HPE-SGI、エクサスケールとエンタープライズをターゲットに取り組む
John Russell

一見したところ、恐らく二見しても、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)のSGIの買収は明確にウィンウィンのようである。SGIの先進的な共有メモリ技術、普及したUV製品(HANA)ライン、深い垂直市場の専門知識、そしてサービス主導の市場投入能力のすべてがHPEにHPE自体を再構築するための推進力を与えるのだ。ちょうど1年前にヒューレット・パッカードの分割でHPEが誕生したことを覚えているだろう。HPCを含むコンピュータの状況は、依然として不明確な結果を伴って変化している。最近のDellのEMCとの合併に続いて、買収の対象となるのは誰だろうか。
SGIに対するHPEの計画の詳細(製品ロードマップなど)はほとんどない。SC16において、HPEは少なともひとつのメッセージを出すのに忙しかった。それはSGIが提供する新しいリソースとハイエンドのHPCにとっては喜ばしいことであった。「HPC市場だけでなく、大規模なデータやミッションクリティカルなシステム分野においても、当社の地位を高めることは戦略的な動きです。 [SGIは]ハイエンド・データ・アナリティクス(HPDA)とリアルタイム・トランザクション処理で、特にハイエンドでHPCに加えて、多くの技術を提供しています。」と、SCでのブリーフィングにおいてHPEサーバ部門のHPC、ビッグデータ&IoTセグメントのHPC担当VPのVineeth Ramは述べている。
まだ整理することはたくさんある。手間のかかる問題の1つは、現在SGIのUV Hannaマシンの販売代理店契約であり、直接競合するDell EMCとシスコだ。一部の権利が必要になることもある。しかし、契約で最も目を引くのは、品質が重なるのではなく補完的な部分だ。
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Vineeth Ram, HPE |
詳細は、2017年の第1四半期に提供される、とRamは述べている。最初の仕事は、おそらく予想通り、2つのセールスチームを結びつけ、顧客を安心させる、とRamは言う。「製品ロードマップと戦略について考えるならば、引き続きすべての機能に投資し、我々のポートフォリオ全体で既存の製品をサポートすることをコミットします。我々は顧客の投資を保護したいと思っていますし、ロードマップを決める際には、そのことを考慮にいれたいと考えています。」
この取引自体(HPCwireの記事、HPE Gobbles SGI for Larger Slice of $11B HPC Pieを参照)は約2億7千5百万ドルで、Rackable Systems社が2009年に破綻したシリコングラフィックス社を2千5百万ドルで買収し、SGIのブランドを継承した後、SGIのバナーを7年間継続して使用した猶予期間を終わらせるものだ。HPEに望むことは多くあった。「HPEは意識的に戦略をミッドエンドなアプローチにして、その後、よりハイエンドへの進出を開始しました。 SGIの歴史は非常にハイエンドになっています。」とRamは述べている。
この買収が数週間前に正式にクローズした際に、SGIはエグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャのAntonio Neriが率いるHPEのインフラストラクチャ・グループに入った。注目に値するのは、長年SGIのエグゼクティブであったBill MannelがHPの分割のほぼ1年前にHPに移籍しており、現在はHPEのハイパフォーマンス・コンピューティングおよびビッグデータのゼネラルマネージャ兼バイスプレジデントになっている。彼は誰よりもSGIの組織とポートフォリオを知っており、SGIをHPEに組み込むガイドの役目を果たしそうである。
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SCでの年間HPC市場アップデートにおいて、IDCはHPEをHPCサーバにおけるDell EMCのほぼ2倍の規模を持つマーケットシェア・リーダーとして位置付けしている。(SC16アップデートでのIDCのグラフおよびHPCwireの記事IDC: AI, HPDA Driving HPC into High Growth Marketsを参照) Dell EMCはこのリーダーシップがEMCとの収益の合算によりトップになるだろと示唆している。権利を誇りにして、HPEは収入の増加と新製品以上のものを追求していた、とRamは語る。SGIの市場投入戦略、販売チャネル、および垂直セグメント(業界および地理的)の専門知識は少なくとも重要なのだ。
Ramによれば、多くの中でもSGIがもたらす重要なメリットは4つあると言う;
- 業種。SGIは例えば特にライフサイエンス、官庁、気候シミュレーション、および製造業に強く、これらはすべてHPEのチャンスを表している。「我々がこれまで働きかけてきた製造業のような分野でさえ、我々は若干低いところで動いており、SGIは高いところにいたのです。」とRamは言う。SGIはこれらの分野でも非常に専門的な分野の専門知識を築いてきている、と彼は述べた。
- サービス。かなりの量のSGIのビジネスがサービスとインテグレーション能力から創られている。HPEは製品主導型戦略から出発。SGIの広範なエンドツーエンドのアプローチはハードウェアからソフトウェアやアプリケーションまでのすべてに広がっているとRamは指摘している。HPEにはこれらの能力がないわけではないが、SGIが活用してリードしていることは間違いない。
- 日本。日本市場に入り込むのは歴史的に難しい。日本のメーカーへの信頼は高い。SGIはそこでうまくやっている数少ないUSベースのコンピュータ企業のひとつであり、そこでは深いシステムインテグレーション能力をかなり活用している、とRamは述べている。
- 米国製造業。これはSGIが米国政府への販売の中でのSGIの強さの要素であることに間違いはなく、おそらく国家戦略コンピューティング・イニシアティブが勢いを増した時には新政権下でもっと重要になってくるだろう。
事実上全てのHPCサー・バサプライヤと同様に、HPEは「目的構築」のコーラスを歌い続けており、SGIの買収はそれをまったく変えてはいない。それはHPEが攻撃できるターゲットの景色を上げているのだ。「彼らは領域の専門知識、深い業界の専門知識、そして実際にスーパーコンピュータの能力を持ち、企業全体に広げることができるソリューションを持っているのです。」とRAMは述べている。
SGI UV cropped
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注目すべき買収の興味深い側面の1つは、HPEの最上級戦略である。HP/HPEはTop500においてマシン台数の面においてリーダーシップを発揮してきた。例えばトップ10のどこにもHP/HPEシステム入っていない。前回のインタビューにおけるMannelと、SCでのRamとのインタビューでは、二人共HPEのトップエンドへより効率的に突き進む決意を強調している。
SGI技術はこの願望を助けるはずだ。例えば、エネルギー大手TotalのSGI ICE-Xマシンは、2016年6月のTop500(〜5Pflops)で11位となり、最新のリストでは16位に落ちている。もう1台のSGIマシン(SGI ICE XA、国立大気研究センターのCheyenne)は最近のリストで20位となっており、SGIマシン3台目のマシンはは27位だった。
RamはSGIの専門知識の獲得を呼びかけており、HPEがエクサスケールにつながる大規模な官庁の調達サイクルでの競争を含んだ大きなサンドボックスでのプレーを「絶対的に」計画していると述べている。
「大きなプロジェクトや長期的な開発に取り組むつもりで、私たちが集めているユニークさのいくつかを挙げることができます。私たちが推進しているエクサスケールの機能のいくつかについて、来年早々にいくつかの公式声明を発表することになるでしょう。私たちは投資に専念し、エクサスケールな進化の一部になるのです。」と、HPEがすでに政府のプロジェクトに従事していたが、2017年の後半までは詳述できなかったことを念頭において、Ramは述べた。