Green500とアクセラレータ
Tiffany Trader

ドイツ、ライプチヒで開催されたISC14の成功の先で先週最新のGreen500リストが発表され、再びTSUBAME-KFCがワット当り4.4ギガフロップスのエネルギー効率で世界で一番グリーンなスーパーコンピュータとなった。この東京工業大学のシステムは昨年11月にワット当り4.0ギガフロップスをマークしており、未だそれができる唯一のスーパーコンピュータだ。
2007年11月に始まって、今回で8年目を迎えるGreen500は、エネルギー効率を基にした世界で最も強力なシステムをランキング付けることで、持続可能なスーパーコンピューティングへの意識を高めるのに役立っている。TOP500リストは純粋な性能(すなわちFLOPS)の計測だが、Green500リストはワット当りのFLOPSのメトリックを使ってエネルギー効率を重視している。
TOP500リストと同様に、Green500も上位ランクのシステムのおいてはヘテロに向かって動いている。現在のGreen500リストでは、上位17はアクセラレータベースのシステムで占められており、従来のプロセッサ(CPU)にグラフィックプロセッサユニット(GPU)やコプロセッサ(Intel Xeon Phiのような)を装備している。これら17台の内、最初の15システムはNVIDIA Kepler GPUを使っている。16位のシステムであるShadowはIntel PhiコプロセッサとIntel Xeon CPUを装備しており、17番目のシステムであるSANAMはAMD FirePro S10000 GPUを装備しIntel Xeon CPUと並んで動作している。
2度目のナンバー1スポットには東京工業大学にインストールされているTSUBAME-KFCがある。このスーパーコンピュータはNVIDIA Tesla K20X GPUをオイルベースの液体槽にサーバを浸した特殊な冷却システムを使っている。ワット当り4.4ギガフロップスは、TSUBAME-KFCが2番手のケンブリッジ大学のWilkesスーパーコンピュータ(ワット当り3.6ギガフロップス)よりも約20パーセントも効率が良いことを示している。3番手には筑波大学のHA-PACS TCAシステムがワット当り3.5ギガフロップスで入っている。
ここまでのところ、上位3システムは2013年11月の回と同じ順位である。上位10位内にたった1台のみ新規参入があったTOP500とは違い、Green500は、この切望されたグループ分けの中で3台の新システムがある。この新システムのひとつはSURFsaraのCartesius Accelerator Islandで、66台のbullx B515がIntel Xeon CPUとTesla K40m GPUを装備したアクセラレータノードを構成している。このシステムは2014年6月のTOP500において421位に入っており、Linpack性能は153.6テラフロップスだ。エネルギー消費はワット当り3.459ギガフロップスである。
第5位のスイスのシステムであるPiz Daintが前回より順位をひとつ下げている。Cray XC30スーパーコンピュータは先進的な気象予測やその他の研究に採用されており、Xeon CPUとNVIDIA K20xの両方を装備している。
6位から10位のシステムは、ROMEO HPC Center、CSIRO、東京工業大学の2番目のマシン、エネルギー企業Eniの運用システム、そして「不明の金融機関」と続く。Xenonシステム社が製造したCSIRO GPUクラスタは、エネルギー効率をワット当り2.358ギガフロップスから3.019フロップスに向上させるアップグレードの結果、順位を10位から7位に向上させている。
最新のTOP500で見られたように、ヘテロ環境はリストのトップまで浸透しているが、ハイブリッドなアプローチはそれ以外には浸透していない。500システムの内、たった64システムだけが何らかのアクセラレータを装備しており、前回のリストから比較的に変化はない。しかし、混成したプロセッサ戦略のエネルギー効率については小さな疑問がある。アクセラレータベースのグループの平均エネルギー効率は、ワット当り1.938ギガフロップスである。対して、単一構成のシステムではワット当り0.743ギガフロップスとなっている。
アクセラレータがスーパーコンピューティングに浸透する前、IBM BlueGeneはエネルギー効率をロックオンしていた。大規模BlueGeneが2012年6月のリストにおいて最初の20位を独占していたのを覚えているだろうか?このpower (Power)ブロックはまだそこにあり、少し順位を下げただけだ。BlueGene/Qシステムは第18位からの25スポット中24個を占めている。このエネルギー効率はワット当り2.177ギガフロップスから2.299ギガフロップスだ。
現在のTOP500の上位に関して:米国最高速のスーパーコンピュータであるオークリッジ国立研究所のCray XK7、TitanはGreen500においては35位から43位に下落し、ワット当り2.143ギガフロップスである。世界最高速のスーパーコンピュータ、中国のTianhe-2はワット当り1.901ギガフロップスでGreen500の49位となっている。(前回の40位からダウン) 6番目のペタフロップスマシン(Linpack)のPiz Daintは両方のリストで10位以内に入った唯一のシステムだ。TOP500で6位、Green500で5位。来るエクサスケール時代の切迫した電力要件において、両方のリストでより多くのオーバーラップが見られることを期待している。
11月からいくつかの変更があったものの、6月のGreen500はTOP500と同じく保持形態をとっており、この現象は最近のISC会議において推測の終わりを刺激はしなかった。これは2015年のために予想される嵐の前の静けさなのか、はたまた何かが進行しているのか?