世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


11月 30, 2015

東工大松岡聡教授がHPCwire Outstanding Leadership賞を受賞

HPCwire Japan
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今年HPCwireは恒例の読者と編集者が選ぶ賞のプログラムに、HPCにおける卓越したリーダーシップを認める新しいカテゴリを設立した。HPCにはたった一人の秀でたリーダーがいる訳では無いことは認識しており、それは良いことである。意見と専門知識の多様性が発展の重要な推進剤だ。その成果と影響力がHPC内 (それ以上に) で重要なリーダーシップを代表する個人は多く存在しており、それは認識に値するものである。

その脈絡において、HPCコミュニティの誰もが切望する印象的な活動と成果を代表する候補者のグループを検討した。そのグループは、HPCの発展と社会への影響に必要な全ての幅広い分野と役割を包含するものだ。HPCwireの読者と編集者はすでに受賞者を決定したが、すべての候補者にスポットライトを当ててたいと思う。

2015 HPCwire卓越したリーダーシップ候補者:

  • Jack Dongarra, テネシー大学
  • Patricia K. Falcone, ローレンスリバモア国立研究所
  • Rajeeb Hazra, インテル
  • Satoshi Matsuoka, 東京工業大学
  • Horst Simon, ローレンスバークレー国立研究所
  • Thomas Sterling, インディアナ大学
  • Rick Stevens, アルゴンヌ国立研究所
  • Pete Ungaro, クレイ
  • Gil Weigand, オークリッジ国立研究所
  • Thomas Zacharia, オークリッジ国立研究所

もちろん、彼らはHPCコミュニティで馴染みのある名前だ。

さて受賞者は次の4名の方に決定した。読者投票では、テネシー大学のJack Dongarr氏と東京工業大学の松岡聡教授が選ばれた。編集者投票では、故人ではあるが、Hans Meuer氏とGeorge Michaelが選ばれた。

読者投票

Jack Dongarra

TOP500の共同創設者、HPCにおけるJack Dongarraの影響力を表現するのは難しい。彼は現在、テネシー大学電気工学・計算機科学部の優秀な教授であり、オークリッジ国立研究所の研究者でもある。Dongarraは長年HPC、特にエクストリーム・スケール向けのアルゴリズム、数値ライブラリおよびソフトウェアのチャンピンである。彼の研究には高品質な数学ソフトウェアの開発、試験、ドキュメント化が含まれている。

Dongarraは次のオープンソースソフトウェアパッケージおよびシステムの設計および実装に貢献している: EISPACK, LINPACK, the BLAS, LAPACK, ScaLAPACK, Netlib, PVM, MPI, NetSolve, TOP500, ATLAS,PAPI, High Performance Conjugate Gradient Benchmark (HPCG)。Dongarraが受賞した賞の要約は次の通り。(間違いなく不完全ではあるが)
2004: IEEE Sidney Fernbach Award
2008:初のIEEE Medal of Excellence in Scalable Computing
2010:初のSIAM Special Interest Group on Supercomputing’s award for Career Achievement
2011: IEEE IPDPS Charles Babbage Award
2013: ACM/IEEE Ken Kennedy Award

彼はAAAS、ACM、IEEE、SIAMのフェローで全米技術アカデミーのメンバーでもある。

松岡 聡

松岡聡教授は広い範囲の成果を持つHPCにおけるもう一人の中心人物である。彼は現在東京工業大学(Titech)の教授であり、スーパーコンピュータTSUBAMEシリーズのリーダーである。松岡教授は
GPGPUとエネルギー効率の高い技術を早期に採用することで東工大をHPCのリーダーし、日本を生産性の高いエクサスケール科学のコースに導いたのだ。

松岡教授の研究テーマは「オビジェクト指向型並列計算ユーザインタフェースシステムとソフトウェアグローバル計算環境」である。彼はACMとヨーロッパISCのフェローであり、高度基盤プラットフォーム、大規模スーパーコンピュータ、およびヘテロGPU/CPUスーパーコンピュータにおけるハイパフォーマンス・コンピューティング用のソフトウェアにおける業績により、下記の多くを受賞している。
2006:日本学術振興会日本学術振興会賞
2011:ACMゴードンベル賞
2012:文部科学大臣表彰科学技術賞
2014:IEEE Sidney Fernbach賞

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松岡聡教授(真ん中)

 

 

編集者投票

Hans Meuer

2014年1月に亡くなった「ヨーロッパのスーパーコンピューティングの父」として知られるHans Meuerを認めることは妥当だ。Hansは2001年からはInternational Supercomputing Conference となった1986年のマンハイム・スーパーコンピュータ会議の共同創設者でオーガナイザーである。Erich Strohmaier、Horst SimonおよびJack Dongarraと共に、MeuerはTOP500を開始した。彼は長年ユーリッヒ研究センターのリーダーであり、マンハイム大学のコンピュータセンターのディレクターで計算機科学の教授であった。

George Michael

George MichaelはHPCにおけるもう一人の影響力のある人物で、1988年から始まった恒例のAMC/IEEEスーパーコンピューティング会議の共同創設者である。計算物理学のパイオニアであり、ローレンスリバモアでの41年間のキャリアを持ち、スーパーコンピューティングにおけるリーダーとしての研究所の評価を築いた。Georgeは2008年に亡くなった。彼はその素晴らしい技術的な貢献のみで覚えられているのではなく、重要な科学的目標とプロジェクトの周りの人々を魅きつけ、刺激する自然な力を持っているコミュニティビルダーでもあった。おそらく彼の最大の伝説であるSCは今や、世界中からのハイパフォーマンスコンピューティングの先端企業と研究機関から毎年1万人以上が参加している。