世界のスーパーコンピュータとそれを動かす人々


8月 15, 2019

ポルトガル、初のスーパーコンピュータを始動

HPCwire Japan

Oliver Peckham

ポルトガルは、初となるスーパーコンピュータを正式に始動させた。控えめな名前の「Bob」スーパーコンピュータは、ミーニョ大学のミーニョ先端コンピュータセンター(MACC)に設置されている。

Bobは2018年初頭に発表され、ポルトガルのコンピューティング能力が約10倍増加すると予想されている。Bobは、ポルトガルとテキサス大学オースティン校とのパートナーシップにより、ポルトガルの科学技術財団(FCT)に移管されたテキサス・アドバンスド・コンピューティングセンター(TACC)のStampedeスーパーコンピュータの、最初のイテレーションの20ラックで構成されている。

合計で、80ノードで構成されるBobは、266 GBのメモリ、1 PBのストレージ、およびIntel Xeon Phiコプロセッサによって提供される1ペタフロップスの演算性能を備え、そのすべてが3種類のDell PowerEdgeサーバに収容されている。そしてそのスーパーコンピュータ(さらに広く言えばMACC)は、主に風力、太陽光、水力発電によって駆動される。

MACC自体も新しい。ポルトガルとUTオースティンとのパートナーシップが延長されたとき、FCTはラックを使用し、ミーニョ大学において、MACC(およびポルトガル初のスーパーコンピュータ)を次の3つの使命「新しくHPCに依存する研究領域の出現を可能にする」、「科学的および技術的取組を構築し協調することにより科学的および経済的活動を促進する」、「研究機関の関心を引き付けることでデータインテリジェンスやその他の分野で成長する可能性を高める」をもとに設立することに決めた。

また、Bobは、大西洋国際研究センター(AIRセンター)へのサービス提供に特化した大容量のフェデレーションデータインフラストラクチャであるAIR_DataNetネットワークの基盤としての役割も果たす。AIRセンターは、気候変動の緩和や持続可能なエネルギーから海洋資源、生物多様性から宇宙や深海に至るまでの問題に焦点を当てている。結果的に、Bobのスーパーコンピューティングの能力は、さまざまな科学研究分野の役に立つだろう。

MACCは、2020年末までに運用を開始する2番目のスーパーコンピュータ「Deucalion」も計画している。そのDeucalionは、EuroHPCイニシアチブの下で開発されたペタスケールのコンピュータであり、約10ペタフロップスの性能が期待されている。またポルトガルは、欧州委員会が承認したプロジェクトに参加し、ピークで200ペタフロップスを目標に、バルセロナスーパーコンピューティングセンター(つまり、MareNostrum 5)にプリ・エクサスケールのコンピュータも設置している。