デル、スタートアップ・エネルギーを想起し、将来の方向性を示唆
Nicole Hemsoth

「もし本当に才能のある人々を得て、彼らを挑戦に向けて団結させ、彼らの能力を最大限に引き出せれば、会社はすばらしいことを成し遂げることができる。」と、Tesla MotorsおよびSpaceX社の最高経営責任者(CEO)であるElon Muskは、Dell World 2013のキックオフで、熱心にうなずいているMichael Dellの隣で語った。
Musk氏の基調講演は創業時代の文化と興奮を思い起こさせるに十分な完璧なものだった。Dellの最大の課題は、株主が何を期待するのかという観点から、価格、性能、技術における差別化が要求される市場で何ができるかという観点に移ることだった。
会場のまぶしいライト、開催地オースティンのエネルギーはさておいて、今日の会議ではDellのリーダー達の興奮が伝わってきた。特に、ワークステーション部門や政府関連事業部門のリーダーがそうだった。Michael Dellは、世界最大の新会社の立ち上げのような雰囲気を社内に醸し出している。これは結局の所、Dellが株式非公開の会社になって何ができるのかを示す最初のイベントだったのだ。新しいソフトウェアポートフォリオ構築の為の数百万ドルの投資が危険なものかどうかは今後を見守るしかないが、Dellはいくつかの注目すべき発表を今日行った。それらはHPCとそれ以外のITとを全面的に分割して、彼らの野心的再投資に対する信憑性を高めるものだった。
今後のデルにとっての優先事項は、Dellという生態系に明るい未来をもたらす企業をこれまで通り外に求めつつ、過去数年に渡って行ったきた買収企業群の統合を続けることだ。Dellの投資部門が戦略イノベーションベンチャーファンド3億ドルを今後どのように具体的に投資していくのかを発表した。それはクラウド、ビッグデータ、ストレージおよびデータセンター関連技術を含む幅広いエリアの新興・成長企業を対象にしている。しかも、それは昨年発表した6000万ドルのFluid Data Storage基金とは別枠だ。
最近は「ビッグデータは死んだ」というおまじないが無いと何事も始まらない風潮がある一方、クラウドコンピューティングという言葉が「破壊的」という単語と共に非常にもてはやされている。Dellはクラウドを最終ソルーションとして推進している。それは、顧客の多くが、Dellと議論やDellのクラウド廻りの発表の文言に求めているものである。
Dellの目標は、クラウドコンピューティングを企業向けにより堅牢なものにすることであり、 戦略的な技術提携を通じてそれを実現しようとしている。今日の多くの発表の中で、一番のニュースはOpenStackを企業のプライベートクラウドに推奨する為に、Red Hatとの新しいパートナーシップを結ぶ話だった。DellがRed Hat Enterprise Linux OpenStack OEMの最初の提供企業になり、そしてDellのクラウドサービス専属部隊がそれらを提供することになるだろう。
多様な企業のワークロードをパブリックおよびプライベートの双方のクラウドへ展開していこうというDellのビジョンをさらに浸透させるために、彼らはMicrosoftのアジュール・クラウドを含めるべくクラウドパートナーネットワークを拡大していく、と発表した。これは、クラウドのシナリオ(プライベートかそれともオンデマンドか)を決めたい人々に対して、より多くの選択肢を提供することに加えて、Windows用アプリケーションサービスの既存ポートフォリオへの増強策でもある。Dellのクラウド担当マネージャは、「要点は、ユーザーがプライベート、パブリック、ハイブリッドのいずれにおいても動作するアプリケーション全てを管理できるような機能を提供することだ。」と話していた。
それは企業でのクラウドコンピューティングを容易に実現するための二つ目の発表にもかかっている。まだ、今日発表されていないが、DellはGoogleクラウドプラットフォームのコンピューティング、アプリケーションサービス、およびストレージの利用を、Dellのパートナープログラムを通じてできるようにするつもりである。
HPC 、ワークステーションおよび研究向けのコンピューティングがターゲットとして、 Michael Dellは「破壊的な」ビジョンの一端を次のように述べた。同社は、ヘルスケア、メディアとエンターテインメント、政府機関などの顧客にとって強固なパートナーでありつつ、自由な革新により創業時のような想像力を獲得する新しい時代へと突き進むことを切望している、と。