを搭載し、バンド幅は3.2 GB/s、MPIレイテンシは1.8μsとなる。Cray XT(Red Storm)の下位機種という位置づけだが、マニア好みの凝ったマシンのようである。
中国の動き(政府、企業)
1) 曙光(4000L)
「人民網日本語版」2003年6月13日号によると、 中国石油集団・東方地球物理探査有限責任公司はこのほど、4.2 TFlopsの計算能力を持つ「曙光4000L」スーパーコンピュータを正式に購入したとのことである。 8月初に納品され、計772個のCPU(プロセッサ名不明)を持る。このスーパーコンピューターは石油探査に利用される。
曙光信息産業有限公司(Dawning Information Industry)は、1996年、中国科学院コンピュータ技術研究所からのスピンオフとして設立され、1993年に曙光一号を、1995年に曙光二号(Dawning 1000)を開発したが、1998年曙光-2000Iを発表した。
2) Lenovo(商標Lenovo、スーパーコンピュータ設置)
1984年11月、中国科学院計算機研究所の11名の研究員が「中国科学院計算所新技術発展公司」を設立した。1989年に北京聯想計算機集団公司を設立。聯想集団はLegendというブランド名を使用していたが、2003年4月商標をLenovoに改めた。「新しい(novo) Legend」を意味するのであろう。「Legend」という商品名が欧米ですでに登録されてたためとのことである。翌年2004年には英語社名もLenovoとした。2004年12月、Lenovo社はIBMからPC部門を買収することを発表し、世界を驚かせる。
Lenovo社はいくつかのスーパーコンピュータを設置している。
a) 中国科学院計算机網絡信息中心(The Computer Network Information Center, CNIC)は、Lenovo社と協力した、1024個のItanium 2プロセッサ(1.3 GHz)を用いて、256ノードのスーパーコンピュータ(DeepComp 6800)を開発した。相互接続網はQsNetである。Rmax=4.183 TFlopsで、2003年11月のTop500では14位である。予算は中国科学院と科学技術省の双方で出した。(HPCwire 2003/12/12)
b) 中国科学院数学与系統科学研究員(Academy of Mathematics and System Science)は、Lenovo社製のDeepComp 1800を2002年に設置した。これは512個のPentium 4 Xeon (2 GHz)からなる。相互接続網はMyrinet。Rmax=1.297 TFlopsで、2003年11月のTop500では82位である。
c) 中国科学院大気物理研究所(Institute of Atmospheric Physics)はLenovo社製のDeepComp 1800を2002年に設置した。これは256個のPentium 4 Xeon (2.4 GHz)からなる。相互接続網はMyrinet。Rmax=0.7358で、2003年11月のTop500では188位。
3) その他の中国のマシン
2003年11月のTop500から他のマシンをいくつか示す。
a) 深圳大学では、清華大学と協力して256個のPentium 4 Xeon (3.06/2.8 GHz)をMyrinetで結合したDeepSuper-21Cを2003年設置した。Rmax=0.8301 TFlopsで、163位。
b) 某公共機関は、IBMのxSeries Clusterを導入した。Xeon 2.4 GHzプロセッサを622個Gig-Eで接続し、Rmax=1.17519で90位。
c) Xin Jiang Oil(新疆石油?)は、IBMのBladeCenter Clusterを導入した。Xeon 2.4 GHzプロセッサを448個Gig-Eで接続し、Rmax=0.924231 TFlopsで141位。
4) 中国科学院(Loongson)
中国科学院計算技術研究所は、2002年、江蘇綜藝集団(Jiangsu Zhongyi Group)と官学共同投資のBLX IC Design Corporationを設立し、MIPSアーキテクチャの32ビットプロセッサLoongson(龍芯)を開発したが、2003年、龍芯(Loongson)2号(英語名Godson-2)を完成。64bitプロセッサで、いろいろな版がある。クロックは300~500 MHz。初期の龍芯2B号のテクノロジーは180 nmでクロックは250 MHzであった。L1 cacheは命令・データ各32 KB、L2 cacheなし、MIPS III 64bitアーキテクチャを採用しているが、この段階ではまだ正式契約を結んでいない。
5) China HPC Top100
第2回目となるChina HPC Top 2003が発表された。前回の2002年はTop500に載ったものがわずか5件(未登録が1件)であったが、今度はどうか。10位までを記す。Top500性能のは2003年11月のTop500での順位。性能の単位はGFlops。
順位 |
Top500 |
設置場所 |
製造 |
機種 |
Cores |
Rmax |
Rpeak |
1 |
14 |
中国科学院超級計算中心 |
聯想 |
深腾6800/256×4 Itanium 2 1.3GHz/QsNet |
1024 |
4148.0 |
5324.8 |
2 |
82 |
中科院数学助系統科学研究機 |
聯想 |
深腾1800/ LSSC-II Xeon 2.0GHz(256×2)/Myrinet 2000 |
512 |
1297.0 |
2048.0 |
? |
90 |
某公的機関 |
IBM |
xSeries Cluster Xeon 2.4 GHz – Gig-E |
622 |
1175.2 |
2985.6 |
? |
140tie |
中国石油新疆油田分公司 |
IBM |
BladeCenter Cluster Xeon 2.4 GHz, Gig-Ethernet |
448 |
924.2 |
2150.4 |
3 |
163 |
深圳大学 |
① |
深超-21C /Xeon 3.06(128)/ 2.8GHz(128)/Myrinet 2000 |
256 |
794.1 |
1500.16 |
4 |
188 |
中国科学院大気物理所LASG |
聯想 |
深腾1800 Xeon 2.4GHz(128×2)/Myrinet 2000 |
256 |
735.8 |
1228.0 |
5 |
? |
山東大学高性能計算中心 |
浪潮 |
天梭TS10000/Xeon 2.8/ Infiniband 4x |
192 |
627.2 |
1075.2 |
6 |
? |
北京軍事医学科学院 |
② |
神威新世纪-256P/Xeon 2.4GHz/ Giga.Eth. |
256 |
485.02 |
1228.88 |
7 |
? |
中石化集団公司石油勘深開発研究院 |
② |
神威新世纪-256P/Xeon 2.4GHz/ Giga.Eth. |
256 |
467.0 |
1228.88 |
? |
409tie |
Web Company |
HP |
SuperDome 875 MHz/HyperPlex |
192 |
418.1 |
672.0 |
? |
421tie |
Digital China Ltd. |
HP |
SuperDome 875 MHz/HyperPlex |
192 |
412.7 |
672.0 |
? |
421tie |
Yuan Rong Development |
HP |
SuperDome 875 MHz/HyperPlex |
192 |
412.7 |
672.0 |
8tie |
479tie |
勝利油田 |
IBM |
xSeries Cluster Xeon 2.4 GHz – Gig-E |
256 |
402.5 |
1288.8 |
8tie |
479tie |
中石化集団 |
IBM |
xSeries Cluster Xeon 2.4 GHz – Gig-E |
256 |
402.5 |
1288.8 |
10 |
494 |
大慶油田有限責任公司勘探開発研究院 |
聯想 |
深腾1800 Xeon 2.4 GHz(256) GigaNet |
256 |
385.4 |
1228.0 |
① 清華大学計算机系高性能所
② 国家並行計算机工程技術中心
片方だけの登録が目立つ。
6) 中国グリッド
2003年10月、中国教育省とIBMは協定を結び、グリッド技術を用いて全国の大学が研究教育で協力できる基盤を作ると発表した。この中国教育研究グリッドは政府主導のグリッドプロジェクトとしては最大級のもので、10月には6大学で始まったが、将来的には中国中の百近い大学の20万人の学生や職員をつなぐものである。Phase Iは2005年に完了し、6 TFlops以上の計算能力を提供する。
中国グリッドはIBMの提供するWebSphereという新しいWebサービスを用いる。これはOGSA標準を活用し、49台のLinuxで走るIBM eServer xSeriesが設置される。加えて、AIXで走る6台のpSeriesサーバも設置される。 これにより中国の大学は開発コストを節約でき、グリッドを通して種々のアプリを使うことができる。
中国グリッド上で走る最初のプロジェクトとしては、バイオインフォマティックス、ビデオ授業、e-learningなどがある。(HPCwire 2003/10/20)
7) 中国版Office
2003年8月27日のCnetの報道によると、上海の公立学校では、海賊行為取締官が学校を捜査すると報じられたことと、米Microsoft社の出したライセンス料支払い要求を受け、9月1日から、Microsoft Officeの代わりに中国のソフトウェアメーカKingsoft製のWPS Office 2003が導入されることになった。 ほとんどの学校では、中国産ソフトのインストール準備として、Microsoft Officeプログラムが削除された。WPS Office 2003の価格($156)は、Office XP($465)の約1/3である。来月からは、Microsoft Officeに関連する記述がほとんど無い、新しいコンピュータの教科書も採用される。
中国全体としても、中国政府は、ソフトウェアの購入に関して新しい方針を打ち出し、次の更新期からは各省庁が購入できるソフトウェアを国産のものに限定する。この動きは、米Microsoftがデスクトップコンピュータ向けソフトウェア市場を独占している状況を打破することを狙ったもので、中国政府の使用する数十万台のコンピュータから、数年間でWindowsオペレーティングシステムとOffice Suiteを排除する。
中国のソフトウェアベンダーKingsoftは、かつて中国語ワードプロセッサ市場の90%を確保していたが、1990年代初期にMicrosoft Wordが参入すると、マーケットシェアのほぼすべてをWordに奪われてしまったとのことである。どこかの国にも似たような話がありますね。専門家によると、中国市場でMicrosoft Officeの独占状態に対抗できる製品は、WPSシステムだけだという。(CNET Japan 2003/8/18) (CNET Japan 2003/8/27)
これに対し、米国のIT企業400社を代表する業界団体、ITAA(Information Technology Association of America)は8月20日(米国時間)、ワシントンDCにある中国大使館の職員および北京のCIITA(Chinese Information Industry Trade Association)宛てに書簡を送付し、政府購入のソフトを中国企業製品に限定すると報じられたことについて、その真偽の確認を求めるとともに、この政策は保護貿易主義的と見なされ、貿易の障害となる、と述べた。(CNET Japan 2003/8/25)
企業の創業
1) Liquid Computing Corporation
2003年、Nortel社にいたBrian HurleyとMike Kempの2人はLiquid Computing社をカナダのOttawaで創業した。サーバ、ストレージ、相互接続ネットワークを販売。2006年にスケーラブルなシステムとしてLiquidIQを導入するが、2010年2月ビジネスを閉鎖する。
2) SiCortex社
2003年、マサチューセッツ州Maynardにおいて、John MucciはSiCortex社を設立した。目的は、省電力・省スペースのスーパーコンピュータを製造することである。各ノードはMIPS64命令セットを実行するコア6個で構成されている。75台のスーパーコンピュータを販売したが、ベンチャーキャピタルからの資金が受けられず運営に行き詰り、2009年に活動を停止する。
次は2004年。Hewlett-Packard社とIntel社は10年にわたるItaniumの共同開発を終了し、HP社はハイエンドサーバ開発を、Intel社はマイクロプロセッサ開発を担当することになった。Itaniumの運命はいかに。PCの遊休計算資源を集めて分散コンピューティングを行うソフトを開発していたEntropia社は活動を中止した。日本では次世代スーパーコンピュータ計画が正式に動き出すとともに、アメリカでは(何と)エクサスケールを目指して”The Path to Extreme Supercomputing”シンポジウムが開催される。
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