世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


5月 27, 2024

新HPCの歩み(第187回)-2002年(c)-

小柳 義夫 (高度情報科学技術研究機構)

筑波大学計算物理学研究センターでは、設立10周年を記念するシンポジウムが開かれた。牧野淳一郎らはGRAPE-6を完成した。情報処理学会は『知られざる計算機』という特集を組んだ。世界初の「遺伝子解析用DNAコンピュータ」を開発したとのニュースに驚いた。

日本の学界の動き

1) PCクラスタコンソーシアム
前年発足したPCクラスタコンソーシアムは2002年3月19日~20日に、「第一回PCクラスタシンポジウム PCクラスタが切り開くハイパフォーマンスコンピューティングの新しい世界」を開催した。プログラムは以下の通り。写真はワークショップ風景(コンソーシアムのページから)。

 
   

3月19日ワークショップ(会員のみ)東京国際交流館

10:25

開会挨拶

石川 裕(PCクラスタコンソーシアム会長、東大)

10:30

招待講演

Streamline Computing: Cluster Integration and Effective Software

Nick Birkett博士(Streamline Computing社)

11:30

招待講演

The OSCAR Solution Stack for Cluster Computing

Tim Mattson博士(Intel)

14:00

パネル討論 コンソーシアムの今後の活動について

開発部会、評価・調査部会、アプリケーション・技術支援部会、普及部会、各代表

16:00

SCore 5.0インストール講習会

石川 裕(開発部会委員長、東大)

 

3月20 日シンポジウム(一般公開)日本科学未来館

10:30

コンソーシアム活動紹介

石川 裕(PCクラスタコンソーシアム会長)

11:15

基調講演

PCクラスタが変える新しい流体力学応用 

-野球のピッチングとバッティングを例に -

姫野 龍太郎 博士(理化学研究所)

13:30

SCoreの紹介及び今後の開発

石川 裕(開発部会委員長)

14:30

企業からの発表

 

16:00

招待講演

Intel Enterprise Processor Technology

平野 浩介 氏(インテル株式会社)

16:30

招待講演

インテル・アーキテクチャの性能最適化

池井 満 氏(インテル株式会社)

 

懇親会

 

 

午前中の基調講演において姫野龍太郎(理化学研究所)は、PCクラスタを用いた、野球の変化球のボールの現実的なシミュレーションについて講演した。午後には、PCクラスタコンソーシアム会長の石川裕氏(東京大学)により、「SCoreの紹介及び今後の開発」と題した講演が行われた。

また、2002年10月30日には、第一回Scoreセミナーを開催した。

 
   

2) グリッド協議会発足
グリッド協議会(コンソーシアム)が、2002年6月17日に設立総会および記念講演会を東京ダイヤモンドホテルで開催した。会長は関口智嗣(産総研)、副会長は中田登志之(日本電気)と姫野龍太郎(理研)(写真)。基調講演は、三浦謙一(富士通)「日本におけるグリッド関連技術の展望」とJeffrey Nick(IBM)「Open Grid Services Architecture: Framework for commercial grids」であった。参加者は203名。なおグリッド協議会は2015年3月25日に解散する。

3) つくばWAN
つくばWANは、2002年3月に筑波の10機関が結ばれた。運営は国際科学振興財団。3月22日に、前年のつくばWAN国際シンポジウムに続いて、エポカルつくばで「第2回つくばWANシンポジウム」が開かれた。招待講演は岩崎洋一。また、筑波大は産総研と共同で、GRAPE-6を使った専用・汎用スーパーコンピュータの遠閣協調運用デモを行った。

4) 筑波大学計算物理学研究センター
筑波大学計算物理学研究センターでは、設立10周年を記念するシンポジウム「計算科学の展望」が、2002年2月21日~22日、筑波大学国際会議室で開催された。プログラムは以下の通り。

2月21日

13:30

計算物理学研究センターと計算科学

宇川彰(筑波大学)

13:50

CP-PACSとこれからの大規模科学技術計算システムの展望

朴泰祐(筑波大学)

14:30

CP-PACSによるQCD基礎パラメータの決定

吉江友照(筑波大学)

15:10

休憩

15:30

水素-境界領域の物質科学

常行真司(東京大学)

16:15

輻射流体力学による宇宙物理の展開

梅村雅之(筑波大学)

16:55

10年後のHPC

小柳義夫(東京大学)

18:00

懇親会

 

2月22日

9:00

地球シミュレータ開発の現状

横川三津夫(地球シミュレータ研究開発センター、日本原子力研究所)

9:45

格子QCDと素粒子・原子核物理学

中村純(広島大学)

10:30

休憩

10:50

電子相関の物理

今田正俊(東京大学)

11:35

グリッドとクラウドの最新動向

松岡聡(東京工業大学)

12:20

昼食

13:30

格子理論による素粒子標準模型の検証に向けて

青木慎也(筑波大学)

14:15

密度汎関数法計算 解明と予測

押山淳(筑波大学)

15:00

休憩

15:30

計算宇宙物理学の将来像

観山正見(国立天文台)

16:15

蛋白質の電子状態計算:現状と課題

北浦和夫(産業技術総合研究所)

17:00

閉会の辞

岩崎洋一(筑波大学)

 

横川三津夫は、地球シミュレータの性能発表前であったが、Top500に「当分抜かれないような記録で1位を目指す」と抱負を語った。松岡聡はグリッドの概念に関して一通り説明したあと、実現に際しての技術的なポイントとして、「セキュリティの確保」「資源の名前の管理」「異なるOS、ハードウェアなどへの対処」を挙げ、なおかつ高性能であることが重要だとの見解を示した。

5) GRAPE-6
牧野淳一郎らは、学術振興会未来開拓「計算科学」の活動の一環として、GRAPE-6を2002年完成させた。チップ当たり31 GFlops、システム全体では64 TFlopsの理論性能を持つ。2000年2月にプロセッサボードができ、同年11月にはGordon Bell賞を受賞した。2001年7月32個のプロセッサを搭載したボードが完成し、1024チップを搭載したシステムを動かし、2001年のGordon Bell賞を受賞した。2002年3月には48プロセッサボードで1536チップシステムを、5月には64プロセッサボードで2048チップシステムを稼働させ、実効計算性能 29.5 TFLOPS を達成してGordon Bell賞ファイナリストに選出されたが受賞は逃した。2003年には 33.4 TFLOPS で三たびGordon Bell賞を受賞する。

6) 東京工業大学(Presto III)
東京工業大学松岡聡研究室は、ベストシステムズ社との共同研究として、AMD社、Tyan社、 住商、Appro社などの協力を得て、2002年6月にPresto IIIを完成させた。512個のDual Athlon MP 1900+を搭載し、相互結合網はMyrinetで、Rpeak=1.6 TFlops, Rmax=716 GFlopsで、6月のTop500では47位、11月には(チューニングでRmax=760.2 GFlopsに上げ)68位であった。日本国内のx86クラスタでは最高で、世界的に見てもAMD社のクラスタとしては、Heidelberg大学のHELICS(Rmax=1.433 TFlops、35位)に次いで2位であった。また、自作のクラスタとして世界3位であった。

7) DNAコンピューティング
1996年から始まった未来開拓事業「分子コンピュータの理論と構築」(代表、萩谷昌己)の陶山明のグループは、DNA分子の計算反応操作を自動化するDNAコンピュータを開発し、6変数10節の3-SAT問題を解くことに成功し、このDNAコンピュータを基にDNA符号を用いた汎用のDNAチップを開発した。2002年1月28日、オリンパス光学は、陶山らとの共同研究に基づき、世界初の「遺伝子解析用DNAコンピュータ」を開発したと発表した。汎用計算機ではないが、DNAコンピュータがもう実用化したかとこのニュースに驚いた。(HPCwire 2002/2/1) このころ、USC (University of Southern California)もDNAによるSAT問題の解法を報告している(HPCwire 2002/3/22)。

8) 量子暗号通信
2002年11月14日、三菱電機は、光子を用いた量子暗号により、87 kmという長距離での通信に成功したと発表した。1550 nmの長波長帯の光を用いた。通信速度は7.2 bps程度である。

2002年12月20日、JST(科学技術振興事業団)とNTTは、量子ドットによる単一光子光源を用いた量子暗号の伝送実験に成功したと発表した。12月19日付けのNature誌に発表された。

9) 高エネルギー加速器研究機構(大型シミュレーション)評価)
KEK(高エネルギー物理学研究所/高エネルギー加速器研究機構)は、1996 年 4 月、日本での高エネルギー物理学およびその関連分野の大規模シミュレーションをサポートするために、公募型研究制度「大型シミュレーション研究」を開始したが、そらの成果を評価し、問題点があるならばそれをあげ、ひいてはこの制度の将来の方向性について知見を得るために、KEK 機構長はこの委員会に、1996 年 4 月から 2002 年 3 月までに実施された「大型シミュレーション研究」に関する評価を依頼した。委員は以下の通り。

Paul B. Mackenzie

米国、フェルミ国立加速器研究所(Fermilab)

益川 敏英

京都大学基礎物理学研究所

Denis Perret-Gallix

フランス国立科学研究センター (CNRS)

三田 一郎 (委員長)

名古屋大学

高田 俊和

日本電気 基礎研究所

宇川 彰

筑波大学計算物理学研究センター

矢崎 紘一

東京女子大学

 

2002年12月12日~13日にKEK計算科学センターにおいて外部評価委員会を開催した。1996 年からこれまでに、のべ 77 の研究プロジェクトの申請が採択され、多くの研究成果がそれぞれの研究グループから発表されている。これらについて評価を行うとともに、素粒子原子核物理における計算機関係の研究活動のグローバルなネットワークの中で、計算科学センターが主要な核として役割を果たすよう勧告した。

10) 情報処理学会(特集『知られざる計算機』)
情報処理学会は、2002年2月号(Vol.43 No.2)の会誌『情報処理』で特集:知られざる計算機を掲載した。和田英一の「特集『知られざる計算機』の編集にあたって」に続いて、下記のコンピュータを取り上げている。

日立のHITAC 2010

高橋 茂・浦城恒雄

VLIWコンピュータのパイオニア QA-1

富田眞治

神戸大LISPマシン,PROLOGマシン

金田悠紀夫・瀧 和男・和田耕一 ・田村直之

筑波大 PACS

星野 力

通研 ELIS

日比野靖

EVLISマシン

安井 裕

数式処理計算機 FLATS

相馬 嵩

FACOMα

林  弘

SIGMA-1:データフロースーパーコンピュータ

平木 敬

並列推論マシン PIE

田中英彦

電総研 EM-4

坂井修一

SIMD型並列計算機 SM-1

湯浅太一

 

11) 放送大学「複雑システム科学」
放送大学に移られた杉本大一郎先生の依頼により、同大学大学院の講義「複雑システム科学」のうち2駒を担当することになり、「計算機による自然の模倣」と題してシミュレーションの一般原理みたいなことを話した。同じものであるが、前期と後期はもちろん、夏の集中講義にも流れ、4年間続いたので、いろんな人から「見た」と言われた。チャンネルを回しているうちにちらっと見つかるらしい。

12) 円周率
2002年12月6日、日立製作所は、金田康正(東大)らのグループが、東大のSR8000/MPPの64ノードで円周率を1兆2411億桁まで計算し、1999年9月に金田らが出した2061億桁の記録を塗り替えたと発表した。(日立ニュースリリース)(HPCwiwre 2002/12/13) 多倍長アルゴリズムは初めて分割有理数化法を用いた。これは後保範、金田康正、高橋大介が開発した手法で、Taylor展開の隣接する項を通分しながら有理数のままカスケード式に加算する方法である。EP型並列性が高く、有理数では精度ロスがないので後で高次項を追加して桁数を増やすことも可能である。主計算には高野喜久雄の公式(1982年)を、検証計算にはシュテルマーの公式(1896年)を用いた。余談であるが、高野喜久雄は詩人としても知られ、カトリック典礼聖歌集に彼の作詞、高田三郎作曲による聖歌が何曲か収録されている。長男高野明彦は日立製作所中央研究所を経て2021年まで国立情報学研究所教授。

13) 科学と宗教の対話
HPCとはあまり関係がないが、2002年にも科学と宗教の関係でいろいろな活動に参加した。8月19日~23日にはスペインのGranadaで国際学会ISSR (International Society of Science and Religion)の創立大会があり、旅費付きで招かれたので家内と出席した。会場はアルハンブラ宮殿に隣接するAlhambra Palace Hotelで、会議の一部としてイスラム教徒の科学者の案内によりアルハンブラ宮殿を見学し、Cordobaのメスキータにも足を伸ばした。会議の前後、家内とマドリッドやバルセロナでも少し観光した。

2000年から参加してきたSSQ II (Science and Spiritual Quest II)の活動の一環として、東京で公開シンポジウム「科学とこころ-科学、価値観、知識の限界」を行うことになり、組織委員会の一員として働いた。組織委員長は山本祐靖東京大学名誉教授。10月18日~19日に学習院大学の創立百周年記念会館で、同時通訳付きで開催した。キリスト教の立場から科学技術を論じる人はいくらでもいるが、仏教や神道の立場から「科学と宗教」について語れる論者を探すのに苦労した。

すでに1998年からバチカンの教皇庁文化評議会の顧問を務めていることは述べたが、2002年3月14日~16日に総会が「文化の核心に信仰を伝えるために、新しい千年紀を迎えて」と題してバチカンで開かれ参加した(任期中第2回目)。総会は、委員には旅費が出るが、われわれ顧問は自腹である。また、10月14日~17日にはアジア地区の会議が長崎純心大学で行われ、企画運営に協力した。分科会では座長も務めた。

国内会議

1) HPCS 2002(つくば)
2002年 ハイパフォーマンスコンピューティングと計算科学シンポジウム (HPCS 2002)が、2002年1月22日~23日につくば国際会議場(エポカルつくば)で開催された。これはHPC研究会発足10周年を記念して今回始められたもので、計算機システム側の研究者と、計算科学をはじめとする高性能計算機をユーザである研究者の間での研究発表・情報交換の場として企画されたものである。その後2017年まで毎年開催されている。1997年にはHPCS’97が阿蘇で開かれたが、これはチュートリアルと招待講演だけの単発の企画であった。

このシンポジウムは、将来の産業・科学技術の発展に重要なハイパフォーマンスコンピューティング技術について、単なる計算機側とユーザ側という立場にとどまらず、双方向の議論・フィードバックにより、先進的な計算機システム・応用を生み出し、時代に即した新しい価値を持つ技術を育てることを狙いとした。投稿された論文の中から採択された19件の研究発表の他、次の2件の招待講演があった。

“Tera-scale Grid Project”

Philip Papadopoulos (SDSC)

“A multidisciplinary approach to computational chemistry”

Robert J. Harrison (PNNL)

 

2) HOKKE 2002(洞爺湖)
第9回となるHOKKE 2002(「ハイパフォーマンスコンピューティ>ングとアーキテクチャの評価」に関する北海道ワークショップ)は、情報処理学会HPC研究会および計算機アーキテクチャ研究会の合同で、2002年3月7日~8日、有珠山噴火(2000年3月31日)の跡も生々しい洞爺湖文化センターで開催された。観光客も少なく、中学校など町の一部は未だ泥流に覆われていた。

3) 第1回PCクラスタシンポジウム(日本科学未来館)
前年発足したPCクラスタコンソーシアムは2002年3月19日~20日に、「第一回PCクラスタシンポジウム PCクラスタが切り開くハイパフォーマンスコンピューティングの新しい世界」を日本科学未来館において開催した(既述)。

19日には、“Streamline Computing: Cluster Integration and Effective Software”(Nick Birkett, Streamline Computing Ltd)、“The OSCAR Solution Stack for Cluster Computing”(Tim Mattson, Intel)、「SCore クラスタ構築法 Score 5.0版用」(開発部会、アプリケーション技術支援部会)などの講演があった。

20日午前中には、PCクラスタコンソーシアム会長の石川裕(東京大学)から、「コンソーシアム紹介」に続き、理化学研究所の姫野龍太郎による基調講演では、「PCクラスタが変える流体力学 -野球のピッチングとバッティングを例に-」と題して、同研究所で実際にPCクラスタを用いて行われた解析例を紹介した。午後には、石川裕(東京大学)により、「SCoreの紹介及び今後の開発」と題した講演、Intel社のKosuke Hiranoによる“Intel Enterprise Processors Technology”、Intel Japanの池井満による「インテル・」アーキテクチャの性能最適化」などの講演が行われた。企業展示も行われた。

4) JSPP2002(つくば市)
第14回目となるJSPP2002 (Joint Symposium on Parallel Processing)は、2002年5月29日~31日つくば市のエポカルつくばで開催された。主催は、情報処理学会からは、計算機アーキテクチャ研究会、システムソフトウェアとオペレーティング・システム研究会 、アルゴリズム研究会 、プログラミング研究会、ハイパフォーマンスコンピューティング研究会 、電子情報通信学会からは、コンピュータシステム研究専門委員会、データ工学研究専門委員会 、フォールトトレラントシステム研究専門委員会である。以下の企画があった。

基調講演

“The Entropia Distributed Computing System: Architecture, Applications, and Performance”  Andrew Chien (Entropia Inc., UCSD)

チュートリアル

「WWWサーチエンジンの最新技術動向 ~並列・分散処理の立場から見る~」山名 早人(早稲田大)

チュートリアル

「Globus Toolkit」田中 良夫(産総研)

チュートリアル

「高速ネットワークとシステムソフトウェア」住元 真司(富士通研), 工藤知宏(産総研)

特別セッション

「地球シミュレータ完成を迎えて」横川 三津夫(原研)

 

横川三津夫が、「大気循環モデルについて26.6 TFlopsを達成し、実効性能5 TFlopsという目標を大幅に上回った」と報告したところ、「では、地球シミュレータは5倍大きく作りすぎたんですか?」という質問が出て、講師も聴衆も鼻白んだ。計算科学の何たるかを知らない質問であった。チューニングで実効性能が上がれば、さらなる発見がある。なお、大気循環モデルの実効性能の目標値5 TFlopsについては、「新HPCの歩み(第143回)-1997年(a)-」に書かれている。

懇親会は国道408沿いの「つくば山水亭」(つくば市小野崎)で開催された。

5) LinuxWorld Expo/Tokyo 2002
2002年5月29日~31日に東京ビッグサイトにおいてLinuxWorld Expo/Tokyo 2002が開催された。初日の基調講演には田中康夫長野県知事が「e-Japan時代に於ける、長野県の戦略」と題して講演した。本家アメリカのLinuxworldと同様、展示は業務向けの大規模サーバシステムがほとんどで、コンシューマ向けの製品はあまりなかった。(PC Watch 2002/5/30) (ITmedia 2002/5/29) (ASCII.jp 2002/5/30)

6) 数値解析シンポジウム(南伊豆)
第31回数値解析シンポジウムは2002年6月12日~14日、休暇村南伊豆において開催された。参加者は103名。担当は図書館情報大学(要確認)。12日の明け方に台風4号が関東に接近して肝を冷やした。

7) NEC・HPC研究会
NEC・HPC研究会は、2002年7月3日に第15回研究会を、2002年12月17日に第16回研究会を開催したようであるが、手元に資料はない。

8) IBM HPC Form 2002(箱崎)
2002年のIBM HPC Forumはライフサイエンスに重点を置き、2002年7月17日日本IBM箱崎事業所で開催された。

10:00

オープニング

日本アイ・ビー・エム(株)

10:10

HPC基調講演: コンピュータはどうして速くなったか

小柳 義夫 東京大学

11:00

IBMにおけるDeep Computing最新情報

David Klepacki,Sr. Research Scientist,IBM T.J.ワトソン研究所

12:30

昼休み

分科会1

13:30

ライフサイエンスにおけるHPC

Chuck Morreale, サーバー・グループ、米国IBM

15:00

LinuxクラスターとCAE

Greg Clifford, Auto/Aero Sales Executive, 米国IBM

分科会2

13:30

アクセルリス社における創薬アプリケーション開発

Peter Gund, PhD, Sr. Director, Accelrys Inc.

15:00

ライフサイエンスにおけるナレッジマネジメント

堤 泰治郎、ASC、日本IBM

16:30

休憩

16:45

計算プロテオミクスにおけるHPCへの要求

 

松尾 洋 理化学研究所 ゲノム科学総合研究センター

17:45

終了

 

18:00

懇親会 (25F 特別食堂)

 

このあと、7月19日~21日にIBM天城ホームステットにおいて、天城フォーラムがあった。

 
   

9) SWoPP 2002(湯布院)
SWoPP湯布院2002(2002年並列/分散/協調処理に関する『湯布院』サマー・ワークショップ)は、2002年8月21日(水)~23日(金)に、湯布院ハイツを会場として開催された。主催は、情報処理学会の計算機アーキテクチャ研究会、システムソフトウェアとオペレーティングシステム研究会、ハイパフォーマンスコンピューティング研究会、プログラミング研究会、システム評価研究会で、これらの5研究会が並列/分散/協調処理を横断的なキーワードとして,研究会を同時・連続開催するとともに、電子情報通信学会 コンピュータシステム研究会,ディペンダブルコンピューティング研究会を同一会場にて連続・同時開催するものである。アーキテクチャ研究会HPC研究会のプログラムはwebに残っている。全体のプログラムはGithubにある。写真は同志社大学のページから懇親会風景。

10) HAS研
HAS研(Hitachiアカデミックシステム研究会)は、2002年9月5日、東京国際フォーラムにおいて「e時代の新たなる高等教育基盤」のテーマの下、第7回情報教育分科会を開催した。プログラムは以下の通り。

11:00 「uPortalによる名古屋大学ポータルの構築 ~WebCT・学務情報システム・電子図書館の統合化による  ワンストップサービスサイトの構築~」 梶田 将司(名古屋大学)
13:00 「国際標準規格を用いたeラーニングへの取り組み」 伊藤 健二(先進学習基盤協議会(ALIC)事務局長)
14:10 「オンデマンド型遠隔授業の実現と評価」 宮川 裕之(文教大学)
15:40 「ディジタル・ユニバーシティーへの挑戦 -Oh-o! Meiji クラス・ウェブとポータル・ページ-」 安蔵 伸治(明治大学)
17:00 懇親会

 

HAS研は2002年12月5日、日立公共システムエンジニアリング(東陽町)において、「ユビキタス・ネットワークの時代~可能性は遍在する~」をテーマに、第12回ネットワーク分科会を開催した。プルグラムは以下の通り。

11:00

「自動車から始まる次世代インターネットの世界—- InternetITSとIPv6」

砂原 秀樹(奈良先端大)

13:00

「電子政府・電子自治体の推進とプライバシー・個人情報保護について」

大山 永昭(東京工業大)

14:10

「インターネットにおけるモビリティ技術」

石山 政浩(東芝)

15:40

「ユビキタス情報社会建設に向けて」

立花 和弘(日立)

17:00

懇親会

 

11) 理研シンポジウム(和光市)
理化学研究所は「2002年理研シンポジウム– GRID Computing and beyond –」を、2002年10月24日に理化学研究所鈴木梅太郎ホールで開催した。午前中の部分はグリッド協議会と共催とした。プログラムは以下の通り。

10:00

Opening

姫野龍太郎室長

10:15

特別講演:“GRID Computing: Current Status and Future Developments for Science”

Rick Stevens (ANL/U. Chicago)

11:25

特別講演:“The UNICORE Grid System – Status and Future”

Hans-Christian Hoppe (Pallas)

12:15

Lunch

13:00

4D Visualization system 見学(希望者のみ)

13:45

「OBIGrid:バイオインフォマティクスにおけるグリッド・コンピューティング」

小長谷 明彦(理化学研究所 横浜研究所 ゲノム科学総合研究センター)

14:35

「天文Grid ~データベース天文学に向けて~」

水本好彦(国立天文台 天文学データ解析計算センター)

15:25

「ITBLと今後」

姫野 龍太郎(理化学研究所・情報環境室)

16:15

Coffee Break

16:30

表彰式

昨年度VPPのTOPユーザー

姫野BMTコンテスト

17:00

Closing

姫野龍太郎室長

17:30

懇親会

 

12) IC2002(東京大学)
第7回目となるIC2002(インターネットコンファレンス2002)は、財団法人インターネット協会 (IA JAPAN)、日本学術振興会産業協力研究委員会インターネット技術研究委員会 (ITRC)、日本ソフトウェア科学会インターネットテクノロジー研究会 (JSSST)、日本UNIXユーザ会 (jus)、WIDEプロジェクト (WIDE)の主催により、2002年10月31日~11月1日に東京大学弥生講堂で開催された。プログラム委員長は砂原秀樹 (奈良先端科学技術大学院大学)と江崎浩 (東京大学)、実行委員長は七丈直弘(東京大学)であった。2件の招待講演が行われた。

「最新グリッド事情 -グリッドでできること-」

関口智嗣(産総研)

「Webサービスの現状と将来」

萩原正義(マイクロソフト)

 

13) SS研究会(神戸オリエンタルホテル)
SS研究会(Scientific System研究会)は、8回目となるHPCミーティング2002を、合同分科会(10月30日~31日)に続く2002年11月1日に、新神戸オリエンタルホテル(現ANAクラウンプラザホテル)において、「Gridへ向けてのHPCアプリケーション」のテーマで開催した。参加者160名。

開催趣旨

蕪木英雄 (日本原子力研究所)

富士通役員挨拶

「HPCシステムへの取り組み」

富士通(株) 執行役 青木隆

海外招待講演

「Enabling Grid Applications」

Ed Seidel, Albert-Einstein-Institut, Germany

「グリッド技術の夢と現実」

産業技術総合研究所 関口智嗣

「天文グリッド ~データベース天文学に向けて~」

国立天文台 水本好彦

「ナノGridの現状と将来」

九州大学情報基盤センター 青柳睦

「バイオグリッドプロジェクト」

大阪大学サイバーメディアセンター 下條真司

富士通報告

「Production Grid Computing」

David Snelling, Fujitsu Laboratories of Europe

まとめ

蕪木英雄 (日本原子力研究所)

 

14) 京都大学数理解析研究所
京都大学数理解析研究所では1969年から毎年数値解析関係の研究集会を行っている。2002年は、11月20日~22日に「微分方程式の数値解法と線形計算」のテーマで開かれた。34回目である。代表者は速水謙(国立情報学研)。講演内容は数理解析研究所講究録No. 1320に収録されている。

15) APANワークショップ(サンケイプラザ)
11月27日、大手町サンケイプラザにおいてAPANワークショップが開催された。

16) NEDOワークショップ(都市センタホール)
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、2002年11月28日、都市センターホールにおいて、「情報マネージメント技術の戦略的活用」に関するワークショップを「 ~情報の検索・自動編集・翻訳技術はここまで来ている~」と題して開催した。

9:40-9:50

主催者挨拶 来賓のご挨拶

 

9:50-10:00

本ワークショップの開催主旨について

産総研 橋田浩一

― 情報マネージメントにおける先行事例 ―

10:00-10:30

特許分野における検索・翻訳について

(財)日本特許情報機構 寺本義憲

10:30-11:00

米国の法律分野における情報マネージメント技術活用事例

モリソン・フォースター外国法律事務弁護事務所  一色太郎

11:00-11:30

医療分野における情報マネージメント技術の動向~「日本版EBM」はなぜENMになれないのか?~

東大阪短期大学 柳   元和

11:30-12:00

ドキュメントマネージメントが切り拓くエンタープライズデザイン

富士ゼロックス 田邊栄一

12:00-13:00

    昼食

― 情報マネージメント技術の動向 ―

13:30-14:30

情報のWebから知識のWebへ~知識活用プロジェクト の最新動向を中心に~

産総研 和泉憲明

14:30-15:15

新しい知識創造プラットフォームの実現に向けて

ジャストシステム 浮川和宣

15:15-15:30

休憩

 

― 企業の技術開発への取り組み ― 

15:30-16:00

知的検索技術の動向

東芝  平川秀樹

16:00-16:30

知識共有・コミュニケーション支援技術の動向

日本電気 亀井真一郎

16:30-17:00

言語知識獲得技術の動向~語から語義へ:情報マネージメントのための言語処理~

日立製作所 梶  博行

17:00-17:30

情報分析技術の動向

富士通研究所 松井くにお

17:30-17:45

まとめ

東京大学 辻井潤一

17:45

閉会

 

 

次回は日本の企業の動きと標準化やネットワークなど。富士通はベクトルコンピュータからの撤退を表明しPRIMEPOWER HPC2500を販売開始した。日本電気は早くもSX-7を発表。Global Grid Forumの活動が本格化するとともに日本規格協会でもGrid標準化の検討が始まる。

 

left-arrow   new50history-bottom   right-arrow