スイスの研究所、GPUブースターを持つCray XC30を装備
Tiffany Trader
スイス国立スーパーコンピューティングセンター(CSCS)は、Intel XeonプロセッサとNVIDAのGPUの両方を採用する最初のCray XC30スーパーコンピュータを今年後半に展開する。「Piz Daint」は、4月以降にフェーズ1を立ち上げ、運用を行い、NVIDIAのGPUによる性能増強を得て、より多くのコンピューティングパワー ~ Petaflops以上の価値 ~ をCSCSの研究者に提供するだけでなく、しかもエネルギー必要量を元通りに縮小することとしている。
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CSCSのディレクター、Thomas Schulthessは、この公式声明でアップグレードの話をした:
「コンピュータモデルの増え続ける需要を考えると、私たちは、コンピュータアーキテクチャの根本的な変化に伴ってスーパーコンピューティングにおけるエネルギー消費量だけに取り組むことができます。」と彼は語った。
GPUを装備したPiz Daintは、気候科学、地球科学、化学、物理学、生物学、材料研究など、多種多様な分野の役にたつ。
Schulthessによると、新しく改良されたPiz Daintは、その前身であるCPUだけの「Monte Rosa」に比べ、天気予報アプリケーションを7倍少ないエネルギーで3倍高速に実行することが出来る。また、Piz Daintのアップグレードは、GPUレス版に比べ3倍のエネルギー効率の改善を期待されていることは注目に値する。
CSCSは、ユニットを配置する前に広範なテストを実施した:
すべてにおいて、CSCSの研究者は、山岳地域にわたる地域気候シミュレーションと同様に化学、材料、ナノサイエンスからの完全なシミュレーションコードを用いて、4台のスーパーコンピュータシステムを比較した。このテストは最初、4台全てのシステムでオリジナルのコードで実行され、そしてその後、特に効率性とグラフィックプロセッサと同様にCPU上で実行できるように設計した新しく実装したコードで行われた。その評価は、GPUプロセッサだけでなく、改良されたアルゴリズムもまたエネルギー効率と性能に影響を及ぼすことを明らかにした。
Schulthessは、ゲームやグラフィックス業界の外に進化したGPUコンピューティングは、HPCのためのゲームチェンジャーとなった経緯について論議している。システム設計者は、ハイブリッドアーキテクチャによってプログラミングへの挑戦が余儀なくされるため、当初、超並列コプロセッサを展開することに躊躇していた。しかし、より強力でエネルギー効率の高い高性能コンピューティング・システムの確約が最終的に勝利したのだ。過去10年間以上、国内外の研究グループは、汎用GPUコンピューティングを中心に集結した。スイスでは、HP2Cプロジェクトがより効率的なコンピューティングの発展に専念しており、ハイブリッドスーパーコンピュータ ~ 従来型プロセッサとアクセラレータを混在させて使用 ~ は、グループの戦略の中心要素である。
以前「Cascade」というコードネームで呼ばれ、そしてAriesインターコネクトに基づくCray XC30スーパーコンピュータは、多種多様なアプリケーションのために設計されている。このハイブリッドで次世代の高性能コンピューティング・プラットフォームは、Intel Xeonプロセッサ、Intel Xeon Phiコプロセッサ、およびNVIDIA Tesla GPUアクセラレータを含む多種多様なタイプのプロセッサを許容できる。
関連ニュースで、Crayは、かつて「Ivy Bridge」のコードネームで呼ばれていた新しいIntel XeonプロセッサE5-2600 v2製品ファミリーをXC30シリーズでサポートすることを昨日発表した。新しい12コアのE5-2600 v2の変種は、現在、Piz DaintのようなXC30システムで使用されている8コアの「Sandy Bridge」(Xeon E5-2670)プロセッサとソケット互換である。