世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


7月 2, 2013

NVIDA エクサスケール・システムを英国研究者向けに構築

HPCwire Japan

Alex Woodie

NVIDIAがエクサスケール・クラスのスーパーコンピュータを英国の科学技術施設研究会議(STFC: Science and Technology Facilities Council)のために開発する、とSTFCが6月に発表した。数十万個のGPUを用いた政府資金援助の大規模システムはイギリスにおける、より一層の科学的研究及び並列プログラミングの中核的研究拠点の創設のために利用される事になるだろう。

20130702-S1-STFC2STFCのNVIDIAベースの新しいエクサスケール・システムは気象モデリング、応力解析、材料モデリング、分子モデリングや数値気象シミュレーションなどの研究に利用される予定である。

STFCの科学計算部門の部門長代理であるデイビッド コーニー氏は新聞発表で「この契約合意は、NVIDIAの最先端GPUアクセラレータ技術とSTFCの持つソフトウェ開発経験に基づくHPC専門知識を結合させるものだ。」と語った。さらに「このユニークな組み合わせにより、次世代の超並列アプリケーションの開発を可能にし、エクサスケール・レベルの性能あるいは今日イギリスで最もパワフルなコンピュータであるSTFCのBlue Jouleの千倍以上の性能レベルで利用されることになるだろう。」と語った。

この合意はNVIDIAのハードウェア技術とSTFCのHPCソフトウェア開発能力を結びつけることになるだろう。一秒あたり100京回の計算あるいはエクサフロップス性能をもつスーパーコンピュータを駆使するに必要なソフトウェアを提供する事になるだろうとSTFCは言っている。

この新しいエクサスケール・システムの設置スケジュールは明らかにされなかったが、現在の技術革新のスピードでは、ここ数年内にエクサフロップスの壁を破るのは難しいだろう。最近ドイツで開催されたISC2013でNVIDIAのチーフ・サイエンティストのビル ダリー氏が行った基調講演では、この十年以内にエクサスケール・システムを開発するには、チップデザインと並列プログラミングの双方で飛躍的進歩が必要だろうと語っている。

STFCは英国政府により素粒子物理学、原子核物理学さらに宇宙、レーザー、材料科学の分野に於ける研究支援や調整を行うために公的資金を受けている機関である。そのグループはイギリスやその国民が直面している現実社会の問題、例えば、新薬の開発、よりクリーンなエネルギー、より安全な航空機、といった課題に焦点を当てている。

イギリス政府はHPCプログラミングの拠点構築のために巨大な投資を行っている。2012年の3月にはイギリスのHPCプログラミング強化センターになる予定である評価の高いデアスベリー研究所に3億7500ポンドもの出資を行った。

「イギリスが最先端技術の研究と革新の地として選ばれるためにイギリス政府はHPCに投資を続けている。」と大学・科学担当のデイビッド ウィレット大臣は述べている。さらに「この提携が最先端の研究者とビジネスを結合させる事になるだろう。そして、それはデアスベリー研究所及びラザフォード・アペルトン研究所が国際的レベルの科学施設としてのその位置付けを確認することになるだろう。」と語った。