世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


9月 19, 2017

最初のVoltaベースのNvidia DGXシステムをボストンのヘルスケア・プロバイダーに出荷

HPCwire Japan

Doug Black

ボストンにある臨床データ科学センター(CCDS)は医療業界を動かす重要な技術動向の合流点にある。大量の医療画像のAIベースの診断であり、複数の医療機関で共有され、GPUベースのニューラルネットワークを利用している。

マサチューセッツ総合病院に設立され、後にブリガム&ウィメンズ病院が参画したCCDSは、Voltaを搭載したNVIDIA DGXシステムによる専用AIスーパーコンピュータと呼ばれるものを入手したと発表した、と市場最大のGPUとなるNvidiaが語った。

今月下旬には、CCDSはNvidiaの「パーソナルAIスーパーコンピュータ」であるDGXステーションも入手し、新しい学習アルゴリズムを開発し、デスクサイド・システムの形式で「AIの力を医師に直接もたらすために使う」としている。CCDSは、VoltaベースのDGXシステムを最初に受け取ったNvidiaの顧客となる。

このアイデアはボストンエリアの放射線医師が、MRI、CATスキャン、X線、およびその他の医療画像から彼らが疾患をより迅速かつ正確に診断することを支援する、日々のワークフローに統合されたAI「アシスタント」を提供することだ。データセンター内のDGX-1システムに常駐する学習されたニューラルネットワークは、「世界中の無数の医療画像を絶えず取得し続けている」とCCDSは、述べている。

CCDS、マサチューセッツ総合病院およびリガム&ウィメンズ病院はハーバード・メディカル・スクールの教育研究病院であり、ボストンベースのヘルスケアネットワークで、この4月にPersistent Systems社と共同で共同リソース産業クラウド(同社が述べるには、臨床環境における知識交換と意思決定支援アプリケーションの開発のための全面的なオープンソースプラットフォーム)を開発したと発表したPartners Healthcareの設立メンバーでる。このプラットフォームは、Health Level-7標準化団体によって開発されたSMART(電子健康記録とアプリケーションの統合のためのオープンスタンダードベースのテクノロジープラットフォーム)とFHIR(Fast Healthcare Interoperability Resources)に基づいている。このプラットフォームにより、プロバイダーシステムが「そのエコシステム全体にわたって臨床ケアにおける業界最先端のベストプラクティス」を展開することが可能になるという。

CCDS、マサチューセッツ総合病院、リガム&ウィメンズ病院はボストンに本拠を置くヘルスケアネットワークだ。

NVIDIA DGX-1とVolta

「学習されたニューラルネットワークは、超人的なピクセル単位の画像評価を可能にし、信じられないほどの速さで他のデータのスコアを分析できるので、医師はより正確な診断と治療計画を立てることができるのです。」とNvidiaのブログ記事でCCDSは述べている。例えば、医学的画像をレビューする放射線科医は、通常それらを受信した順に診査する。「しかしAI支援のイメージングでは、画像を仕分けすることが可能になり、最も懸念されるものを放射線科医のキューの上部にもって来ることができるのです。」

「現代の医師達は、研究室レポート、MRI、CATスキャン、家族の病歴など、膨大な患者のデータを扱うため、診断を行うことは非常に困難なのです。」とMark Michalski博士は述べている。「ですから、この取り組みの中で彼らを助けることができる技術を持つことは、信じられないほど変革的なものになるのです。」

すべてのアカウントで、Voltaの処理は強大である。そのアーキテクチャは、AIワークロードを加速するために設計された新しいタイプの計算ユニット、Tensorコアを提供している。640個のTensorコア(SM毎に8個)で、Tesla V100は120Tensor TFLOPSを提供する。

アップグレードされたDGX-1には8個のVolta V100が搭載されており、960 Tensor TFLOPSを提供する。小規模シリーズのDGXステーションは、4個のVolta V100を使用して、デスクサイドの置ける水冷フォームファクターで、半分の性能を提供している。