世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


10月 4, 2016

オンチップ・デバイスがコア間通信を高速化

HPCwire Japan

Tiffany Trader

ノースカロライナ州立大学とインテル社のチームが、頻繁にデータを共有するワークロードのパフォーマンススケーリングを妨げるオンチップ通信のボトルネックに対処するために力を合わせてきた。彼らの論文「CAF: コア・ツー・コア通信高速化フレームワーク」は奇抜なコア・ツー・コアの通信高速化フレームワーク(CAF)について書かれている。

このテクニックは、多くのHPCアプリケーションや、ソフトウェア・ベースのネットワークにおいて広く利用されているパイプライン型パケット処理のような通信依存型ワークロードに救いを提供することができるかもしれない。

このチームのアプローチはコア間の通信リクエストを担当するソフトウェア命令を用い、それをチップ上のネットワークに接続されているキュー管理デバイス(QMD)と呼ばれる小さな論理モジュールにハードコーディングするのだ。

通信高速化フレームワーク(CAF)は、従来のソフトウェア・キューによる実装と比較して性能で2倍以上を達成している。最も印象的なのは、スピードアップがコアの追加で改善されたことだ。16コアにおいてQMDは20倍高速であったとIEEEの記事で述べられている。このQMDはまた基本的な演算機能をオフロードすることに使うことができ、さらなる効率を提供している。この技術はMapReduceにメリットがあると示されている。

オフロード・デバイスが何ができるのか見てきたが、研究者達はさらにマルチコア演算を高速化する機会を見極めている。「この挑戦は、ハードウェアに実装することを正当化するに十分なほど頻繁に利用されるソフトウェアを把握することです。そこにスイートスポットがあるのです。」と電気・計算機工学の教授で論文の共著者であるYan Solihinは述べている。

この論文「CAF: コア・ツー・コア通信高速化フレームワーク」はイスラエルのハイファで開催された第25回Annual Conference on Parallel Architectures and Compilation Techniques (PACT 2016)で発表された。筆頭著者はノースカロライナ州立大学の元大学院生であったYipeng Wangである。共著者にはノースカロライナ州立大学のYan Solihin、インテル社のRen Wang、Andrew HerdrichおよびJames Tsaiが含まれる。

公式発表はこちらから