世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


10月 26, 2016

Intersect360: HPC市場は2020年までに370億ドルに近づく

HPCwire Japan

John Russell

市場ドライバとしての大手HPCサプライヤのせめぎ合いと産業セグメントの上昇が継続し、2020年までの収益を369億ドルに押し上げると予測される総合HPC市場成長率(CAGR)約5.2パーセントとが最新のIntersect360レポートの中で強調されている。

興味深い項目のひとつはIntersect360が大規模ハイパースーラーを区別する決定をしたことだ。「ウルトラスケールのインターネットセグメントはその拡大と成熟を継続しており、今や異なる市場として検討する所まで来ているのです。今年からIntersect360リサーチは、より広く受け入れられている名前であるハイパースケールとして区別したスーパー・セグメントとして追跡することになります。」

ハイパースケール市場のデータおよび解析はこのレポート(Worldwide High Performance Computing (HPC) 2015 Total Market Model and 2016–2020 Forecast)には含まれておらず、別個に解析されるとのことだ。昨年のHigh Performance Business Computing (HPBC)のデータはこのセグメントの見直しのために調整されている。

20161019-S1-Intersect360-HPC-Chart

もうひとつの興味深い点は、ビッグデータに関するInterset360の観測だ。「これまでに我々は、直接HPCの支出増大に関係するようなアプリケーション・セットにリンクすることができる大きな市場拡大効果を認識できていません。我々の調査では、IT予算中にビッグデータに関連するプロジェクトに支出されるべき大きな割合があることを示しています。しかし、これらの殆どのケースにおいて、この予算が他のプロジェクトに再割当てされていることが示されており、ビッグデータ専用のインフラのための明確な市場が存在していないのです。」

このレポートによると、HPCベンダーの序列はIBMのレノボへのx86事業の売却の影響をまだ受けているそうだ。HPEが首位で次いでDell、IBM、Lenovo、Cray、SGI(HPEに買収される予定)、および富士通となっている。

Intersect360は公共部門が「長期的な緊縮政策へのソフト」により制約され続け、民間・産業の支出が全体のHPC市場においてますます重要な部分となると予測している。米国の低迷する支出が国家戦略コンピューティング・イニシアティブのような野心的な新しい政府系HPC計画にとって何を意味するか考えることは容易だ。

サーバはいまだ最大のHPC機器セグメントであり、ストレージが次に続いている。予測期間における産業成長率は6.8パーセント、アカデミアで3.2パーセント、官公庁で3.0パーセントとなっている。支出における成長率はクラウドが13.4パーセントと高いが、絶対値ではまだ小さい。

Intersect360リサーチの市場モデルと予測は、官公庁、アカデミア、および産業界における全体のHPC市場にフォーカスしている。2015年において、産業界の購入者は全体のHPC市場の43.2パーセント、官公庁が32.8パーセント、アカデミアが23.9パーセントを占めている。2015年におけるサーバ支出はHPC市場における最大の部分となり37.1パーセントであった。次に大きいのはソフトウェアで19.7パーセント、続いてストレージが17.0パーセントであった。

レポートへのリンク: http://www.intersect360.com/industry/reports.php