世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


3月 18, 2019

HPCの歩み50年(第190回)-2011年(b)-

HPCwire Japan

 東日本大震災がなければ知ることもなかったが、「京」関係の部品工場の多くが東北地方にあり、地震や津波の被害を受けた。関係者の並々ならぬ尽力により、「京」の製造を優先していただいた。神戸への筐体の搬入は順調に進み、8割の設置でLinpackを測定することができた。日本久々の1位は世界を驚かせた。

「京」コンピュータ開発

 

1) 同軸ケーブル 
河北新報によると、京コンピュータで使われる20万本の同軸ケーブルは、イワサキ通信工業という会社が製造を担当するのだそうである。この会社は、宮城県栗原郡(今は栗原市、伊豆沼の近く)で1983年5月に創業され、資本金1000万円、従業員80人の小企業である。もともとはハーネス(といっても、馬具や犬やパラグライダーではなく、電線のハーネスであろう)の加工工場であるが、「京」のために3億円を掛けて設備を増強し、従業員を180人に増やして対応するそうである。「大きなコネクタ製造会社の下請けで」とあるので、富士通から見れば少なくとも孫請けであろう。

2008年12月にこの話が持ち掛けられた。最高の機械精度と、厳しい許容範囲の電気的性質を満たす必要があり、イワサキ通信工業に商談があったようである。各同軸ケーブルの、ID番号、製造日・時刻、検査データ等はコンピュータ上のデータベースで管理される。これによっていかなるトラブルにも対処できる。社長は「最悪の場合、ケーブルの一つの欠陥がスーパーコンピュータ全体への致命的な故障につながるかもしれない。会社の責任は大きい。しかしうまくいけば、これほどの喜びはない。」と述べている。

ケーブルの製造は2010年5月から始まり、2011年5月に完了する予定であった。「京」に関係した部品工場が東北地方にはそのほか多数あったようである。この時は、まさか2011年3月に東日本大震災が起こるとは夢にも思わなかった。

 

2) 次世代スーパーコンピューティング・シンポジウム2010

「次世代スーパーコンピューティング・シンポジウム2010および第1回戦略プログラム5分野合同ワークショップ」が2011年1月17日(月)に、ニチイ学館神戸ポートアイランドセンターで開催された。この会場は、理研計算科学研究機構から見て、神戸大学統合研究拠点と花鳥園を挟んで東側にあり、宿泊施設や大きな会議場がある。主催は戦略プログラム実施諸機関、共催は文部科学省、後援は兵庫県、神戸市、FOCUS、産応協であった。写真は会場風景。

プログラムは以下の通り。

9:30

開会挨拶

平尾公彦 理化学研究所 計算科学研究機構 機構長

9:35

共催者挨拶

戸渡速志 文部科学省大臣官房審議官(研究振興局担当)

9:40

政策講演 「次世代スパコン計画と今後の展開」

井上 輸一 文部科学省研究振興局情報課計算科学技術推進室 室長

10:00

基調講演 「科学研究の進む方向」

吉川 弘之 科学技術振興機構 研究開発戦略センター センター長

11:00

「ポストペタスーパーコンピューティング-計算機科学から-」

米澤 明憲  東京大学 大学院情報理工学系研究科 教授

11:40

昼休み(ホワイエにてポスターセッション)

 

13:40

分野1講演 「生命科学における高性能計算」

柳田敏雄 理化学研究所 計算生命科学研究センター設立準備室長

14:25

分野2講演 「『京』は計算物質科学をどう変えるか?」

常行真司 東京大学・物性研究所/大学院理学系研究科・教授

15:10

分野3講演 「防災・減災に資する地球変動予測」

今脇資郎 独立行政法人海洋研究開発機構 理事

15:55

コーヒーブレイク(ホワイエにてポスターセッション)

 

16:25

分野4講演 「次世代ものづくり(分野4)の取組み」

加藤千幸 東京大学生産技術研究所 革新的シミュレーション研究センター センター長・教授

17:10

分野5講演 「分野5『物質と宇宙の起源と構造』の目指すものー素粒子・原子核・宇宙の融合ー」

青木慎也 筑波大学大学院 数理物質科学研究科 教授

17:55

閉会挨拶

青木慎也 筑波大学大学院 数理物質科学研究科 教授

 

3) 1st AICS International Symposium
第1回のAICS International Symposium ―Computer and Computation Sciences for Exascale Computing―が、2011年3月11日~12日に、完成して間もない理研計算科学研究機構の大会議室で開催された。前年からポスト「京」の検討が始まっており、このシンポジウムもExascaleと銘打っている。海外からの招待講演者は以下の8名であった。プログラムはweb参照。

名前

所属

分野

Dr. Shekhar Y. Borkar

Intel Labs.

Computer

Prof. Laxmikant Kale

University of Illinois at Urbana-Champaign

Computer

Mr. David Böhme

RWTH Aachen University

Computer

Prof. Norman Christ

Columbia University

Physics

Dr. Wibe Albert de Jong

Northwest National Laboratory (PNNL).

Chemistry

Prof. Michael Feig

Michigan State University

Biochemistry

Prof. Sandro Sorella

SISSA Trieste (International School for Advanced Studies)

Condensed matter

Dr. James L. Kinter III

Center for Ocean-Land-Atmosphere Studies (COLA)

Climate

 

1日目の3月11日に東北地方太平洋沖地震が起こり、その地震波は遠く神戸まで伝わった。参加者の話では、船酔いに似た感じだったとのことである。長周期振動だったからであろう。そもそも建物全体が免振構造になっているので、短周期の振動は建物内には伝わらない。翌日東海道新幹線は動いていたようであるが、北関東・東北方面からの参加者は帰宅に苦労したのではないかと思う。

4) 「HPCIフォーラム~「京」およびHPCIが拓く未来~」(中止)
「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)フォーラム~「京」そしてHPCIが拓く未来~」が、3月27日(日)に日本科学未来館みらいCANホールで開催されることになっており、筆者も講演を依頼されていたが、東日本大地震のため中止になった。

5) 理化学研究所次世代スーパーコンピュータ技術諮問委員会
第5回技術諮問委員会が2011年1月28日(金)10時から理研東京連絡事務所中会議室で開催され、「京」の進捗状況が報告された。

第6回技術諮問委員会は、2011年9月9日(金)15時30分から、富国生命ビルに移転した理研東京連絡事務所で開催された。

6) 「京」一部稼働開始
理研次世代コンピュータ開発実施本部の4月1日付けの発表によると、前年2010年10月から始まった「京」コンピュータの搬入(初荷は9月29日着)が順調に進み、3月末までに、アプリケーションソフトウェア開発者自らが、「京」の一部を用いてプログラムを開発、実証できる試験利用環境を暫定的に整備したとのことである。プログラムの実行環境が整ったことを受け、「京」の利用を目指すグランドチャレンジプログラム及び戦略プログラムの実施機関が、2011年4月より順次計算科学研究機構に研究開発拠点を開設し始めており、次世代スーパーコンピュータ開発実施本部及び計算科学研究機構では、これらの実施機関と協力、連携し、早期の成果創出に貢献する、と述べている。

3月にDiscovery Channelで「京」の紹介番組が放送されたが、4月17日22時からBSフジで再放送(英語のまま)放送された。

7) SPARC64 VIIIfxが「日本産業技術大賞 文部科学大臣賞」を受賞
理研および富士通の4月25日の発表によると、「京」のCPUチップSPARC64 VIIIfxは、日刊工業新聞社が主催する日本産業技術大賞 文部科学大臣賞を受賞した。発表によると、「SPARC64 VIIIfxは、1チップ内に8個のCPUコアを搭載し、並列処理数を増加させることで、汎用CPUとしては世界最高クラスの理論ピーク性能となる128ギガFLOPSを実現した。また、CPU内部の電力効率の改善や水冷方式の採用などで、CPU内部回路の漏れ電流を大幅に低減させ、消費電力あたりの性能が1ワット当たり2.2ギガFLOPSを達成し、汎用CPUとして世界最高クラスを実現した。そのほか、エラー発生時には自動的に再実行する命令リトライ機構や、CPU内部の回路をエラー訂正するなど、メインフレームと同等の高信頼性を実現している。」

8) NHK教育テレビ番組
6月12日(日)午後11時30分からNHK教育テレビ「ITホワイトボックス」(第3シリーズ)という番組で「スパコンはどうして必要なの? ~次世代スパコンを開発せよ~」という番組が放映された。松岡聡(東工大)などが出演した。キャスターは高市佳明アナウンサー(上智大学卒)と森下千里(「森高」ではない)のコンビで、2003年に私の出演した地球シミュレータの番組と同じあった。森下千里はこのころITホワイトボックスのレギュラーだったようである。東工大の青木尊之がGPUの説明をしたが、一般の視聴者に分かったか?再放送は6月19日(日)午後2時。

9) 世界一へ
恒例のISC 2011 (International Supercomputing Conference)は、昨年・一昨年と同様に、HamburgのCCH (Congress Center Hamburg)で、6月19日(日)~23日(木)に開催された。昨年は出席しなかったが、今年は「京」の快挙を見られることを期待して出席した。会議の詳細は後で記すが、「京」関係の話題についてここで述べる。

ISCのTop500は月曜日の開会式の直後のセッションで発表されるが、それ以前からすでに朝日新聞や日刊工業新聞にも「日の丸スパコン、首位奪取へ-世界の性能番付で“京速”技術競う」などと騒がれていた。こちらは、IBMのBlue Gene/QやPOWER7が、あるいはCrayの新型機が、「藪から棒」に出てこないか、ヒヤヒヤであった。

開会式前日の19日(日)にHPC in Asiaと題したワークショップがあり、アジアの有名人が登壇した。韓国のJysoo Leeは、韓国のHPC分野の予算制度について話し、中国のYutong Luは天河1Aの話をした。渡辺貞も登壇し、「京」コンピュータの話をしたが、発表前なので「性能については明日の朝のお楽しみ」とぼかしていた。

 

20日(月)Top500セッション開始数分前に、日本に残っていた理化学研究所計算科学研究機構&次世代スーパーコンピュータ開発実施本部の横川三津夫から、関係者にメールが届いた。

「本日20日、ドイツ・ハンブルクで開催している第26回 ISC’11(International Supercomputing Conference 2011)において発表されました第37回TOP500リストにおきまして、「京」が第一位を獲得いたしましたことをご報告申し上げます。

今回の結果は、京を搬入、調整する中で、適宜性能を確認するためにLINPACK性能を計測した値を登録したものです。68,544個の計算ノード(ピーク性能8.774PFLOPS)を用い、LINPACK性能 8.162PFLOPS(実行効率 93.0%)を達成することができ、私たちと致しましては着実に開発が進んでいることを国内外に示すことが出来たと思っています。」

午前10時15分(日本時間、20日午後5時15分)に始まるセッションでは、この会議の主宰者であるHans Meuerから富士通の佐相副社長と理研の渡辺プロジェクトリーダーに賞状が渡された(写真)。渡辺貞リーダーはスピーチを行い、「東北地方太平洋沖地震によって被災された厳しい状況にもかかわらず「京」の製作に打ち込んでいただいた企業の方々のご尽力に感謝する」と述べた。

10) 中国の悔し涙
前回2010年11月のTop500で初めてトップを取った天河(Tianhe) 1Aを率いていたYutong Lu女史(国防科学技術大学)と発表後昼食をともにしたが、「日本がそんなに頑張っているとは知らなかったわ」と悔しそうな顔をしていた。筆者は、「われわれは常にかなりの情報を公開してきた。10ペタを狙うことも公表している。それを知らないのは、情報収集能力の問題だ。」と反論した。

本紙で2018年7月に掲載された【わがスパコン人生】第3回 渡辺貞 において、渡辺氏もYutongとの会話が印象的だったと述べている。渡辺氏はその前日Yutongと会食(多分、HPC in Asiaワークショップのランチ。筆者も同席した。)をしたが(この記事ではアメリカでと読めるが場所はドイツ)、発表前だったので「世界最速の天河一号Aはどうやって開発したんですか?」なんてしらばくれていたそうである。「彼女は発表当日には青ざめた顔をしていた」と渡辺氏は述べている。しかし、中国もさらにその先を目指している。

11) マスコミ報道
理化学研究所と富士通は、さっそく6月20日に日本において記者会見を行った。もちろん、外電も「京」が世界一位となったことを報じた。2004年6月に地球シミュレータが連続5回目のトップを取ったが、それ以来の快挙である。記者会見した理研の野依良治理事長は「世界に圧倒的な差をつけての1位だ。我が国の産業技術がいまだ健在であることの証しで大変うれしく思う」と話した。朝日新聞によると、発表日は、富士通の76回目の創立記念日に当たるとのことである。

2009年11月の事業仕分けで予算削減の憂き目に遭い、「歴史の法廷に立つ覚悟があるのか」と怒りをあらわにした野依理事長。「1番を目指さないと駄目か」と問われ、「やはりトップを目指さないと駄目ですよね」と大きくうなずいた。

関係者が特に強調したのは、東日本大震災の影響である。スパコンの部品製造には上に書いたように宮城県や福島県の工場も参加していたが、3月の東日本大震災で被災し、操業がストップ。プロジェクトは危機に陥った。富士通の間塚会長は「理事長にスケジュールが厳しいと申し上げたが、その後協力会社から連絡があり、『他のものをストップさせても、このプロジェクトには協力する』と言われた」と明かし、「最先端の技術を東北の協力会社が支えていた。それがなければ、世界一はなかった」と強調した。「2位じゃだめなんでしょうか」の発言で注目を集めた蓮舫行政刷新相も賛辞を贈った。

他方、読売新聞は「米国の敵失が勝因」と書いている。富士通の製造が予定を上回るペースで進んだ一方、米国の10 PFlops級のスパコン(SequoiaやBlue Watersなど)の開発が遅れた敵失が勝因と、文部科学省が分析している、と報じている。筆者の私見では、Blue Gene/QやBlue Watersなどはどうせ20 PFlops級で首位が取れるので、ここは日本に花を持たせてやったのではないか、と見ていた。アメリカもその方が予算を取りやすいのではないか。

Wall Street Journal日本語版は、「京は既存のスパコンから大きく前進しており、第2位から第6位までのスパコンを合わせたよりも計算能力が高く、1秒間の計算回数は第2位の中国・国防科学技術大学のスパコンよりも3倍多い。」と述べている。

読売新聞は、スパコンの性能は計算速度だけでは決まらず、ソフトウェアも重要だ、と指摘している。このため、「京」では創薬や太陽電池の開発、宇宙誕生の解明などにつながる模擬実験(シミュレーション)用のソフトウェア開発も進めている。防災への貢献も目的の一つで、現在は20m四方が最小単位の津波の計算も「京」では2m四方になる。

EE Timesによると、Jack Dongarraは、「京が成功した要因として、プロセッサとインターコネクトを同時に設計し、単に組み合わせるのではなく、互いに性能を引き出せるようにうまく適合させた」ことを挙げている(「京」では別チップ。今度のポスト「京」では同一チップ上)。

「Tofuと呼ばれる京のインターコネクトのトポロジ構造は、6次元のメッシュ/トーラスであり、1リンク当たり片方向で5Gバイト/秒の転送速度を実現する。外部スイッチは不要だ。上限である10万ノードの接続を構築すると、10 PFlopsの性能を実現できるという。」

「さらに設計面で優れているのが、ノードがシングルCPUであるという点だ。このため、比較的シンプルなメモリ階層をサポートできる上、より高いメモリ帯域幅を実現することが可能だ。」

Dongarraは、「高速なコンピュータシステムを構築するためには、バランスがよく、うまく統合されている必要がある。京は、まさにそれを実現している」と述べている。

12) 報道陣への披露
翌21日、開発を進める理化学研究所は、神戸市中央区の計算科学研究機構の計算機室で「京」を報道陣に公開した。各紙の報道によると、現在、計算機の筐体数は記録達成時よりも72台増えた744台。来年6月に計画の864台が理研に引き渡され、同11月には企業や研究機関への共同利用を始める、とあったが、最終の台数864台はまだ秘密でセンシティブな情報なので、「800台以上」などとごまかしてきたはずだが、と心配になった。

同機構の平尾公彦機構長は「世界一の計算速度を具体的な成果に結びつけるのが重要。防災や環境問題、医療などの分野で活用したい」と話した。

13) 世界の反応
Wall Street Journal(電子版)は、「京」の計算速度世界一獲得を「日本にとって誇りの源泉になる」と報道、記事へのコメント欄には21日、読者から「地震に不屈なように、日本は偉業を成せることを示している」と応援の言葉も書き込まれた。

24 日のWashington Postには、LLNLの副所長のGoodwin氏と、ORNL副所長のZacharia氏が連名で「京」についての論説を寄稿している。「2010年11月には中国に、今度は日本にトップを取られた。アメリカはスーパーコンピュータ予算を大幅に増やすべきである。これからはエクサスケールの時代であり、中国も日本をやっている。インドも、韓国も、ドイツも、ロシアもオーストラリアもやっている。エクサは従来の技術の延長ではだめだ。エネルギー効率を10倍にし、故障を自分で修理するような機能がなければならない。こういう技術は、携帯電話にも、ラップトップにも波及する。わがエネルギー省は、NSFやDoDとともにExascale Initiativeでがんばっている。

産業界が不況から再起するためには、合衆国が科学研究でも製造業でもイノベーションを支援する投資を優先的に行うことが重要である。そうしなければ国際経済での指導権は取れない。中国も、日本も、他の国々も、同様な投資を行い、それぞれ将来の指導権を握ろうとがんばっている。アメリカも頑張らなくては。」こういう論調は地球シミュレータの時と似ていて、まさに”déjà vu”(デジャヴュ)。

一方、6月24日、中国の人民日報系列の環球時報は「中日米スーパーコンピュータ大戦開幕、米国も3位に甘んじるつもりはなし」と題した記事を掲載した。曰く、「米IBMはイリノイ大学に「京」を上回る性能を誇るスーパーコンピュータを建設中。中国も世界一の座を奪われたとはいえ、計算速度トップ500にランクインしている数は62台と米国に次ぐ2位。台数では日本を圧倒している。」

英国でもこのニュースは報じられた。英デイリーメール紙は、米国の(最高速)スパコンの5倍近く速い「京」の開発はテクノロジ分野で大きな飛躍を意味すると専門家は見ていると伝えている。ランキングTOP500を運営する米テネシー大学のジャック・ドンガラ教授は、「京は非常に印象的なマシン。ほかとは比べものにならないほどパワフルだ」と述べた。

英フィナンシャルタイムズ紙は、富士通が作ったスパコン「京」が計算速度世界ランキングで1位となり、日本のコンピュータファンは復帰を祝っていると伝えている。さらに同紙は、「京」は中国のスパコンを打ち負かし、7年ぶりに世界一パフルなコンピュータとなったが、世界一の座は長く続きそうもないと指摘。米国の研究者は「京」を上回るスパコンにすでに取り組んでおり、来年完成予定で競争は激しいとの見方を示している。(サーチナニュース、6月22日)

14) 富士通株主総会
富士通の定時株主総会が6月23日、横浜市の新横浜プリンスホテルで開かれた。理化学研究所と共同開発しているスーパーコンピュータ「京(けい)」が計算速度の世界ランキングで1位になったことについて、山本正已社長が「今後も技術力の向上に努める」と意気込みを述べた。

株主からは「スパコン世界1位は日本を明るくする慶事だ」、「富士通の技術が立証された」と称賛の声が挙がる一方で、「スパコンを世界に売っていくための努力が必要」や「世界1位になっても株価への影響がなかった」との注文も出された。山本社長は「日本としてスパコンをどう進化させるかということと同時に、富士通としてどう事業につなげるかが今後の大きなテーマになる」と述べた。(産経新聞)

いよいよ「京」は全系が設置される。約束の10 PFlopsは出るか? アメリカや中国からダークホースが飛び出すか? 関係者はヒヤヒヤであった。

 

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