英国、量子コンピューティングに2.7億ポンドを投資
Tiffany Trader

昨年、英国政府は長期的な経済計画の一環として、量子コンピューティング研究に2.7億ポンドを投資することを発表した。資金は、今後5年間で五つの量子技術センターに分配される。
このイニシアチブは先週下院でのジョージ・オズボーン大蔵大臣の秋の声明の一部として発表された。量子技術センターのネットワークは、科学進歩による成長の促進に向けた政府戦略の一環である。
この取り組みは、量子コンピューティングから安全が保障される通信まで分野における新しいアプリケーションや産業の創出を支援する。
従来のコンピューティングは古典物理学の法則に従って行われるが、量子コンピューティングでは根本的に異なる量子力学の法則に従うことになる。量子コンピュータでは、情報の基本単位は量子ビットである。量子ビットは、我々のよく知っている二進数の状態で存在することができるが、同時に0と1の任意の重ね合わせで存在し得る。そのため量子コンピューティングでは、非常に強力な並列処理を自然に行うことが可能となる。
量子コンピューティングは、常に水平線上にあり決して手の届くところに来ない分野のひとつだと思われてきた。この分野での進歩のペースはのろく見えるが、この五年間ではいくつかのサイトが量子プロセッサを持っていると誇る様になってきた。量子コンピューターの正確な意味に関して科学者の間ではまだ議論があるが、 NASAとGoogleが共同で世界初と言われている量子コンピュータシステムD-Waveを所有している。
専門家が同意している事の一つは、暗号化や復号化のようなセキュリティプロトコルが量子コンピュータのキラーアプリになるだろうということである。政府は当然のことながら、この種の技術には細心の注意を払っている。
これ以外の科学および技術革新戦略での支援措置は以下の通りである。
+新興勢力の研究と技術革新能力を向上させ、英国との重要な研究協力関係を構築するために年間7,500万ポンドの基金を創設。
+国際共同宇宙プログラムを確立する。英国政府は、宇宙政策の柱として、国際共同宇宙プログラムを導入する。 宇宙開発能力や技術をもつ新興勢力との強力なリンクを構築するために、英国の科学者や企業に5年間で8,000万ポンドの資金が提供される。
+無人自動車が英国産業の利益および公益に適っている事を確認し、英国における無人自動車の開発および試験を行う世界の自動車メーカーを支援するための立法や規制の枠組みおよび無人自動車の消費者テストのためのテストサイト開発資金として地域向けに1,000万ポンドの賞金基金を用意するための報告書を2014年末まで作成する。
+英国のノーベル賞受賞者ピーター・ヒッグスに敬意を表して、エディンバラ大学にヒッグスセンターを設立する。当センターは天文学と素粒子物理学を専門とする研究者をサポートするために、最先端の科学設備とビッグデータ機能を提供する。
+2014年から15年にかけて500万ポンドを投資して公共部門に電気自動車を大々的に配備。このプログラムは超低公害車の導入を促進することを目的としており、将来にわたる広範な受け入れを目指すための公共部門による明確なリーダーシップの表明である。
出典: 2013年秋の声明