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8月 7, 2017

インテルSkylake: Xeonがチップからプラットフォームになる

HPCwire Japan

Doug Black

新”Skylake”Xeonスケーラブル・プロセッサの先日のニューヨークでの発表と同時に、インテルは複数の競合する脅威と戦略的市場におけるいくつかの策を実施した。Skylakeは、高度に要求されるネットワークワークロード、クラウドコンピューティング、リアルタイム分析、仮想化インフラストラクチャ、ハイパフォーマンス・コンピューティング、人工知能など、最新の高度なデータセンターにおけるリーダーシップのためのインテルのフラグシップである。

最も興味深いのは、Skylakeが一人の業界アナリストがポストCPU中心時代における「技術解体における開拓時代の西部」時代と呼ぶものに適応するための大きな一歩を踏み出すことだ。

「私が最も驚いたことはインテルがどれくらいプラットフォームの恩恵をもたらしたかです。」と業界ウォッチャーであるMoor Insights & StrategyのPatrick Moorheadが発表直後に語った。「CPUチップ自体以外にこんなにも多くの機能拡張を予測していませんでした。」

実際、SkylakeはXeonを「CPU、チップセット、内部・外部アクセラレータ、SSDフラッシュ、ソフトウェア・スタックから構成された」プラットフォームに変えたのだとMoorheadは語っている。

インテルXeonプロセッサE5およびE7製品ラインの後継であるSkylakeは最大28個のハイパフォーマンス・コアを搭載し、インテルによれば大幅な性能向上を持つプラットフォーム機能を提供する:

  • 人工知能:前世代より2.2倍のより高度なディープラーニング学習と推論を提供し、およびAIベースのサービスのソフトウェア最適化高速化と組み合わせた場合には、3年前の最適化していないサーバシステムと比べて113倍のディープラーニング性能を持っている。
  • ネットワーク:インテルのQuickAssistとディーププラットフォーム開発キットを使った場合には、全世代と比べてネットワークアプリケーションで2.5倍のIPSec転送レートを提供する。
  • 仮想化:4年前のシステムと比較して約4.2倍より多くの仮想マシンをより早くサービスを展開し、サービス使用率を向上し、より低いエネルギーコストとスペース効率で運用できる。
  • ハイパフォーマンス・コンピューティング:Intel AVX512(x86命令セット・アーキテクチャ用の256ビット拡張ベクトル拡張SIMD命令への512ビット拡張)によるクロック当たり最大2倍のFLOPを提供するだけでなく、統合されたIntel Omni-Path Architectureポートにより改善された計算機能、I/Oの柔軟性、およびメモリバンド幅を提供するとインテルは述べている。
  • ストレージ:Intel Opetane SSDとストレージ・パフォーマンス開発キットとの組み合わせ場合には、すぐに使えるNVMe SSDと比較して、最大70%のレイテンシを削減しながら、最大5倍のIOPSを処理することで、高度な分析にデータがアクセスできるようにしている。

全体的には、Skylakeは前世代のIntelプロセッサーと比較して最大1.65倍、現在のインストール・ベースと比較して最大5倍のOLTPウェアハウス・ワークロードを提供するとインテルは述べている。

同社はまた、データセンターとネットワークインフラストラクチャの導入を簡素化することを目的とした、インテルSelect Solutionを発表した。Canonical のUbuntu、MicrosoftのSQL 16、およびVMware のvSAN 6.6で当初ソリューションを提供する。インテルはこれをインテル・ビルダーズ・エコシステム共同体の拡張であると言っており、機械学習の推論のような特定のワークロードに対してインテルで検証された構成を提供し、その後「Select Solution」のサブブランドとしてOEMもしくはODMによるパッケージとして販売および市場化されるとしている。

インテルは、Amazon、AT&T、BBVA、Google、Microsoft、Montefiore、Technicolor、Telefonicaからのサポートを含み、数多くのエコシステムパートナー、480社以上のインテル・ビルダー、7,000以上のソフトウェアベンダーによってサポートされると述べている。

しかし、最も注目しているのは複数の処理アーキテクチャをインテルがサポートしていることだ。

Moorheadによると、Skylakeはいくつかの点で異種コンピューティングを可能にしているという。 「まず、インテルはアクセラレータを起動できないので、ホストプロセッサであるXeonを提供しています。 Xeonの内部では、AVX-512のようなアクセラレータを提供しています。インテルは、Xeon SoCの中にFPGAを追加しました。 PCHの内部にはQATアクセラレータが含まれています。インテルには、QATやFPGA用のPCIeアクセラレータカードも搭載されています。」

結局のところ、Moorheadによると、Skylakeの発表は、「新しいXeonを使って同じアプリケーションを実行し、同じマシンで推論をしたい」というデータセンターの管理者を対象としているという。同氏は、Amazonのこのアプローチに対する支持として「だからメリットがあるのです。」と引用した。