GPUはネットワーク監視を容易にする
Tiffany Trader

NVIDIAのTesla GPUやインテルXeon Phiコプロセッサのようなアクセラレータが今年のSC13では大きな話題になり、超並列コンピュータとしてTOP500やGreen500チャートの両方に大きな存在感を示した。しかし、フェルミ研究所の研究員Wenji Wuによれば、アクセラレータにはもうひとつ別に有望な利用形態、ネットワーク監視があるようだ。
これまでのネットワーク解析ツールは、ネットワーク帯域幅の急増に伴うトラフィックの増加に対応するのに四苦八苦してきた。さらにそれに加えて、ネットワーク管理者からはリアルタイムでパケットを調べるられるように要求が高まっている。
エネルギー省のフェルミ国立加速器研究所のネットワークの研究者であるWuは、CPUとASICによる現在の技術より、GPUのほうが多くの利点を提供するだろうと考えている。彼は先月のSC13で、NVIDIA GPUを利用した高速ネットワーク向けネットワークモニターに関する論文発表を行った。Wuと彼のチームによると、グラフィックスチップはこのタスクに良く適合している、とのことである。
Wuは、GPUが「素晴らしい並列実行のモデル」であると言っている。それらは高い計算能力、十分なメモリ帯域幅を提供し、簡単なプログラマムにより、並列タスクに処理を分担させることができる。
フェルミ研究所のチームは、Wuの指示の下、大規模な科学的コラボレーションをサポートするために、G-NetMonと呼ばれるGPUベースのネットワーク性能監視システムのプロトタイプを構築した。 G-NetMonシステムは、2つの8コア2.4 GHzのAMD Opteron6136プロセッサ、 2つのGbpsイーサネットインタフェース、32ギガバイトのシステムメモリおよびと1つのTesla C2070 Fermi GPUから構成されている。
「私たちのシステムは、フェルミ研究所と共同研究サイト間での大容量データ転送の高速分析を行うために、ネットワーク・フローデータに存在するデータ並列性を利用しています。」と、Wuは述べている。 「私たちの実験は、 G-NetMonが迅速に非最適バルクデータ転送を検出することができることを実証しています。 」
G-NetMonは、現在のネットワーク負荷を処理できるだけではなく、予想される将来のトラフィックにも対応できるように設計されている。実験では、GPUベースのプロトタイプはシングルコアCPUのシステムよりも9ー17倍の性能を示した。 6コアCPUのシステムと比較すると、 GPUベースのシステムは1.5ー3倍の性能であった。研究者達は次のステップとしてセキュリティ機能を追加することを考えている。