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10月 16, 2015

マイクロソフト、AzureにGPUを追加

HPCwire Japan

Tiffany Trader

先日開催されたAzureConにおいて、マイクロソフトはパブリッククラウドであるAzureの機能として高速RDMAネットワーク上でNシリーズのGPUに対応した仮想マシンを有効にした。同社はまた、ハイエンドのインスタンスであるA8からA11の価格を下げることも発表した。

マイクロソフトAzureの副社長であるJazon Zanderは、最高の価値から最大のスケールまでアレンジできるAzureのインスタンス群を説明することから話を始めた。

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AzureのA、DおよびGシリーズの仮想マシン・タイプに追加して、Zanderは新しい2つのオプションを発表した。ひとつめはDV2と呼ばれるもので、最新の2.4 GHz Intel Xeon E5-2673 v3(Haswell) プロセッサを搭載している。DV2シリーズのインスタンスはDシリーズよりも平均35パーセント高速で、より高速なCPU、より性能の高いローカルディスクや大容量のメモリを要求するアプリケーション向けだ。DV2の発表に合わせて、マイクロソフトはDシリーズの価格をすべてのリージョンで下げると語っている。

2番目の新しいインスタンス・ファミリーはGPUを搭載したNシリーズで、HPCワークロード向けにNVIDIA Tesla K80 GPU、エンタープライズのワークフローにおける仮想グラフィックス向けにNVIDIA GRID 2.0技術へのアクセスをAzureの顧客に提供するものだ。低遅延のリモート・ダイレクト・メモリ・アクセス(RDMA)ネットワークは遠隔可視化、ハイパフォーマンス・コンピューティング、および解析ワークロードを容易にすると、Zanderは述べている。

NVIDIAのCEOであるJen-Hsun Huangは、加速化グラフィックスおよびハイパフォーマンス・コンピューティングを接続された機器に提供するこの連携についてビデオで次のように語っている。

「GPUをクラウドに搭載するために膨大な量の技術革新がありました。」とJen-Hsun Huangは語っている。
「これらはとてもハイパフォーマンスであるプロセッサですが、ユーザの非常に近くにあって欲しいのです。非常に重要な技術革新を通じて、我々はこれらの強力なGPUをクラウド内に包含することができました。ひとつめは、データセンターは本当に大きく、データセンターを管理するコストは非常に高いために必要とされる強力なエネルギー効率へのフォーカスです。2つめの要素は可能な限り小さい遅延で、生成されたコンピュータ・グラフィックスもしくは計算結果を瞬時にユーザに転送することができるようになります。そして3番目は、GPUが汎用でなくてはならないことです。NVIDIA GPUの最も重要な特徴のひとつは、20年間に渡り互換性と性能の最適化を行ってきた我々の
長い努力です。」

「今回初めてとなりますが、」と彼は続けた。「我々はソフトウェアスタック全体を仮想化し、それをマイクロソフトのAzureに深く組み込んだのです。結果として、考えられるアプケーション全てについて完全に互換性を維持できました。それは地震波処理アプリケーション、車設計アプリケーション、工業設計アプケーション、製品設計アプケーションから医療用イメージアプリケーションであるかもしれません。現在、NVIDIAグラフィックス・スタックに互換性のないPCで実行するアプリケーションはありませんし、今ではその互換性はAzureクラウドに搭載されたのです。」

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Azureパブリック・クラウドはTesla M60 GPUで動作するNVIDIA GRID 2.0仮想グラフィックスを提供する初めてのものだ。NVIDIA K80 GPUを搭載したインスタンスはHPC、計算科学、データ解析および深層学習アプリケーションをサポートする。完全なRDMAは複数台のマシン動作するGPUワークロードに低遅延のネットワークを提供する。

マイクロソフトはコンピュータ支援設計およびシミュレーションに特化した多くのISVと、彼らのワークロードをAzureに搭載するように協力していると、Zanderは述べた。

Nシリーズのインスタンスは数ヶ月で試用できるようになる見通しだ。価格および構成はまだ公開されていない。

NVIDIAのもうひとつのHPCフレンドリーなインスタンスであるA8からA11はまだHaswellには更新されていないが、同社は2015年10月1日から価格を最大60パーセント下げると述べている。値下げは、RDMA付きの40Gbit/s InfiniBandネットワークを持っているネットワークに最適化されたA8およびA9、およびA8とA9と同一だがInfiniBandネットワークとRDMAが付いていない計算に最適化されたA10およびA11に適用される。

「これらのインスタンスは強力なIntel Xeon E5プロセッサを搭載しており、ハイパフォーマンス・クラスタ、モデルとシミュレーション、ビデオ・エンコーディングのような計算集約型ワークロード、および計算もしくはネットワーク集約型のシナリオに適合しています。」と興味あるユーザを製品価格のページに誘導しながら、ブログ投稿の中でZanderは書いている。