米国エクサスケール・プログラム:追加情報
Alex R. Larzelere

編集者注記:我々のポリシーエディターであるAlex Larzelereは、ワシントンDCにおける競争力評議会のシニアフェローである。Larzelereは、米国のスーパーコンピューティングの目標とエクサスケール重視の予算活動を我々が綿密に検討するの支援してきた。 Larzelereは先日、バージニア州で開催されたAdvanced Scientific Computing Advisory Committee(ASCAC)会議において、2021年に米国初のエクサスケール・マシンになるように拡大されたAuroraスーパーコンピュータと米国エクサスケール・プログラムの全体の進捗状況について彼の洞察を述べた。
7月にエネルギー省のエクサスケール・コンピューティング・プログラムを訪れた時には状況は非常にポジティブに見えていた。米下院と上院は、核兵器国家安全保障局(NNSA)と科学局(SC)のためのエクサスケールの活動のために、2018年(18年度)の堅実な予算を通過させていた。しかし、DOEの予算の他の部分に大きなチャレンジが潜んでいるように見えていた。これには、下院と上院の歳出法案の間でARPA-Eなどのいくつかのプログラムにおいて3億ドル以上の大きな違いが含まれていたのだ。
8月の休暇の後、議会は9月にいくつかの主要な予算戦を予想していた。これには、下院と上院の歳出の差異を調整するだけでなく、米国の負債上限を引き上げる問題も含まれていた。しかしその後9月6日に、トランプ大統領が18年度予算継続決議(CR)に関して下院と上院議員と2017年12月初旬まで政府債務の上限を引き上げる合意に達し、その潜在的な戦いは突然終了してしまった。これにより、短期間でExascale FY-17の現状を効果的に継続することとなったのだ。資金援助の観点からみて、エクサスケール・プログラムの事柄は引き続き非常に良いようだ。
9月26日および27日に、プログラムの技術的側面についてのより明確な説明が、公開SC ASCAC(Advanced Scientific Computing Advisory Committee)の会議で提供された。ASCACは、Advanced Scientific Computing Research(ASCR)プログラムへのアドバイスを提供する正式に承認された連邦諮問委員会法(FACA)グループの定期的な会議である。会議中、ASCR事務局のアソシエイト・ディレクターであるBarb Hellandは、活動の状況(リンク)に関するプレゼンテーションを行った。プレゼンテーションには、SCエクサスケール・プログラムのステータスに関する非常に興味深い情報が含まれていた。
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スライドの7ページ目で、彼女はASCACに、アルゴンヌ国立研究所(ANL)のAuroraシステムにシフトがあったことを述べた。このコンピュータはもともと、180ペタフロップスの性能で2018年に出荷される予定であった。しかし、システムの改訂版の計画では、2021年に1,000ペタフロップス(もしくは1エクサフロップス)のコンピュータを出荷することになっている。このマシンは「斬新な技術を選択」することとなっており、シミュレーション、ビッグデータ、機械学習の3つの柱にフォーカスする。このプログラムの変更は、「エクサスケール・マシンの導入計画が、適切に定義されたコストとパフォーマンスのベースラインなしに大きな変更を行ったという懸念を説明しているようである。」
Hellandは、マシン・アーキテクチャの変更が2017年の9月にレビューされ、非常に有利なコメントを受けたと報告している。これには、「提示されたシステムは、コンピューティングの方式を変えることができる多くの斬新なテクノロジーの選択肢がり、刺激的である。委員会は、エクサスケール・コンピューティングの目標を達成するために必要な大胆な戦略とイノベーションを支援している。委員会は成功への信頼できる道を見ている。」と言ったコメントが含まれている。さらにコメントでは、「ノード内のハードウェアの選択/設計は非常によく考えられている。早期の予測では、システムが広範なワークロードをサポートすることを示唆している。」ともあった。また、彼女は11月7日から9日にRebaseline Independent Project Reviewが予定されていると報告した。
もう一つの重要なニュースは、オークリッジ国立研究所(ORNL)のリーダーシップコンピューティング施設のSummitコンピュータの設置状況に関するものであった。これは、NVIDIA Voltaグラフィックプロセッシングユニット(GPU)を搭載したIBM Power9プロセッサーをベースにした150ペタフロップスのコンピュータとなる予定だ。会議中、インターコネクト・スイッチと共に、システムキャビネットが設置されたと報告された。このコンピュータノードのボードは10月末にかけて到着する予定であり、その後すぐにアクセプタンス・テストが始まる。また、NNSAのローレンスリバモア国立研究所(LLNL)のSierraコンピュータ(Summitと同様)の設置も進められていると報告された。ORNLコンピュータの興味深い特徴の1つは、それらがコンクリートスラブ上に設置されており、すべてのサポート配線と冷却がオーバーヘッドから来ていることである。
彼女のプレゼンテーション中、Barb Hellandは、ASCRが2022年にインストールされるであろう追加のエクサスケール・システムの調達に関する情報を間もなく公開する予定であることを明らかにした。詳細は述べられていないが、彼女はこれらのシステムがCORAL調達の一環として提供されるシステムのフォローオンシステムであると説明した。
最後に、ASCAC会議において他に2つの面白いエクサスケールに関する啓示があった。ひとつは大統領予算要求に現れたECIとECPの違いを明確にしたものがある。スライドの5ページ目において、ECI(Exascale Computing Initiative)がNNSAとSCの間のパートナーシップであるという用語と定義を提供している。一方、ECP(Exascale Computing Project)はASCR(SC-ECP)内のサブプログラムであり、アプリケーションの研究開発活動のみをサポートし、NNSAとの協力において、有用なエクサスケール・コンピュータの設計のために必要なソフトウェア・ハードウェア技術およびコデザインへの投資が含まれている。もう一つの啓示は、ECPの創設ディレクターであるANLのPaul Messinaが退任しており、10月1日にORNLのDoug Kotheに交代したことである。 ASCACはPaulに対し、ECPの基盤を確立する上での国への彼の貢献に感謝している。
結局のところ、最近のASCAC会議では、米国のエクサスケール・プログラムに関する貴重な知見を提供している。
確かにすべての質問に答えられているわけではないが、会議で提供された情報はエネルギー省の最先端コンピューティングプログラムを明確にするのに役立っている。おそらく、最高のニュースは、このプログラムは依然として大統領と議会の強い支持を得ているということだ。しかし、2017年12月の新予算の締め切りは、バックグラウンドに潜んでいる。
著者について
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Alex Larzelereは、米国競争力評議会のシニアフェローであり、Larzelere&Associates Consultingの社長でHPCwireのポリシーエディタである。彼は現在、高度なモデリングとシミュレーションを含むいくつかの破壊的な技術に関する技術者、講演者であり、著者である。高性能コンピューティング。人工知能;モノのインターネット;および付加製造業などが含まれている。Alexのキャリアには、連邦サービス(DOE国立研究所との緊密な連携)、民間企業、中小企業の創設者としての経歴が含まれている。その間、彼は最先端の高度なコンピューティング技術の使用を実装したプログラムを指揮し、複雑な物理システムの高分解能、マルチフィジックスシミュレーションを可能にした。 Alexは、「知見の提供:戦略的コンピューティング・イニシアチブ(ASCI)の歴史」の著者である。