世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


11月 25, 2013

日立:総合力で顧客のニーズに対応

HPCwire Japan

SC13の会場では日本のコンピュータの三大メーカーである、日本電気、富士通および日立製作所が大規模な展示を行っていた。
我々HPCwire Japan取材班は最後に日立製作所の展示ブースを訪れ、日立が行っている現在および将来のHPCへの取り組みについて取材を行った。

日立がHPC向けに出している製品ラインは主に2種類ある。従来からのPOWERベースのスパコンシリーズであるSR16000シリーズと、コモディティを使ったクラスタシステムであるHA8000-tcシリーズだ。

 

 

 

 

 

 

 

  • SR16000シリーズ
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SR16000シリーズの最新機種は今年8月に発表されたSR16000/XN1だ。SR16000/XN1には8コアのPOWER7+プロセッサが1ノードに最大4CPU搭載できる。従来のSR16000/M1のPOWER7からPOWER7+への改良点は、クロックが3.83GHzから4.1GHzに向上したこと及び三次キャッシュのサイズが32MBから80MBに増加していることだ。1ノードは最大4ソケット搭載可能であり、1ノード当りの最大コア数は32コアとなる。1ノード当りの理論最大性能は約1.05TFLOPSとなり、最大搭載メモリは1TBとSR16000/M1の256GBの4倍となっている。10Uのシャーシに最大7ノード搭載可能だ。1ラックでは最大48ノードという勘定になる。SR16000/M1と大きくことなるのは、冷却方式とインターコネクトだ。冷却方式は水冷から空冷へと変更されている。インターコネクトは、これまで日立独自のネットワークが使われていたが、新しいSR16000/XN1ではInfiniBandが採用され、32GB/sのFatTree構成で接続されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • HA8000-tcシリーズ
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HA-8000-tcはこの11月にIvyBridgeを搭載したモデルを発表しており、既に1システムが大学研究機関に導入されている。コモディティのPCクラスタとなると市場では競争が激しい訳だが、日立はそれに対してノードの奥行きを従来の半分にするなど高密度実装で差別化を図っている。また、ノード内部のCPUの配置を考慮することにより冷却効率を上げているとのことだ。ノードは2Uの構成で、2個のCPUと2個のGPUが搭載可能であり、GPUの代わりにCPUノードを搭載すれば1ラックに最大84ノード搭載できる。ノード間通信インターコネクトはInfiniBandで接続されている。水冷ドアもオプションで用意されている。オプションとして日立独自のFORTRANコンパイラが用意されている。このFORTRANコンパイラは日立がスパコンで培った並列化技術が使われており、これまでの日立のスパコンユーザがPCクラスタを利用する場合の移行性を良くしている。

戦略的には実効性能重視の顧客にはSR16000を提案して行くが、オープンテクノロジーのPCクラスタを希望する顧客にはHA8000-tcシリーズを提案していきたいとのことだ。そういう意味でHA8000-tcシリーズも強化しているとのことだった。

日立の最大の特徴はこれらスパコン2機種に加え、コンパイラテクノロジー、独自のファイルシステム(HSFS)および日立が十八番のストレージがあり、トータル・ソリューションとして全体的にシステムを提案できることにある。特に先週11月13日に発表されたFLASHベースのストレージシステムは記憶に新しい。

POWERシリーズCPUを使ったスパコンシステムはIBMと日立のみが販売しており、今後は日立が如何に総合力を活かして市場を拡大していくかが問題だ。