世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


12月 10, 2015

TACC、創薬ポータルで研究者を支援

HPCwire Japan

Faith Singer-Villalobos

肥満から結核、そしてサシチョウバエに噛まれることで引きおこされる熱帯病であるリーシュマニア症までの広い範囲の病気のための薬の候補を迅速に識別する必要がある研究者だとしたら、あなたはどこに向くだろうか? あなたは、現在世界中の100以上の研究者の新薬のための基礎を築くモデル化、シミューレション、そしてデータ生成を支援しているDrugDiscovery@TACCポータルに向くのだ。これまでのところ、7百万時間以上の計算作業が完了し、数十の薬物候補が見つかっている。

「現在のポータルを創薬と最適化のために自由に利用できるフルサービスのセンターに拡張することで、現在の存在よりもさらに価値あるものになるでしょう。」と、このポータルの発案者の一人でガルベストンのテキサス大学医学部で生化学・分子生物学部の准教授であるStan Watowichは語っている。

Watowich研究所とテキサス大学オースティン校のテキサス先端計算センター(TACC)は2013年から、このポータルで協力している。ポータルの開発者であるSteve Mockと生命科学研究者であるJohn Fonnerは、Watowichと彼のチームと直接仕事を行って、このポータルを再開発したのだ。彼らはTACCのアガヴェ・Science-as-a-Service (SCaaS)プラットフォーム上で、さらにユーザフレンドリーにしてLonestart 4ハイパフォーマンス・スーパーコンピュータを利用するための作業を行った。

「TACCの助けを借りて、ユーザは、処理が即座に強固でより簡単になり、そしてジョブを投入して完了するのがさらに速くなる体験をしているのです。」とWatowichは語った。Fonnerによると、それを必要とする人達に有効な新しい治療薬を作ることは大規模な臨床試験を伴う長いプロセスである。しかし、臨床試験を行うのは、関連する生物学的標的に強力に結合する効果的な薬物候補を見つけて最適化することに依存している。

「創薬ポータルは、研究者が彼らにとって重要な生物学的標的から開始し、分子間相互作用の物理を使って数十万の潜在的な薬物候補から最高のものを見つけるために計算で試験できるようにしています。そこからは、研究者が候補物質を選び、さらに最適化し実験的に試験するかを決めるのです。」と語った。

 

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Stan Watowich (真ん中、青色のシャツ)はコロンビアでワークショップを教えている。Watowichはガルベストンのテキサス大学医学部の准教授である。

 

Fonnerは続けた:「このサイトのビジュアルおよび解析機能を向上することで、研究者は重要な結合情報を非常に速く伝えることができるインタラクティブなプラットフォームを通して結果を探求できるようになり、さらに研究するための化合物を決定できるようになるのです。」

「薬物スクリーニング・ワークフローの複雑性とTACCスーパーコンピュータのパワーを病気と戦うことへの助けを求めている研究者らの手の中に置くツールを開発することに非常に満足しています。このシンプルなWebインタフェースは、以前はほとんどの人が使えなかった創薬パイプラインへのアクセスを民主化したのです。」とMockは述べた。

2015年後半にはユーザデータはLonestar 5に移行され、研究者はさらにパワー、スピートおよび全体的な能力を経験することになるだろう。Lonestar 4から50パーセントもコア数が増えており、性能は約4倍で、ユーザは創薬計算をさらに速く完了することができるようになるだろう。この新Cray XC40スーパーコンピュータは、30,000コアのIntel Xeon E5-2600 v3ファミリーを搭載し、ピーク性能は1.25ペタフロップスを提供する予定であり、TACCは需要が高いことを予測している。

完全な記事はこちら:
https://www.tacc.utexas.edu/-/drugdiscovery-tacc-portal-helps-researchers-worldwide-with-drug-therapeutics

出典: テキサス先端計算センター