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1月 15, 2016

CAEシリーズ:第12回 日本で開発されたCAEソフトウェア (その1)

岩田進吉(有限会社イワタシステムサポート代表取締役/中部CAE懇話会幹事)

今回は「日本で開発されたCAEソフトウェア」に関して説明をさせて頂きます。日本で開発されたソフトウェアとしては、皆様の認識が浅いかもしれませんが、かなりの数のCAE関連ソフトウェアが開発されております。

CAE関連ソフトウェアの開発地域

まず主なCAEソフトウェアの開発された地域を簡単に概観したいと思います。

CAE関連ソフトウェアはヨーロッパ、北米が中心

CAE関連ソフトウェアは主にヨーロッパ、北米での開発が中心です。主なソフトウェアとしては

ヨーロッパ
イギリス ――― CD-Adapco/Star-CD
フランス ――― ESI/PAM-CRASH、FORGE
ベルギー ――― LMS/Virtual.Lab、LMS/Samtech
オーストリア ――― AVL/FIRE、AVL/EXCITE、FEMFAT
ギリシャ ――― ANSA
ドイツ ――― CDH/AMLS、MAGMA
スウェーデン ――― COMSOL
北米
米国 ――― HyperWorks(HyperMesh、Radioss、AcuSolve、PBS)、
LS-Dyna、Nastran、ABAQUS、MARC、DEFORM
カナダ ――― LSF
アジア
韓国 ――― Recurdyn、Midas
台湾 ――― Moldex3D

等があります。

上記のようにCAE関連ソフトウェアはヨーロッパ、米国が中心であり、そこにアジア勢も幾つかのソフトウェアを提供しております。日本ではヨーロッパ、北米についで多くのCAEソフトウェアを提供しています。主なものとしては電磁場解析、流体解析、樹脂流動解析、鋳造解析、構造解析等が主なソフトウェアかと考えられます。以下に日本で作られたCAEソフトウェアを紹介します。

日本で開発されたCAEソフトウェア

日本で開発されたソフトウェアで私が理解しているソフトウェアを列挙いたします。

これ以外にも多くのソフトウェアがあるかと思いますが、不明な点はご容赦ください。

◇◇◇◇◇ 構造解析ソフトウェア ◇◇◇◇◇

1. Adventure
東大で「設計用大規模計算力学システムの開発」という国家プロジェクトのもとで開発されたソフトウェアです。開発は1990年代末から2000年代初めにかけて開発されており、その名前が示す通り大規模な構造解析を得意とするソフトウェアです。
商用化したモジュールが販売されており、価格的には他の構造解析の商用ソフトウェアと変わらなくなっているようです。
商用版の開発・サポートは株式会社アライドエンジニアリングで行っています。
ホームページは
http://www.alde.co.jp/
になります。
2. FrontISTR
文部科学省次世代IT 基盤構築のための研究開発
「イノベーション基盤シミュレーションソフトウェアの研究開発」
プロジェクトで開発されソフトウェアで現在はV4.3が公開されています。開発は東京大学生産技術研究所 革新的シミュレーション研究センターで開発されています。
商用版としては「アドバンスソフト株式会社」が扱っており、詳しい情報等は以下のホームページに載っております。
https://www.advancesoft.jp/product/
ソフトの特徴としては、Windows やLinux のPC クラスタはもとより「京」などの超並列スパコンにも対応可能な、有限要素法による大規模構造解析プログラムと説明しております。解析機能としても

静解析:線形、幾何学的非線形、材料非線形、境界非線形(接触)
動解析:線形、幾何学的非線形、材料非線形、境界非線形(接触)
固有値解析:線形、変形後解析機能、モーダル応答解析機能
熱伝導解析:定常、非定常

等、多くの機能を持っております。

3. Femtet
村田製作所での社内利用から出発したソフトウェアで電磁場中心で応力解析機能も装備したソフトウェア。販売・サポートは「ムラタソフトウェア株式会社」が行っております。 製品としてはレンタルのみで、販売先は法人のみというユニークな営業形態をとっております。 価格も低価格な料金体系をとっており、多くのユーザがありますが、認知度が低いせいか知らない方が多いです。
ホームページは
http://www.muratasoftware.com/index.html
で、ここに解析機能一覧が書かれておりますが、簡単に構造解析の機能を列挙するとプリポスト
1次節点要素(4節点)/2次節点要素(10節点)の自動生成、アダプティブメッシュ (h法)、自動ブーリアン、自動接合、自動干渉除去
解析ソルバ
応力解析
静解析、調和解析、共振解析、過渡解析(オプション)、大変形解析(大変位、大ひずみ)、座屈解析(線形)
があります。詳しくは上記のホームページをご覧ください。

◇◇◇◇◇ 流体解析ソフトウェア ◇◇◇◇◇

1. Stream、Scryu/Tetra
クレイドル社開発のソフトウェア、有限体積法の市販ソフトウェアであり1980年代から流体解析ソフトウェアベンダーとして日本で活躍。製品は海外のソフトウェアと互角に競合し多くのユーザを持つ。
ホームページは
http://www.cradle.co.jp/
になります。
2. ParticleWorks
東大の越塚先生の研究をもとに開発した粒子法のソフトウェア、国プロの予算に頼らずにベンチャー企業として創立して、ParticleWorksの開発、販売を行っている。
創立は2004年と比較的に浅い歴史であるが、東京のConferenceでは500名ほどの集客力があり、名古屋でのセミナーでも100名前後の集客を誇り、急成長をしているCAEソフトウェアベンダーである。粒子法ということで今までのソフトウェアでは解析できなかった飛沫現象等を解析できるということで注目を集めているようです。
ホームページは
http://www.prometech.co.jp/
に製品情報、事例、セミナー情報等の詳しい案内があります。
3. アールフロー
1990年半ばに設立された会社で、主な業務としては

・熱流体・粉体解析ソフト「R-FLOW」の開発及び販売
・流れ可視化用ソフト「R-VIEW」の開発および販売
・2軸スクリュー押出機内熱流体解析用ソフト
・「SCREWFLOW-MULTI」の開発及び販売
・「R-FLOW」による受託解析      他

ということで、粉体の流れを扱ったソフトウェアの開発、サポートを行っています。
ホームページは
http://www.rflow.co.jp/index.html
に詳しい情報が載っております。

4. FrontFlow
 戦略的基盤ソフトウェアの開発プロジェクトで開発した汎用流体解析コードFront Flowをベースに、構造、音、混相流、反応との連成解析を実現するマルチフィジックス流体解析ソフトウェア。
Front Flowは非定常な乱流現象を精度よく扱う手法であるラージ・エディ・シミュレーション(LES)をベースに開発され、これまで空力騒音予測、ターボ機械内部流れ、燃焼器内部の火炎挙動予測等の分野で実績があるコードです。LES解析技術に加え、連成解析技術をとりこんだマルチフィジックス流体システムを開発することにより、より現実的な問題への適用が可能となっています。
商用版としてはの販売・サポートはFrontIstrと同じ「アドバンスソフト株式会社」が扱っており、詳しい情報等は以下のホームページに載っております。
http://www.advancesoft.jp/product/advance_frontflow_red/index.html
5. SPHinx-FLOW
横浜国大の酒井先生がSPH法ベースに開発した粒子法のソフトウェア。流体にも適用可能であるが、どちらかというと構造解析での利用に強いソフトウェアです。
ホームページは
http://www.sphlab.co.jp/index.php?FrontPage
で、製品情報等が載っております。

次回は「日本で開発されたCAEソフトウェア (その2)」という内容で今回の続きを紹介させて頂ければと考えております。