世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


3月 17, 2015

第三回HPCアイデアコンテスト受賞者発表

HPCwire Japan

去る3月2日月曜日に第三回HPCアイデアコンテストが開催され受賞者が決定した。このコンテストは情報処理学会HPC研究会とHPCwire Japanの共催で開催され、HPC離れが進む若者にもっとHPCに興味を持ってもらうために2013年から行っている。今回で第三回目となり、コンテストは別府において開催された情報処理学会HPC研究会の初日に行われた。

今回のテーマは「俺のスパコン」で4チームが応募しアイデアを競った。今年の傾向としては真面目な技術的な話は少なく、個人的な意見や趣味が濃く反映された発表が多かった。そのためか終始会場に笑いが絶えなかったのが印象的だ。特に最優秀賞を受賞した工学院大学の黒田勝汰さんの発表のタイトルは「俺(ら)がスパコン!?」で、自らをスーパーコンピュータと見做しその性能を披露した。

発表の中で黒田さんは自分の演算性能が7桁×7桁の計算で約147分の1FLOPS、または16桁×16桁の計算では約912分の1FLOPSと計測している。またメモリ(自分の頭)への書き込み速度は毎秒1.5桁、読み込み速度は毎秒7桁としている。また演算器の特長として、演算精度が演算毎に自由に変更できるので、多倍長演算を使ったプログラムを容易に作成可能だそうだ。ノード間通信も可能だそうで通信速度は毎秒5.9桁だが、残念なことに通信中は計算ができないという欠点がある。最後に人間スパコンの理論最大性能は約48MFLOPSと低い性能であるが、電力を必要としないので世界一のグリーンスパコンであると締めくくった。

優秀賞を受賞した東京大学の本田弘和さんと村上太一さんのタイトルは「計算機夢想」と題し、現代のスパコンが如何にセコイかについて持論を展開した。例えばメモリにはDRAMでなくSRAMを使うべきだとか、電力なんか考えずにCPUの性能をあげるべきだなど、現在のスパコンはパソコンの延長に過ぎず、本来のスパコンはそうであるべきでない、と2名で掛け合い漫才のように説明を行い会場に爆笑の渦を巻き起こしていた。

審査員特別賞を受賞した「からぼ」の渥美清隆さんは全国高等専門学校プログラミングコンテストで行われている競技部門に自らが参加した際のシステムについて自らのスパコンとして説明を行った。このコンテストでは過酷な環境下でのシステムの性能を競う種目だそうだ。渥美さんはGPUを使って高速化を図ったがプログラム自体がうまく動作せずに敗退したそうだ。今後はノートパソコンのGPU、APUやFPGAを使って高速化を図りたいとのことだった。

以上、第三回HPCアイデアコンテストにおける受賞は以下の通りである。最優秀賞には賞金5万円と副賞としてJetson TK1が、優秀賞には賞金3万円、特別賞には賞金2万円がそれぞれ授与された。

来年も第四回が開催される予定だ。

第三回HPCアイデアコンテスト結果

kurodasyouta
最優秀賞
俺(ら)がスパコン!?
工学院大学情報学部

黒田勝汰氏(上の写真左)

murakami-honda
優秀賞
計算機夢想
東京大学理学部情報科学科

本多弘和氏/村上太一氏(上の写真右2人)

atsumi
特別賞
ポータブルスパコン製作顛末記
がらぼ

渥美清隆氏(上の写真右)