世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


1月 17, 2014

台湾、国立成功大学がスイッチレスのHPCクラスタを開発

HPCwire Japan

Tiffany Trader

台湾の台南市にある国立Cheng Kung University (NCKU)のスーパーコンピューティング研究センター(RSC)が、Acerと提携して史上初のスイッチレスHPCクラスタを構築した。大学の発表によると、「CK-Star」計算機として知られていたシステムが、スイッチ制御を用いることなく8計算ノードを接続し、従来のIntelの記録を超える性能を示した。

NCKU RSCの関係者は2013年11月18日に、GIGABYTE Technologyと共同開発した高密度ノードGS-R22PHLスーパーコンピュータと共に、新記録を達成したCK-Starフレキシブルトポロジー・スイッチレスクラスタを発表した。

「CK-Star」は8台のAcer Altos R380 F2サーバーに、Intel Xeon E5-2630 V2 プロセッサーとIntel Xeon Phi 7120P コプロセッサを付加して15テラフロップスを達成した。このユニークなクラスタ構成により、4ノードでは80.2%の効率が、8ノードでは77.3%の効率を達成することが可能となり、それぞれこれまでのIntelの記録である79.6%および76.1%を上回った。

NCKUのスタッフは、GIGABYTE TechnologyのGS-R22PHLのスーパーコンピューティングモジュールの開発も援助してきた。そのモジュールは2UラックにダブルスロットのGPU / MICカードを8枚搭載し、さらにIntel XeonE5-2600および2600 V2の製品ファミリのプロセッサ、1デュアル10G BASE-T、1デュアル10G SFP+ LANコントローラ、最大512ギガバイトのECCメモリおよび8×2.5インチのホットスワップ対応HDDベイから構成されている。GIGABYTE Technologyによれば、前例のない実装密度との事である。
NCKUによれば、4つのXeon Phiコプロセッサを搭載したGS- R22PHLは、3.7テラフロップスというシングルノードサーバとしては最高のコンピューティングパワーを実現することができ、それは標準のサーバ10台分に匹敵する。1つのPhiコプロセッサを使用すると、システムはこれまでの79.8%というIntelの記録を破って、 83.3%のコンピュータ・パフォーマンスを達成した。 2つのPhiコプロセッサを使用した場合は、パフォーマンスは約78.2%だった。

NCKU RSC所長のChi-Chuan Hwang博士は、従来のクラスタのスーパーコンピューティングではノード間相互作用を制御するためにスイッチが必要であったが、「CK-Star」はそのようなスイッチ無しで構築されたと、説明している。デイジーチェーン手法と知的ネットワーキングを採用した「CK-Star」の革新的なアプローチには多くの利点がある。まず、ノード数増加に伴うスイッチ起因の性能低下がない。さらに、消費電力の大きい胃スイッチがないので電力効率がよい。*

Hwang博士とともに、これらのシステムの両方の開発を支援してきた、中国本土済南市にある国立スーパーコンピューティングセンター( NSCCJN )の「泰山学者」のタイトルを持つYuefan Deng博士は、「CK-Star」のネットワークトポロジを固有のアプリケーション要件に合わせて調整することでもっと優れたパフォーマンスを実現できると説明している。

Hwang博士は、この開発されたソフトウェア・エコシステムにより民間から高密度コンピュータシステムに対する強い需要があるだろうと考えている。NCKU-GIGABYTEのチームは、ハードウェアの設計と開発を重視する一方、NCKUとAcerは、ソフトウェアの統合化とリソースの有効活用に焦点を当て、NCKU-GIGABYTEのチームは、ハードウェアの設計と開発を重視することになる。

*編集者注:この記事のオリジナルバージョンでは、スイッチが全消費電力の50パーセントを消費する可能性があることを、誤って述べた。公式のプレスリリースによる申し立てがあった。このことを指摘してくれた@HPC_Guruに感謝する。