米国上院議員、議会はスーパーコンピュータを理解していない、と語る
Alex Woodie
スーパーコンピュータは、グローバルな戦いで勝ち抜くための米国の国力として重要であることは明らかなのだが、議員の中にはこのことを理解しない人たちがいるようだ。イリノイ州にあるアルゴンヌ国立研究所に昨年設置された、IBM製BlueGene/Qスーパーコンピュータ Miraの落成式で、イリノイ州選出上院議員ディック・ダーバン氏は、次のように述べた。
”彼らは費用のことは知っているが、価値のことはわからない。”ダーバン氏はまた、7月1日にに行われたセレモニーの演説の中で、”議員を教育する必要がある。スーパーコンピュータの開発競争は、アメリカの競争力にとって、最も重要なのだ。全世界に利益をもたらすような数多くのブレイクスルーも生まれる。”
米国は、全体としてHPCには他のどの国よりも多くの投資をしているが、最初のエクサスケール・システムを開発する競争に勝てない可能性がある。特に、中国はHPC分野には強みを持っているし、すでに米国を凌駕している超高並列スーパーコンピュータの開発に代表されるハイエンド市場に対しては、とりわけそのリスクは強い。
中国のコミットが先月、明確になった。310万個のコアで構成され、33.8ペタ・フロップの継続性能を誇るTainhe-2が、Top500 認定機関により世界最速のスーパーコンピュータとして記載されたのである。
中国の競争力が強くなるのは素晴らしいこと、とアルゴンヌ国立研究所のディレクター、エリック・アイザック氏は起工式で述べた。”とはいえ、真に脅威でもある”と、彼はVOAのビデオで話している。”我々は、中国が世界最速のコンピュータを持つという先端的な役割を、頻繁に果たすようになってきたことを、知っている。”
HPC業界の多くの人々が議会や他のリーダー達に対して、米国はエケサスケール計算機で先導するために十分な資源を提供しきれていないことに注意を喚起してきた。米国は最高の技術を開発している一方で、他国のエクサスケールに向けた努力に対抗できるだけの、財政的なコミットとリーダー的人材の確保が十分ではないのだ。
米国での優先度は、スーパーコンピューティングへの関わりに結びついている、とダーバン上院議員は述べる。"結果を出す仕事のためだけではなく、企業活動や公共分野にも適用できる基礎研究としての世界競争なのだ。それゆえ、スーパーコンピューティングの世界では、たくさんのバトルが戦われている。"とビデオで語っている。
8.5ペタフロップスの実効性能を持つMiraは、世界で5番目に速いスーパーコンピュータだ。786,000個のコア・クラスタが、NSF (National Science Foundation)からの資金も得て、米国エネルギー省のために動いている。
このシステムは、物質科学、気候学、地震学や計算機化学などの科学的研究のためにも活用されるはずである。
昨年Top500上で3番目から5番目にランクを落としてしまったが、Miraは依然として、エネルギー効率というカテゴリーでは、世界のスーパーコンピュータの先頭に立っている。液冷システムのおかげで、高々、3.9メガワットしか電力を消費しない。ファンを使う代わりに、銅管を流れる冷却された水を通じて、Miraのプロセッサから発せられる熱を奪ってしまうからである。