ORNL、エレクトロニクス業界への稲妻となるか
エレクトロニクス、さらには量子デバイスの新しい時代は事、エネルギー省オークリッジ国立研究所の研究者らによれば、実上完全な単層の「ホワイトグラフェン」の製造で幕を開けた可能性がある。

技術的には六方晶窒化ホウ素として知られているこの材料は、その姉妹グラフェンよりも優れた透過性を持っており、科学的に不活性または非反応性で、原子的に滑らかである。また、高い機械的強度と熱伝導性を備えている。しかしグラフェンとは異なり、電気のコンダクターではなく絶縁体であり、基板や携帯電話、ラップトップ、タブレットや多くのデバイスにおけるエレクトロニクス用の基盤として有用にしている。
「1枚の紙のように薄いバッテリー、キャパシタ、ビデオスクリーンや燃料電池を想像してみてください、」とポスドク・アソシエイトでChemistry of Materialsに掲載された論文の主執筆者であるORNLのYijing Stehleは述べた。彼女と同僚たちはまた、「超薄型」だけでなく透明であるグラフェンの六方晶ボロン2次元キャパシタと燃料電池のプロトタイプに取り組んでいる。
ホワイトグラフェンの彼らのレシピで、ORNLの研究者達は理論値と一致する性能をまだ出しきれていないグラフェンのポテンシャルを最大限発揮したいと考えている。基板としてホワイトグラフェンを使うことで、研究者達は厚さを削って電子機器の柔軟性を向上させながら問題の解決に役立つと信じている。
炭素繊維よりも強度と剛性を持つホワイトグラフェンはデータ転送デバイスとして有望な材料ではあるが、ホワイトグラフェン基板上のグラフェンは、他の基板上のグラフェンよりも数千倍高い電子移動度を備えている。この特性は現在利用可能なものよりもはるかに高速なデータ転送を可能にすることができる。「あなたのメッセージが数千倍高速に送られることを想像してみたください、」とStehleは述べた。
Stehleは材料が理論を超えることができるので、この取り組みが特に重要であると指摘している。
例えば、ライス大学が先導する最近の理論研究(http://news.rice.edu/2015/07/15/white-graphene-structures-can-take-the-heat/)は、ホワイトグラフェンをエレクトロニクスを冷却するために使うことを提唱している。Stehleと同僚達は大量生産までコスト効率的にスケールすることができると信じている六方晶窒化ホウ素の高品質層を作成した。
「様々な六方晶窒化ホウ素単結晶形態 (三角形から六角形)の生成は理論的研究において述べられていますが、そのプロセスを実証し説明した初めてのものでなのです。」とStehleは語った。
そのプロセスは同様の炉、温度および時間を使って標準大気圧化学蒸着から構成されているが、そこにはひねりがある。Stehleが述べる違いは、「より穏やかに、制御可能な方法で反応物質を炉に放出して、炉内部の状態をいかに活用するか見つけ出すことです。これらの2つの要素が常にほとんど無視されているのです。」
Stehleは続けた: 「私は前もって慎重に考えて、興味があっただけです。例えば、私はこの実験には調整可能で違いを作ることができるかもしれない多くの条件があることに着目しました。不完全な結果を見る度に私はそれを失敗とは数えずに、代わりに成功のためのもうひとつの調整条件だと考えました。この”失敗”が価値になるかもしれないのです。」
この論文(http://pubs.acs.org/doi/pdf/10.1021/acs.chemmater.5b03607)の共著者はORNLのHarry Meyer、Raymond Unocic,、Michelle Kidder、Georgios Polizos、Panos Datskos、Roderick Jacksonおよび Ivan Vlassiouk、そしてニューメキシコ州立大学のSergei Smirnovだ。資金は研究室所特定研究開発プログラムによって提供された。研究の一部はORNLでのDOE科学部ユーザ施設であるナノフェーズ材料科学センターで実施された。
UT-BattelleがDOE科学部のためにORNLを管理している。科学部は合衆国における物理科学の基礎研究のサポーターとしては単一組織として最大であり、時代の最も差し迫った課題のいくつかに対処することに取り組んでいる。詳細はhttp://science.energy.gov/
ソース:オークリッジ国立研究所