世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


3月 25, 2016

京コンピュータ、高精度地震波伝播シミュレーションに成功

HPCwire Japan

John Russell

国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、京コンピュータ上で三次元地球モデルにおいて最高精度となる1.2秒の地震間隔で全球地震波伝播シミュレーションに成功したと報告した。コードの最適化により、京コンピュータで理論最大性能の11.84%となる、1.24ペタフロップスの持続性能を達成することに成功した。

この成果はハイパフォーマンス・コンピューティング・アプリケーションの国際ジャーナル(2月28日版、A 1.8 trillion degrees-of-freedom, 1.24 petaflops global seismic wave simulation on the K computer)において報告されている。この研究は地震発生メカニズムと地球の内部構造をより正確に理解することを助け、防災と減災に大きく貢献することが期待されている。

この論文の概要で述べられているように、この取組は計算的にチャレンジングであった:

「…我々の地震シミュレーションは合計で6,652億格子を使い、1兆8千億の自由度で解析しています。これらの大規模計算を実現するために、我々は広く使われているコミュニティ・ソフトウェアコードをすべてのハードウェア並列に効率的に対処できるように最適化し、特に粗粒度並列におけるメモリ利用のボトルネックを解決するために、スレッド・レベルでの並列化を行いました。この新しいコードはタイム・ステッピング・ループでの優れたストロング・スケーリングを示しており、これは36,504ノードで実行した場合と比較して、82,134ノードでの実行で並列化効率が99.54%となったのです。」

この研究グループは地球情報基盤センターの坪井誠司博士が率いている。2003年には、同様の研究グループが地球シミュレータ上で現実的な三次元地球での記録的な5秒間隔で、計算による理論的な地震記録を達成している。

プレスリリースのリンクおよび論文はこちら:

プレスリリース: http://www.jamstec.go.jp/e/about/press_release/20160317/
論文: http://komatitsch.free.fr/preprints/Tsuboi_IJHPC_2016.pdf