世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


5月 20, 2016

CAEシリーズ:第14回 CAE技術の習得

岩田進吉(有限会社イワタシステムサポート代表取締役/中部CAE懇話会幹事)

今回は「CAE技術の習得」という内容でCAEに関する勉強会や書籍を紹介させて頂きます。またCAEに関する情報の入手や技術習得のためのネットワーク等についても紹介ができればと考えております。書籍に関しては多くの書籍が出ておりますが、入門的な書籍を中心に私が持っている本をいくつか紹介させて頂きます。

CAEに関連する勉強会

1.CAE懇話会主催の勉強会

まずは中立的な勉強会としては、私も幹事として属しているNPO法人であるCAE懇話会があります。CAE懇話会は15年ほど前に関西の方を中心に設立され、今は

関西CAE懇話会
中部CAE懇話会
関東CAE懇話会
東北CAE懇話会
北陸CAE懇話会

の各地区のCAE懇話会があり、それぞれ活発に活動しております。その活動は私が所属している中部CAE懇話会で説明をさせて頂くと、年2回のCAE懇話会があり、これは主にCAEに関する構造、流体、振動、制御といった各テーマをもとに講演会を行っております。

この講演会はテーマに沿った一流の講師陣に中部に来ていただき講演をして頂くので、非常に良い勉強会になります。
次にCAEに関する勉強会に関してご説明すると、中部CAE懇話会での解析塾があります。この解析塾は2016年度の中部地区開催の勉強会としては

<<< 5月開講の解析塾 >>>
【流体伝熱基礎講座】 2016年5月21日スタート
http://www.cae21.org/kaisekijuku2016/chuubu/chubu_16_ryutai-01.html
【振動基礎講座】 2016年5月21日スタート
http://www.cae21.org/kaisekijuku2016/chuubu/chuubu_Dynamics_Lecture_2016_RevA-1.html

<<< 6月開講の解析塾 >>>
【非線形構造解析】 2016年6月11日スタート
http://www.cae21.org/kaisekijuku2016/chuubu/chuubu_16_nl.html
【CAEの為の応用数学講座】 2016年6月11日スタート
http://www.cae21.org/kaisekijuku2016/chuubu/chuubu_16_math.html
【樹脂流動基礎講座】 2016年6月11日スタート
http://www.cae21.org/kaisekijuku2016/chuubu/chuubu_16_jushi.html
【CAEのための材料力学入門】 2016年6月18日スタート
http://www.cae21.org/kaisekijuku2015/chuubu/chubu_15_zairiki.html

<<< 10月以降開講の解析塾 >>>
【音響基礎講座】 2016年10月1日スタート
http://www.cae21.org/kaisekijuku2016/chuubu/chuubu_Dynamics_Lecture_2016_RevA-2.html
【乱流数値解析講座】 2016年11月19日スタート
http://www.cae21.org/kaisekijuku2016/chuubu/chubu_16_ryutai-02.html

上記コースは大学の先生、CAE業務を経験された企業のOBの方等が真摯に講義をしてくれます。大学の先生に聞くと、大学の学生に比べて社会人の方は真剣で一生懸命勉強してくれるので、教える事に充実感があるとのことです。

上記の中で【流体伝熱基礎講座】は10年以上続いており、毎年10名以上の受講生がいるので卒業生は150名ほどになるかと思います。また【振動基礎講座】は今年が6年目で、昨年は5年目でしたので、サポートの方が同窓会を企画し、多くの卒業生が参加し、勉強だけでなく人的なネットワークを広げる有意義な交流もできました。

同様な勉強会は関西、関東、東北、北陸でも開催されております。CAE懇話会の設立趣旨等についてはホームページ http://www.cae21.org/about/setsuritu.shtml をご覧ください。

2.非線形CAE勉強会主催の勉強会
非線形CAE勉強会はCAE懇話会と同様にNPO法人で設立趣旨としてはホームページに

「非線形CAE協会(JANCAE:Japan Association for Nonlinear CAE)は、世の中の新しいCAEの要求にこたえることを目的として、一般的な設計・製造技術に要求される非線形CAEを組織的に学び、産業界が真に欲する新しいCAEを推し進めるための基盤作りをする機関である」

と書かれており、非線形CAEを中心に据えている組織ですので、大学の先生が多く、勉強会の内容も非線形CAEの内容が豊富ですので、実務者から考えると少々難しい内容になります。勉強会は春に東京地区、秋に中部地区で開催されております。

近々の勉強会としては以下の日程で東京地区で開催中です。

<基礎勉強会>

2016年5月11日(水)10:00~17:00

<勉強会本会>

第1日目: 2016年5月14日(土)10:00~17:00+懇親会
第2日目: 2016年5月15日(日)10:00~16:30
第3日目: 2016年7月16日(土)10:00~16:50
第4日目: 2016年7月17日(日)10:00~16:40

 

 

 

 

3.CAEベンダー主催の勉強会

上記の1、2の勉強はNPO法人主催の勉強会ですので

CAEを幅広く広めよう、
あるいはスキルを身に付けて頂こう、

ということを考えて勉強会を開催しておりますが、CAEのソフトベンダーあるいはCAE技術のコンサルタント会社では独自にユーザ会、勉強会を開催しております。
内容はユーザ会が

販売しているソフトウェアのユーザ事例
ソフトウェアの新機能の紹介

が中心であり、勉強会は

ソフトウェアの操作説明、機能説明、背景理論の説明

が中心になっているようです。

4.雇用支援としての勉強会
スキルアップのために職業能力開発促進センターが主催しているCAEの勉強会があります。 内容的には求職あるいは在職者のスキルアップのためにCAEに関連する勉強会を開催しているようです。

ホームページで検索すると

http://www3.jeed.or.jp/kanagawa/poly/seminar/nouryoku/n21-6.html

では CAEを活用した構造解析技術(モデル化実践編) が開催されております。

http://www3.jeed.or.jp/gunma/poly/zaishoku/course/courseM26-1.html

では3次元CADに組込まれたCAEを利用しての教育のようです。しかし、CAEは雇用支援教育としては高度なのか、エントリレベルの教育のようです。

5.その他の勉強会
上記以外の勉強会の場としては公的機関である工業研究所での講演会や勉強会があります。私のいる中部地区ですと名古屋市工業研究所ではCAE担当者がいるので勉強会を開催しております。
名古屋市工業研究所のホームページは

http://www.nmiri.city.nagoya.jp/index.html

で勉強会や講演会は

http://www.nmiri.city.nagoya.jp/cgi/seminar/page.cgi

に掲載されます。

他にはOpenCAE学会があり、OpenCAEを中心に勉強会、情報交換会を開催しております。中部地区でも活発に活動をしており岐阜での勉強会は6月の勉強会が第47回の勉強会になるようです。気楽に参加可能な勉強会ですので興味がありましたらいかがでしょうか?
http://opencae.gifu-nct.ac.jp/pukiwiki/index.php?%C2%E8%A3%B4%A3%B7%B2%F3%CA%D9%B6%AF%B2%F1%A1%A7H280625
上記に案内のある勉強会は2016年6月25日(土) 13:00~ 岐阜駅のところにある 「 岐阜市生涯学習センター(ハートフルスクエアG)」です。

CAEに関連する書籍

私が持っている本は入門的な本が主体ですが、簡単に紹介させていただきます。大きな書店に行くと沢山の本が並んでおり、インターネットでは英文も含めて多くのCAE関連の本を見つけることができますので、未だ持っていなくて、興味がありました購入してみてください。

1.有限要素法の学び方

塾長秘伝シリーズの一冊目、CAE懇話会の塾生が中心になって、CAE懇話会の解析塾である基礎編の内容を本にまとめたものです。講義を受けるのが一番わかり易いですが、この本だけでも読みやすいので、この本を読んでから受講してもOK
http://pub.nikkan.co.jp/books/detail/00002219

2.非線形構造解析の学び方

塾長秘伝シリーズの二冊目、非線形構造解析の解析塾の先生が非線形CAEに関して、わかり易くまとめた書籍
http://pub.nikkan.co.jp/books/detail/00002405

3.有限要素法の作り方

塾長秘伝シリーズの三冊目、中部地区で開催された解析塾の「FEMプログラミング講座」のサポート役であるTA(Teaching Assistant)の方、三名が講座内容をベースに丁寧にわかり易くし、VBAのサンプルも豊富に入れてまとめ上げた本、有限要素法の基礎と有限要素法が実際にどのように解かれるのかを理解する上で非常に優れた本です。http://pub.nikkan.co.jp/books/detail/00002756

上記以外に塾長シリーズは

「有限要素法に必要な数学」 http://pub.nikkan.co.jp/books/detail/00002420
「ゴムの有限要素法の学び方!http://pub.nikkan.co.jp/books/detail/00002963

があります。

4.有限要素法

英文の 「A First Cource in Finite Elements」を日本語訳した本で、この本の特徴はABAQUS Student Edition DVD付であることです。 この付録のABAQUSは1,000ノードまでの計算しかできない制限がありますが、勉強には良いツールです。内容はわかり易く、かつ詳しく書かれております。また練習問題もあり、勉強するには良い本です。
https://pub.maruzen.co.jp/book_magazine/book_data/search/9784621079966.html

5.計算力学の常識

土木学会の計算力学部門の方が書かれた本で数式もありますが、知っておくべき常識としての説明が多いので読み物としては一度は読んだ方が良い本かと思います。
https://pub.maruzen.co.jp/book_magazine/book_data/search/9784621080221.html

6.「Salome-Meca」ではじめる構造解析シリーズ

岐阜大学の柴田先生が書かれた本でOpenCAEのSalome-Mecaを利用して構造解析をする具体的な例を書いている理論でなく、操作を中心とした実務的な本です。このシリーズでは柴田先生は

初めてのオープンCAE

最初の本で Adventureを使っての説明

Salome-Mecaではじめる構造解析
Salome-Meca構造解析―「弾塑性」、「接触解析」解析編
Salome-Meca構造解析―「固有値」、「熱伝導」解析編

等の本を書かれており、無料のCAEソフトを使って解析をされようとする方には非常に良い本かと思います。

7.振動工学 基礎編
中部CAE懇話会の解析塾「振動基礎」と「音響基礎」の講師をしている安田先生の書かれた本で、技術書としてはベストセラーの本です。応用編もあり、振動を勉強されたい方にはお薦めの本です。

上記以外にも日本語や英文の書籍を持っておりますが、殆どで読んでいないので省略させていただきます。まずは一冊ほど本を読んでみて、何がわからないか理解したら、その辺を理解されるためにCAE懇話会等の勉強会に参加されたらいかがでしょうか?

上記には勉強会と書籍の紹介をさせて頂きましたが、中部地区でも企業に属さない方でCAEに詳しい方が沢山おられますので、仕事上でサポートが必要な場合は、そのようなスキルのある方に相談をするのが、仕事を進める上では一番良い選択かと思います。

また、CAEに関して深い理解のある方とお話をすることも重要かと思います。一番良いのはビジネスとしてコンサルタントの方とお付き合いするのが一番良いかと思いますが、費用も掛かるので難しい場合は、CAE懇話会等の幹事になり、各行事のお手伝いをしながら、いろいろお話を聞くのも良い勉強になります。

次回は「CAEに関連する団体」という内容で、私の知っている非営利の活動法人を主体に紹介させて頂ければと考えております。

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